実は孤独で苦労の多い、地方議会議員の具体的仕事内容とその実情
男なら、一度くらいは、地方議会の議員になるってどういうことかな、なんて思ったこともおありでしょう。地方議員の実態について、ちょっとご紹介してみます。
議員に立候補する動機って、なに?
市町村のことを、一般的には「基礎的自治体」と呼んだりします。最も身近にある自治体ですから、その在り方は暮らしに直結しています。なぜ議員になったのですか、と議員に聞くと、多くの議員は次のように答えてくれるでしょう。
1.俺もいい年になったから、仕事も半分退いた。ぼちぼち議員にでもなって、センセイなんて呼ばれてみたい。
2.地域で自治会長とかいろいろ就任したが、周囲のみんなが折角推薦してくれているのだから、名誉なことでもあり、立候補してみるか。
3.小遣い稼ぎにもなる。所属している業界団体の利益代表としても、ひとつ社会のために働いてみよう。
大体、そういった動機が多いようですが、もちろん国家社会のために貢献したいという純粋な理想も、その背景にはあるはずです。
議員になったら、どんな義務・責任があるのかな
年に4回の定例議会に出席しなければなりません。3月は予算議会で少々忙しいです。ほかに常任委員会とかと特別委員会とか研修視察とか、いろいろあります。
議場での質問と議会だよりのことに触れます。
議会定例会では、議員がテーマを決めて自由に質問できる「一般質問」というのが、言わば議員のひのき舞台です。そこで首長に対して、何をどう切り込んでいけるか、どんな約束を取り付けて実行させられるか、それが議員の腕の見せ所になります。
議会だよりには、それらの発言経過が載ります。しかし紙面の都合で、短く要約して載せなければなりません。その要約作業は、原則として質問者本人が担当しますから、この作業が結構大変です。
これが苦手な議員さんは、一般質問ができなくなります。任期中に一度も質問しない議員もいるくらいです。だけど、これじゃあ何のために議員になったのかわかりませんよね。
選挙では、どんな苦労があるのだろう
支持者がいてくれさえすれば、それほど金もかからずに選挙だけは乗り切れます。でも当選してから、支援者たちにどう接するかが大切でしょう。ふんぞり返っている議員では、すぐ見放されてしまいます。支援者への情報提供が大切です。
ニーズの把握・掘り起しの上手な議員なら、立派に生き延びることも可能です。それと、役所との関係で、うまく職員たちを動かせる議員にならなければ、住民の要望を実現していけませんから、役場での「顔」「パイプ」の構築が極めて大切です。
役人たちは、表面は議員にペコペコしていても、腹の中では「素人の癖に…」と馬鹿にしていますから、彼らの信任を得てサポートしてもらえるように環境づくりをしましょうね。
支援者と役所、この二つとの関係がまずまずであれば、選挙は怖いものではないようです。
議長になると、どんないいことがあるの?
役所には「議長室」というのがあって、議長さんはそこを自分の部屋として使用できます。自治体のイベントがある度に、議決機関の代表者として紹介され、衆目の中で挨拶をすることができます。毎回の定例議会や臨時議会では、中央の議長席に鎮座して堂々たる存在感を示すことができます。だから、次の選挙でも元議長さんは非常に有利になりますね。
そのためでしょうか、議員になったら誰もが議長に就任したがるのが普通です。議長報酬なんて大した額ではありませんが、名誉が大きいのです。それで、多くの議会では議長の椅子が、有力な政党・会派の「持ち回り制」になっています。何のことはない、数年議席にいれば、議長の順番が回ってくるわけです。
そしてひとたび議長になれば、あの立派な議長室の壁に、「歴代議長」としての顔写真が貼られます。ずらりと何十人もの議長様の顔が並んでいて、壮観ですよ!多分永久に、議会と自治体を支えた功労者として、子々孫々までその栄誉は引き継がれていくことでしょう。
男なら理想を追ってみたいけど、議員になれる条件は何かな?
被選挙権さえあれば立候補はできるし、運がよければ当選します。だけど、社会に貢献できる「得意分野」を持たない人は、結局見放されていく例がほとんどですよ。世間の冷たい風にさらされる覚悟はおありですか?役人から馬鹿にされ、無視されても、悠然としていられる度量が不可欠ですよ。
今の時代ですから、議会報告のブログなどを作って、支持者たちに丁寧な情報を流していかなければ、冷たく扱われてしまいます。
議員専業では、普通食べていけません。仕事の合間に住民のどぶ板の面倒を見て歩き、所属している党本部からの指示に従って質問したり、会合したり、嫌な奴にも頭を下げて世のため人のために尽力する覚悟が必要です。
議員になれば「センセイ」なんて呼ばれることはあります。でも腹の中では、シビアに議員を批判している住民がほとんどです。地方議会の議員は、寂しいものです。私はたくさんの議員さんたちとお付き合いしていますので、その寂しさをひしひしと感じています。
それはまた、日本の民主主義が寂しいということともつながっています。いつかもっと投票率も向上して、この国の民主主義が輝くことを期待しております。