文化の違いを理解して、外国人新入社員を上手く活かすためのコツとは?
グローバルという言葉が、使われだして既に久しい。企業の海外拠点も激増し、普通の会社に勤めていても海外へ行く機会が増えてきて、もはや海外出張や駐在は珍しい事ではなくなっている。
日本国内においても、社員の中に外国人がいるケース、または社員ではなくとも、派遣や研修など様々な形で外国人と触れ合う機会が増えて、もはや生活する上で外国人を見る機会と言うのは稀な事ではなくなりつつある。すでに、外国人と日本人の距離が大幅に縮まっている今日の現状である。
企業の外国人の雇用と外国人の日本人雇用
少し前であるが、「俺の上司はフランス人♪」と言う歌が流行ったが、その後も日本国内で外国人社長に日本人が雇用されるケースも少しずつ増えてきて、日本企業も外国人を優先的に雇う方針を立てている企業、会社内では英語を公用語にする企業など、実にバラエティーに富んだ情勢になってきている。
ここで少し提言したいのは、それを否定するのではなく、一部の企業が「日本の若者は、バイタリティがないので、外国人を雇用する」と行った企業があったが、私はそれは少し考えた方が違うのではないかと感じる。
日本人の若者と現代社会
「今時の若者は!」と愚痴をいう先輩世代は沢山いる。しかし 考えても見て欲しい、確かに理解しがたい事はあるが、例えば十年前はどうであったか? やはり 「今の若者は!」と言われていた。では、20年前になるとどうか?全く同じである。
つまり これは年代による考え方の違いがすぐに理解できないのが一つの理由であろうし、もう一つは、新入社員が会社のルールに熟知しておらずに、学生や若者同士のコミュニティーで築いてきたつながりの延長で対処しようとするのが理由ではないかと思われる。
そして、この「今時の若者」と、言う言葉、日本社会では昔から永遠に使われ続けている「普遍的な常套句」とでも呼べる物であり、本来 今の若者をさす言葉ではないと言える。
この技術の進歩が著しい現代において、価値観の普遍性などなかなか定着しづらい上、考えてみれば、少し前の世代は、携帯電話など無い時期に青春を過ごしているし、その前は個人的なゲーム機など陰も形もない世代である。
その環境の違いで、世代間に考え方の違いはできるのは当たり前で、どちらかと言うと、自分たちの常識や考え方にしがみ付く為の心理的な逃避とも言える行動に似ている。
この「今時の若者」と、言う言葉の裏には、俺はお前を理解しない。お前が理解を出来る行動をしろ!と、言う圧迫となるときもあり、それが日本の会社社会の特殊事情を形成する要因となることもある。
外国人を雇うという事の意味
とは言え、日本の若者と外国の若者を比べた時、ある程度同じ文化的背景を持っている日本の若者の方が、遥かに使いやすい。日本には、「言外の言」と、言う言葉あるが、それは基本的に外国人は通用しない。
また 日本の常識や、世間に合わせるという習慣が稀薄なため、日本人にはない、外国人の方が新鮮な考えを提示する事もあるし、引く文化と言うものが基本的にないので、どんどんと強引にでも仕事をとって来たりする事もある。
これは会社にとっていい刺激であるし、決して悪い事ばかりではない。が、彼は日本の年配世代にも中間世代にも若者世代にもない、強い自己主張をするのが、日常であり彼らの常識である。日本のように横並び意識は皆無で、自分をいかに売るかというアグレッシブな姿勢の塊であったりする。
そこで私は一つの疑問が生まれて来る。果たして同じ文化背景を持っている日本の若者を理解できない層が、外国人を理解できるのか?相手がある程度合わせてくれると言うのは、日本人相手で始めて成立するという事を理解しているのか?
少なくとも相手が自分と違う考え方であるのが、当たり前と考えていなければこの関係は、短期的に上手く行っても長期的には上手く行かない。
さらにもう一つ、今の日本はだんだんと短期的な成果をばかりを望む傾向があるが、元来日本の会社社会は、社員を育てて長い期間働く事を基本してきている。つまり、今の成功した日本の企業モデルであるが、最近は自らの成功事例を、壊す方向に向かっているのではないかと言う疑問である。
少なくとも上のような事を理解した上で対処しなければ、いずれ日本の若者に感じた以上の、違いや失望感を味わう事になるのではないかと思う。それどころか会社のルールを壊しかねない事を再考すべきであると感じる。
外国人を雇う事に関しては、取り立てて反対もないし問題もないと感じるが、目的・相手の事・回りへの影響など十分に考慮して対応するべきで、また同時に今まで日本が経済的に成功してきた「日本の特性」という、日本人のアイデンティティや企業のアイデンティティを考えた上で、望むべきであろう。
少なくとも「日本の若者」が使えないと単純に考える上司に「外国の若者」は使えないだろう。