日本庭園の蓬莱山には仙人が住んでいる?庭園の面白い見方を紹介!
日本庭園によく使われる蓬莱山という石組。これは蓬莱神仙思想という道教の思想から来ており、蓬莱山という山には仙人が住んでいると言われています。そんな庭園の見方を紹介します。
庭園を見る時はどの様な見方をすればいいのでしょうか?結論から言いますと自由なのですが、普段庭園を見る事がほとんど無い初心者の方に「自由」と言っても困りますよね?見方は自由としても、その前段階にある豆知識を紹介します。
よくある庭園のアイテム
庭園には沢山の種類があったり、様々な石の作り方や景色の設定の仕方があるのですが、ここでは最も分かりやすい庭園のスタンダードアイテムを紹介したいと思います。
それは、蓬莱山(ほうらいさん)と、鶴島(つるしま)、亀島(かめしま)です。この3点セットが日本庭園には良く出てきます。例えば、どこかのお寺で庭園を見た時に、蓬莱山と鶴島と亀島を探してみて下さい。結構な割合で出逢う事になると思います。では、このそれぞれは一体どういう意味があるのでしょうか?
蓬莱山って何?
庭園の中に出てくる蓬莱山というのは、道教の思想をモチーフにしています。大昔の中国では、蓬莱神仙思想という思想がありました。唐の時代頃の話です。
これは蓬莱山という山があるという伝説の事なんです。別に蓬莱山という山があると言われても特に驚きは無いかも知れませんが、驚くのはここからです。その蓬莱山は亀の様なゴウという生き物の上に乗っかっている山なのです。そして、ゴウは蓬莱山を背中に乗せて海を周遊しているのです。
更に驚くべき事に、蓬莱山には、数々の洞窟があり、その洞窟の中には仙人が住んでいるんだそうです。その仙人が不老不死を叶えてくれるという事で、唐の皇帝は本気で蓬莱山を部下に探させたのです。当時の皇帝が本気で探させたのには事情があります。この蓬莱山は目撃をされているのです。
しかし、現代社会の中で、そんな伝説を信じる人はいないでしょうから種明かしをしますと、実はこの蓬莱山の正体は蜃気楼だったのです。蜃気楼がユラユラと揺れる事で、洞窟が山の中にある様に見えた様です。
この蓬莱山をモチーフにした大きな石が庭園には配備される事が多いのです。そして、この蓬莱山の左右に鶴島と亀島が配備されるのが一般的です。
鶴島と亀島って何?
鶴島と亀島は、それぞれ鶴と亀を型どった石です。石の上に木を背ってその意匠を凝らしています。なぜ蓬莱山と一緒に並べるのか。蓬莱山は不老不死の縁起物、に対して、鶴は千年、亀は万年と言いますから、これも長生きの縁起物なんです。ですので、蓬莱山と鶴島、亀島をセットで配備している様です。
庭園の見方は心眼?
このように、庭園にはスタンダードなアイテムがありますので、今後は蓬莱山や鶴島、亀島を探してご覧になって下さい。もし分かりにくければ、お寺の方に、どれが蓬莱山で鶴島で亀島かを聞いてみて下さい。もちろん、無いお寺もありますから、逆に言うと慣れるまでは聞かなければ分からない場合もあります。
そして、具体的な見方が分かったところで、一旦その知識は解放してしまいます。実は庭園の見方のコツは心眼で見る事。つまり心の目で自由に見て頂きたいのです。知識を付けて、一旦はそれを解き放ち、その上で自由に見て下さい。知識が無かった時に自由に見る事と、ワンポイント知った上で自由に見るのとでは見え方が違います。
ですので、蓬莱山や鶴島や亀島の事を知った状態で、心眼で見て下さい。その後、スタンダードアイテムを探すという風に、一回で二度美味し庭園の鑑賞をしてしまいましょう。場数を重ねると、段々その庭園を作庭した人の意図が分かってくるかも知れませんよ。