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中古の一軒家を買ったら、別に買った人が?!家は誰のもの?

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2014.04.20

結婚して子供も産まれ、家族の人数や将来の見通しがある程度立ってくると、マイホームの購入を検討される方も多いでしょう。

そこで今回は、マイホームが二重に売買されていた場合の所有権の所在について、法律ではどう解釈されるのかについてご紹介します。

二重に売買された場合とは

二重の売買とはどのように起こるのか、以下で例をあげて見ていきましょう。

マイホームを購入しようとしていたあなたは、やっと納得できる物件を発見。中古だけど中はきれいにリフォームしてあるし、ここで決まり!とローンを組んで売り主であるAさんに支払いも済ませます。

「それでは、振り込みを確認してから登記を移しましょう」とAさんに言われ、あなたがうきうきと新居に荷物を運び込んでいたら、知らない人(Bさん)がやってきて、「この家は私がAさんから買ったものです」とあなたを追い出そうとしました。

あなたは慌ててAさんに連絡を取りましたが、Aさんはすでにどこかへ逃亡。あなたの支払った代金をすっかり引き出して夜逃げしてしまったようです。

Bさんが持ってきた書類を見ると、確かにAさんとBさんはこの家についてあなたより前に売買契約を交わしており、Bさんも振り込みを済ませていたことがわかりました。

このような場合に、Aさんの家についてあなたとBさんへ二重に譲渡が行われた、と法律上評価されます(民法177条参照)。それではこの場合、所有権はどちらが持つことになるのでしょうか。

どうやって所有権が定まるのか

所有権がどちらかを考えると、直感的には先に売買契約を済ませた方が所有権を持つのではないか、と思えます。Aさんは1回目の契約をしたことで、2回目の契約時にはすでに所有者ではなくなっていると言えそうだからです。

所有者でない人が物を売ったところで、その契約をそのまま有効とするのはちょっと無理がありそうです。そこでこの考え方に従えば、先に契約したBさんが家の所有権を持つことになりますね。

しかし裁判所の考え方は異なるようです。先に契約をした方を優先するという考え方は採らず、まず売買の対象物をその性質によって二種類に分類します。

具体的には、二重に売買された物が「不動産」なのか、それ以外の「動産」なのかによって、所有権の所在を決定する要素を分けて判断するのです。不動産とは土地や建物のことで、動産とは不動産以外のすべての物を指します(民法86条参照)。

そして不動産であれば、買い主のうち先に登記を備えた方がその不動産の所有権を取得することになるとされています(民法177条参照)。動産であれば、先に引き渡しを受けた買い主がその所有権を持つことになります(民法178条参照)。

そうすると、今回の事例の場合であれば、二重に売買されたのは家で、不動産に当たりますから、あなたとBさんのどちらが先にこの家の登記を備えるかで所有権が定まることとなります。

事例ではどちらもまだ登記を持っておらず、まだAさんが登記を持っているようです。そこであなたとBさんは自分に登記を移すようにAさんにはたらきかけなくてはなりません。

逃げてしまったAさんがその間に別のCさん、Dさんにどんどん家を売ってしまい、誰かに登記を移動されてしまっては大変です。急いでつかまえて自分に登記を移してもらいましょう。

あなたが登記を受けることができれば、あなたはBさんに対しても誰に対しても「この家は自分のものだ」と堂々と主張することができるようになるのです。

さて、これであなたは一件落着となりますが、登記を得られなかったBさんはどうなるのでしょうか。一歩間違えばあなたも登記は得られなかったのですから、ちょっと気になりますよね。

この場合Bさんは、買った物の引き渡しという義務を売り主が果たすことが不能となったことを理由として売買契約を解除し、すでに支払った代金を返すようAさんに求めることとなります(民法543条参照)。さらにこの事案に関係して発生した損害を賠償するよう請求することもできます(民法415条参照)。

このように登記が得られなくても、支払った代金を取り戻す方法は法律上定められていますが、実際には、二重に家を売買するほど金に困っているAから代金を取り戻すのは至難の業でしょう。

たとえ裁判などで勝訴判決を得て、さて取り戻そうとしてもAには何も財産がない、なんていうことになれば結局代金は返ってきませんからね。

しかし、家の購入代金は「返ってこないならないで仕方ないや」と簡単に思いきれるような金額でないことがほとんどでしょう。

こんな事態に巻き込まれないよう、マイホーム購入に関わらず、大きな金額が動く契約を結ぶ際には十分注意を払うことが必要です。

「相手が詳しそうだから任せておこう」なんて思っていると痛い目を見かねません。自分が契約の当事者だという自覚を持って事に当たるようにしましょう。

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