自慢の庭にも来ているかも…危険なアリが北上中!?
危険な外来種がやってくる
温暖化が進行していく中で、これまで観察されることのなかった生き物たちが次々と見つかるようになってきた。西日本ではおなじみの、朝からシャーシャーとうるさいクマゼミも東京の各地で聞かれるようになってきているし、庭などにひょっこりと顔を出す白くて大きな毒キノコ「オオシロカラカサタケ」も関東地方に普通にみられるようになっており、時々ニュースに取り上げられる。
これらの生物は、もともと南日本に生息していたものが、温暖化に合わせて生息域を北に拡大してきた、いわば国内での移入種である。しかしグローバル化している現代、当然ながら外国から新たに入ってきて定着を図ろうとする生物たちも当然存在する。
10年ほど前に騒ぎになった毒グモ「セアカゴケグモ」はいまや関西を中心にしっかり定着してしまっており、民家の軒先などにごく普通に生息している。今後、温暖化がより進展すれば関東地方でも生息数を増やしていくことが容易に推測できる。
セアカゴケグモのように、新たに入ってきた生物がヒトに直接的に被害を与えるような場合は大きな騒ぎになりやすい。そして今、同様の騒ぎを引き起こしてしまうと思われる危険な生き物が、まさに上陸の瀬戸際にいる。
アメリカで社会問題となっている危険なアリ
カリフォルニアなど、アメリカ南西部を中心に大きな被害をもたらしている危険な生き物がいる。和名はアカヒアリ、現地では通称ファイアーアントと呼ばれる、ごく小さな赤いアリである。
彼らは庭などに大きなアリ塚を作り、コロニーを作って生活する。極めて攻撃的で、アリ塚に危害を加えると一斉に飛び出してきて噛みつき、他のアリ類の持つ毒(ギ酸)よりも強い毒を注入してくる。
この毒はハチなどと同様アレルギーによるショック(アナフィラキシーショック)を引き起こすことがあり、時には人を死に至らしめる。アナフィラキシーショックが出なくても、噛まれた部位はパンパンに腫れ上がり、数週間は痛みが続くという。
彼らにはまた恐ろしい習性があり、一つの巣の中で女王アリが死ぬと、他のアリがその代わりを務めるのだという。つまり、駆除をするのが極めて困難だということだ。仮に巣をつぶし、群れを分断しても、また別の場所に分かれて巣を作るので手に負えなくなってしまう。
YouTubeでよく彼らの巣にガソリンをかけ火を放つ動画を見かけるが、腹いせ程度の効果しかもたらさない。極めて厄介な生き物なのである。
日本ではどうなのか
そんなアカヒアリであるが、国内で生息がしっかりと確認されているのは現在では硫黄島だけだという。しかし、アリという小さな生き物であること、また上記のとおり小さなコロニーが新しい巣を作る可能性があることから、本土に上陸した場合は定着してしまう可能性が極めて高いと言える。
もしあなたの庭先で、分不相応に大きな巣を作る赤くて小さなアリがいたら、要注意だ。危険なアリは、もうあなたの足元にいるかもしれない。