高級珍味は自分で作ろう!からすみ風「干し魚卵」の魅力
高級つまみは自分で作ろう
これからの季節は、われわれ左党にとっては最もうれしい季節だ。日本酒やワインなどの新酒が競うように販売され、毎日毎晩、今日は何を飲もうかとうれしい悩みに襲われる。
酒を飲むときは、同時に肴を何にしようか悩むことが多い。その酒との相性もさることながら、古今東西、実に様々な食品がつまみとして販売されている。これを選ぶのに悩まされるのはうれしい悲鳴と言えないこともないが、しかし一般的にはつまみというのは少量で、しかも割高であることが多い。
酒にお金を使い、つまみは安く済ませたいという人が多いと思うが、かといっていつも100円のあたりめというのも芸がなく、すぐに飽きてしまう。
そんな時、自分で作ることができ、保存しておけるつまみはとても重宝する。自作すれば安上がりだし、自分の好みの味に調整することも容易だ。高級珍味と言われるものでも、意外と簡単に作ることができるものがある。今回は、まさに高級珍味の王様といえる「からすみ」風のおつまみを簡単に作る方法をお伝えしたい。
超簡単・からすみレシピ
からすみといえば、泣く子も黙る日本三大珍味の一つで、日本で最も高級な食材の一つだといえる。わが国には安土桃山時代に大陸から伝わったといわれており、長崎のボラの卵を使ったそれは、江戸時代より大いに珍重され、酒飲みを狂喜させてきた。
しかし、他の地に目を向ければ、瀬戸内地方ではサワラの卵を用いたからすみが作られているほか、ヨーロッパではマグロやサバなど青魚の卵も利用されているなど、要は魚卵であれば何でも材料にできることが分かる。
日本ではボラの卵はほとんどがからすみ用に流通してしまうため、一般人は手に入れづらく高値になっていることが多いが、ブリやタラ、タイなどであればスーパーなどでもしばしば販売されており、簡単に手に入れられる。
新鮮な魚卵が手に入ったら、まずそれに多めの塩を振って、バットや平皿に並べて冷蔵庫で1週間ほど置き、水分を抜く。その後一晩流水にさらして塩分を抜き、今度は日本酒に1週間漬ける。酒から引き上げたら干し網で日光が当たらないようにしながら干し、カラカラになると完成だ。
市販品だとこれ以上長く漬けたり、良い酒を使ったり、見栄えを良くするために丁寧に1本1本血管を抜いたりするので値段が上がってしまうが、自分で食べる用なら気にする必要はない。どうしても面倒なら、酒に漬ける手間すら省いてもよい。要は干した魚卵がからすみで、ただ干すだけでとてもおいしくなるので、古くから珍重され続けてきたのだといえる。
オススメの食べ方
出来上がったからすみは、できれば軽く火を通して食べるのがいい。実際は市販のからすみも軽くあぶって食べると脂が溶け出して美味しくなるのだが、自作の場合はその傾向がより強くなる。
もし塩が強くなってしまったり、食感がぼろぼろしてしまった場合は、お茶漬けにしたりパスタの材料にすることで美味しく食べることができる。イタリア料理の定番「ボッタルガのパスタ」は、自作からすみをふんだんに使えば安上がりにおいしいものを作ることができる。
また、材料でオススメなのは、スーパーでよく売られている筋子だ。卵の粒が大きいのでうまく干せないように思えるが、ねっとりと濃厚な味わいのものが出来上がる。塩で締めた状態で売られているので、酒に漬けこむ所から始められるのもうれしい。
材料や工程、塩や酒に漬ける期間などを調整することで、自分の好みに合わせたオリジナルのからすみを作ることができる。スーパーや魚屋で安い魚卵を見つけたら、ぜひ挑戦してみてほしい。