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速記の魅力!その成り立ちと実際に活用するためのコツ!

人のしゃべりを「写真」みたいに書き取って、そのまま記録していくことができたら、どんなに便利だろうって考えたことないですか?速記というものについて、ポイントをご伝授いたしましょう。

速記って、どういう仕組みでできているものなのかなあ

世界の速記は、遠くギリシャ・ローマ時代からあったと言われています。日本の速記は、今から130年ほど前に、田鎖綱紀という人が創案しました。第1回帝国議会から、全言の逐語記録が「国会会議録」として保管されている国は、近代国家としては珍しいんですよ。

現在使われている速記方式は、早稲田式、中根式、衆議院式、参議院式などです。速記文字には、まず基本文字があって、「あ・い・う・え・お」や「きゃ・きゅ・きょ」など一音一字に対応しています。ほかに「簡字」と呼ばれている文字は、「あります」「思います」「日本」「世界」「すなわち」など単語や文節に対応しています。

それらの速記文字を覚え、発言に応じて素早く記録できる者が速記者と呼ばれます。

近ごろは、音声認識システムが発達しているけど…?

そうですよね。確かに人の発言を、ソフトで自動的にデジタル文字化できる時代になってきました。でも現在のところ、その性能は非常に不完全です。発言が短い単語に限られていたりすれば、かなりの確率で文字化できるようですが、議員発言など長くて複雑な場合は、精度が著しく下がってしまって余り役には立ちません。

例えば、認識率が90%だとした場合、10%くらいは間違っているわけですから、証拠力はほとんどありません。その間違いデータをもらって、録音した発言を聞きながら修正していくのは、実は初めから発言を速記して記録を作るのと比べて、かえって手間がかかるくらいです。

それでも音声認識技術はいろいろな点で有効なものですから、国会・裁判所等でも徐々に取り入れてはおります。でも、ここではそういう正確な記録作りの世界とは別の、個人のスキルとしてのスピードライティングについて、その素晴らしさをご紹介していきます。

何を書き留めたらいいのか

それはあなた次第。自分の「これだ」と感じたことなら、何でも即座にメモすればいいでしょう。

例えば会議に出ました。いろんな人が各自の意見をずらずらと述べています。参加者のほとんどは半分眠っており、うつらうつらしていたとしても、速記するあなたは眠気どころではありません。「いい」と思ったフレーズはどんどん書き取っていきます。

通常の人のメモだと、単語をいくつか並べることしかできませんが、ある程度速記をマスターしていたら、その10倍は楽に記録していくことができます。会議や座談会後に、その速記録を読めば「勘所」「心打たれた言葉」「参考になる意見」「役に立つ視点」「忘れたくない指摘」等々が、すぐに拾えます。

会議後にそれらを少し整理しておけば、ものすごく有用な「自分だけの会議記録」が手元に残ります。それさえできれば、あなたの会議活用術は、現在の数倍にアップすること請け合いです。

こころの文字化、精神の拡幅、魂の緑化も速記で

例えばあなたがレポートを作ろうとするとき、まず何から手をつけますか?頭の中にある構想は、まだぐちゃぐちゃです。全体構想をラフのかたちでメモしようとするでしょう。パソコンの前であれば、キーボードを叩けば徐々に構想の形が作っていけますが、それがなかったら、困ってしまうでしょう。

そんなとき、紙とペンだけあれば、すらすらと思いつくままに書いていって、自分自身を輪郭づけられるのもスピードライティングなのです。

書くことがちっとも苦になりません。だからスラスラと着想していけるのです。モタモタしていたら思い付きが腐ってしまいますから、思ったら思った通りに書いちゃえばいい。感じた通りに速記しちゃいなさい。さすればそんな速記文字の中から、あなた自身がだんだん見えてきます。

速記は、心を文字化する道具です。人の精神の幅を広げてくれます。もともと人間は、言葉でものを考えます。言葉をうまく操れる人は、それだけ思索するパワーが大きいのです。人の発言を書き留められることは、その発言を自分の中に消化できるということです。折角の言葉を聞き捨てにすることは、栄養満点の御馳走を食べ残して捨ててしまうのと同じです。

「早書きができる」ということの、たとえようもない素晴らしさについてご紹介しました。もし速記を真面目に学んでみたいと思われたなら、日本速記協会に連絡して、各地にある共練会にでも参加してみてはいかがでしょうか。

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