風流かつ美味いもの好きは知っておくべき!和菓子の雑学
皆さんは和菓子を食べますか?最近では再度その魅力が見直されてきている和菓子。そんな和菓子についてちょっとだけディープな雑学をお話ししていきたいと思います。
1.そもそも和菓子とは
そもそも和菓子と洋菓子ってどう区別されているのでしょうか。たとえばカステラやコンペイトウは和菓子?洋菓子?
実は、「和菓子」という言葉は明治期に欧米諸国の菓子が入ってきたときに、それに対となる日本伝統のお菓子という意味で登場しました。したがって、「明治期にすでに日本のお菓子として定着していたもの」=「和菓子」なのです。
ですから、上記したカステラやコンペイトウは、当時すでに日本のお菓子として定着していたものですから、「和菓子」に分類されるのです。
2.和菓子の源流
そもそも我々が食べている羊羹などはどこから来たものなのでしょうか。また、なぜお茶とセットで頂くのでしょうか。
諸説ありますが、その中の一説によりますと、7世紀ごろ、唐からお茶が日本に入ってきたときに、羊羹などのお菓子もセットで入ってきたとのことです。このことから、和菓子は中国に源流がある。そしてお茶とセットで嗜まれると言われています。
では、なぜ現代のように日本中で和菓子が親しまれるようになったのでしょう。それには織田信長が大きく関係しています。そもそも織田信長は、茶の湯にかなり精通した人物であったと言われています。
彼のお目付け役、平手政秀は自らの茶室を所有しており、京都から来た公家を驚かせたという話があります。お目付け役が茶の湯に精通していたということは、信長も茶の湯に相当精通していたと考えて間違いありません。そんなお茶に精通した信長は、茶の湯を政治利用します。どのように利用したのか。まず、茶の湯を名声の象徴としたのです。
実際に、織田家の家臣団で茶会を許された人間は、柴田勝家、明智光秀、羽柴秀吉、丹羽長秀、織田信忠の5人だけでした。すなわち、彼らは茶会をすることで上流階級(公家、風流人)などと公的に交流を持つことを許されたというわけです。
反面、信長からすれば褒美に土地や金をやる必要がなくなるわけですから、腹が痛まずに済みます。茶器の材料は、木や竹、土ですから、金がかからないのです。また、荒くれ者である下々の者に対して、礼儀作法を学ばせるという効果もあったといいます。
そして、このようなシステムは秀吉も引き継ぐことになり、さらに江戸時代の参勤交代制度などと共に、日本全国に茶の湯が広まっていきました。そして、お茶とともに和菓子も全国に広まっていくことになったのです。
3.日本三大菓子処
では、日本三大菓子処といえばどこでしょうか?「京都」は、皆さんぱっと思いつくと思います。では、あと2つは?
答えは、「金沢」(石川県)と「松江」(島根県)です。では、なぜ「金沢」と「松江」が菓子処なのでしょうか。
(1)金沢
金沢といえば、前田利家公が有名です。少し古いですが、大河ドラマ「利家とまつ」でも取り上げられました。その前田利家が、茶の湯に興味があったというのが始まりです。彼が織田信長の家臣であったことからすれば、当然かもしれません。
利家は、利家の子、2代目加賀藩主前田利長と共に千利休の直弟子であったのです。さらに3代目藩主利常や5代目藩主綱紀なども加賀の国を挙げて茶の湯の奨励をしていたのです。このように、長期間にわたって茶の湯に親しまれた結果、現代においてもお茶とともにお菓子が親しまれているのです。
(2)松江
松江も、18世紀に松江藩主松平治郷(はるさと)-不昧公(ふまいこう)-が、茶の湯に没頭したことから茶の湯文化が栄えます。茶の湯文化の栄えと共に和菓子も栄えたと言われています。
なお、松江には和菓子職人の現代の名工がいらっしゃいます。筆者は、一度この方のお店でお菓子を頂いたことがあるのですが…そのためだけに松江に行く価値がある!!というぐらい美しく、美味しいです。ちなみにネットでも買えるので、興味があったら検索をしてみてください。
4.これだけは覚えておこう
最後に、これだけは覚えておいて損はない、という和菓子の話を説明します。
(1)朝生菓子と上生菓子
まず、生菓子は、朝生菓子と上生菓子に分かれます。朝生菓子は、「あさなまがし」と読みます。これはその日のうちに食べるお菓子です。朝に作って食べてもらうという意味でこのような名前がついています。もち系の団子、草餅、大福などの日持ちがしない菓子のことを指します。
一方、上生菓子は「じょうなまがし」と読み、煉切(ねりきり)などの2~3日はおいしく食べられる、季節の風物を写し取ったお菓子です。
(2)食べる日にち
また、栗饅頭などの焼き菓子は、作ったその日より次の日の方が美味しくなると言われています。その理由は、餡と生地がなじむから、と言われています。和菓子業界では、「戻りがいい」と言うそうです。
5.終わりに
このように、今日は茶の湯と和菓子のちょっとディープな話をしてみました。女性や年配の方と話すときに少し話題に出してみると、話のきっかけになるかもしれませんね。