ギックリ腰で大事な商談をキャンセルしない為の「腰痛学」(後編)
じゃあ「筋肉を鍛えておこう」は間違い
そのような話を聞くと、「そうか、やっぱり腰痛は筋肉が原因になっているんだな。じゃあ、今よりも筋トレを増やして、腰のあたりの筋肉ももっと付くように、インストラクターにプログラムを考えてもらおう」などと考えてしまうかもしれませんが、この考え方は危険な考え方であると言うことができます。
上半身を支える筋肉が背筋や腹筋であり、それらの筋肉を強靭に保っておけば、筋肉の疲労も起こりずらくなり腰痛も軽減していくというロジックはある意味では正解と言えるかもしれませんが、そこには多くの矛盾も潜んでいる事がうかがい知れます。
それは、「であるならば、なぜに強靭な筋力を持っているアスリートに腰痛持ちが多いのか?」という質問に対して、何の回答もできなくなってしまうという矛盾です。
ジムに通うと筋骨隆々の人が鏡で自分の身体を映し出してウットリとしているなんて光景を時々目にしますが、トレーニングのあとに腰のあたりにバンテリンなどの痛み止めを塗っている姿を目にすることが時々あります。
セミプロ?でもこのような感じなのに、本物のアスリートである野球選手などに腰痛持ちが多いのをみると、ますます矛盾を感じるようになってしまいます。
ここでの正解は、「筋肉にある程度の強度を与え、あとはしなやかさを増やすようなトレーニングをするようにする」というのが、腰部周辺の筋肉の正しいトレーニング方法という事になりそうです。
ゴツゴツとした岩のような木も、台風などの大風が吹くと簡単に倒れてしまったりする事があります。それよりも、しなやかでバネのような幹を持っている木は、大風ナンボのもんじゃいとばかりにスイスイと大風をしのいでしまいます。
筋骨隆々だった清原選手が、筋トレをやり過ぎて晩年は故障ばかりしていたのに対して、ストレッチを入念にやって筋肉のしなやかさを維持する事に全神経を傾けたイチロー選手が、ほとんど故障知らずに、しかもまだまだ現役バリバリのメジャーリーガーであるというのが、腰痛持ちが学ぶべきトレーニング方法を示唆してくれていると言っても過言ではないと思います。
ストレスでも腰痛になる
腰痛の正体や原因はだいぶご理解頂けてきたかと思いますが、ちょっと外科的な視点から精神的な視点にポイントを切り替えてみたいと思います。
ここの小見出しに記載したように、ストレスでも腰痛になると言ったら、皆さんはどのような感想をお持ちになるでしょうか?
「ストレスが身体に悪いのはわかっているけど、まさか腰の痛みまでには…」とお思いになるかもしれませんが、これが多いに関係があるのです。
腰痛と筋肉の状態が密接に関連しているのは先にもご紹介しましたので割愛をしますが、ストレスをキーワードにした時に、それと密接に関連するのは、自律神経という身体の器官になります。
自律神経は人間の生命活動に必要な身体の様々な働きを「律する」神経の総称で、これがストレスにさらされると、その働きがおかしくなってしまうことがあります。
中でも深刻なのは、ストレスによって自律神経の働きがおかしくなってしまい、ついには血流が悪くなってしまうという状態です。
このような状態になってしまうと、多くの筋肉が集中する腰部の筋肉に十分な血液が行き渡らなくなってしまって、筋肉が段々と硬直してきてしまうという異常が見られるようになってきてしまいます。
これがひどくなってくると、いわゆる腰痛としての症状が現れてきてしまいますから、ストレスだって腰痛の原因の一つになってきてしまう事がご理解を頂けるかと思います。
腰痛の治療法は?
以上が腰痛に関する、正しい理解をして頂くための指南情報になります。これまでの記事を読んで頂いた方には、腰痛と筋肉の状態が密接に関連している事がご理解を頂けたのではないかと思っています。
原因がわかったら、今度は「それでもなってしまった場合の治療法」という事になるかと思いますが、これは残念ながら「安静にする」という方法以外ないというのが私の見解です。
ただし、正しい腰痛の予防方法はありますので、がっかりしないで下さい。それは、異常を察知したら早めに入浴などで筋肉の硬直を取り除いて安静にし、異常が消えたらストレッチなどで腰部の筋肉を常にしなやかな状態にキープしておくという方法です。
ストレッチについては様々な方法が紹介をされていますから、自分に合う方法を探してみましょう。必ず自分に合う方法が存在しているはずです。
休む勇気とよく言われますが、腰の異常を覚えたら、仕事は後回しにしてとにかく休息を取るようにします。無理して慢性化させてしまうと、人生が台無しになってしまう事もある腰痛ですから、正しい知識を持って正しい対処をして頂きたいと思います。