こんな遺言書は無効!後悔しない遺言書の知識
遺言なんてまだ早いよ、と言うなかれ。遺言は満15歳になったら書くことができます。若い人でも、万が一に備えて遺言を書く人も増えていますし、遺影写真を撮影する人も年々増えています。
ただ、遺言は書けばいいというものではなく、民法に定められた形式通りでないと認められません。民法の規定通りに自分で書く方法と、公的な証明がもらえる「公正証書遺言」もありますが、ここでは自分で書く時の注意点をご紹介します。
基本的には自筆でないと無効
パソコンの普及で、ワープロソフトを使おうと思っている人も多いと思いますが、これは無効です。基本的には遺言は自筆でないと無効となります。他人に書いてもらうのもNG。ただし、身体的障害などで自筆ができない人・病気などの場合は公正証書遺言などの方法で。
また、遺言のほんの一部でも他人が書いたと思われる箇所や、パソコンで打ち込んだ部分があっても無効となります。もちろん、エンピツなど簡単に消えるものではなく、ボールペンや毛筆など消えないペンで、丈夫な紙でないとダメです。
遺言者の精神状態が正常でない場合は無効
遺言者に重度の精神疾患がある場合や、書いた時にお酒を飲んでいて思考能力が正常でなかった場合、そのほか麻薬・脱法ハーブなどで思考能力を奪われた状態で書いた遺言は、全て無効です。
2人以上の署名がある場合
夫婦で遺言が同じ場合、夫婦揃って署名をしたくなりますが、遺言に2人以上の署名があった場合は無効です。たとえ夫婦で意志の方向が同じだとしても、遺言は一人一枚ですので夫婦でも別々に書くようにしてください。
日付がないものは無効
署名・捺印まではなんとかクリアするでしょう。しかし盲点として日付を入れるのを忘れる場合が多いのです。日付は必ず<年月日>を全て自筆で書き込んでください。
訂正印のないものは無効
一度書いた遺言書を訂正したり、新たに文章を書き加えたりまたは削ったりした場合、変更した事を記述した上で署名し、変更場所には訂正印を押さなければなりません。記述・署名・捺印どれが欠けても無効となります。
このように、以外と簡単な決まりとはいえ、一つでも不備な点があれば、せっかく書いた遺書は無効となってしまいます。
また、遺書の内容が難しすぎたり、いろんな解釈ができるようなあいまいな内容だったりすると、無効にならなくても後々相続争いが起きる場合も考えられます。
遺言は、確実に形式に則って、わかりやすく伝わりやすく書く事が大切です。遺言の執行には家庭裁判所の検認が必要なので、もし遺言が見つかった場合は開封せずに、家庭裁判所へ持っていきましょう。
また、自分で遺言を書くと紛失、偽造、隠匿などの恐れもあるので、それらが心配な人は「公正証書遺言」という方法があります。遺産が多く心配であれば、元気な時に弁護士に相談しておくべきです。