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日本人作家の中で功労者を一人選ぶなら、江戸川乱歩に違いない!

日本を代表する作家といえば皆さん誰を思い浮かべるでしょうか?私がまず真っ先に思い浮かべるのは江戸川乱歩です。ミステリーが好きな人の中では、かなり一般的な意見だと思いますね。

江戸川乱歩は自らが書いた小説だけでなく、他人が書いた作品を世に紹介することにもエネルギーを注いだ人です。

仮に、あなたがミステリー好きではなくても、怪人二十面相、明智探偵、人間椅子などなどどれかしらの単語は聞いたことがある人がほとんどでしょう。

ここでは江戸川乱歩という偉大な作家が、私達に残してくれたものを、いくつかご紹介できれば、と思います。

江戸川乱歩が残した作品は大きく4つに分けられる

数多くの作品を残した江戸川乱歩ですが、彼の作品は大きく分けて4つのカテゴリーに分けることができます。

まずは、怪人二十面相シリーズですね。子供向け用にもシリーズ化されていたこともあり、年輩の方は「子供の頃、夢中になって読んだ」なんて思い出がある人も多いと思います。

明智小五郎が出ることでも有名なシリーズで、いくつかの作品は映画化もされました。乱歩といえば、このシリーズ!という人は、一番多いかもしれません。

続いて、訳ものシリーズです。「幽霊塔」「黄色い部屋の謎」など、海外のミステリーを、独自に解釈して日本人の私達が読みやすいようにアレンジしたものです。

乱歩の訳ものがきっかけで海外ミステリーに親しむようになった人も多いはずですし、訳されて日本で有名になった海外作家本人は、乱歩に感謝してもしきれないでしょう。

3つ目は、怪奇幻影ものです。「パノラマ島奇談」に代表されるような、なんだかよくわからないけれど不思議な話です。このジャンルはミステリーでもなければ、二十面相のような捕り物系でもありません。

乱歩ならでは、という雰囲気たっぷりの話が多く、このジャンルのファンも多いですね。(個人的にはあまり好みではない、というのが正直なところですが)最後に紹介するのは、初期の短編です。

「人間椅子」や「屋根裏の散歩者」など有名な話も多いので、読んだことはなくとも、タイトルくらいは聞いたことのある人は多いと思います。

興味を持ったけれど、どこから読めばいいの?

そんな方に真っ先に勧めたいのは、初期の短編ですね。乱歩の神髄はここにある、といっても過言ではありません。また極論をしてしまうと、長編は、どれもこれも似たような話でしかない、と個人的には思います。

ほぼ水戸黄門なみに、お決まりのストーリーなので、いくつも読んでいるうちに結構、辟易としてしまうかもしれません。

しかし短編の作品はどれもこれも一級品と言えるでしょう。どうして作品の質がここまで違うのか?という疑問が当然のように湧いてくるのですが、それは当時の発表スタイルの違いによるところが大きいと思うのです。

短編を書いていた時期の乱歩は、いわば駆け出しの作家にすぎません。ですので、最初から最後まできっちりと書き上げてから、雑誌などに発表していたのです。

しかし大御所になってからの長編では、見切り発車的にスタートさせた連載も多かったのです。どう考えても、その場しのぎのような展開も多く、乱歩自身、途中で連載をギブアップしてしまうような作品すらありました。

今では笑い話ですが、「この先の展開をどうしてよいのかわからないので、今回で終了」と風呂敷を広げるだけ広げて、そのままゴメンナサイで終わった作品もありました(笑)まぁ現代の作家の作品でも、そのような作品はちょくちょくお目にかかりますが…。

日本のミステリーへの貢献度ははかりしれない

自らの作品ではもちろんのこと、海外の作品を日本で紹介することに関しても、非常に熱心だった江戸川乱歩。彼がいなければ、日本で出版されることがなかったような海外の作家は大勢いることでしょう。

また、その作家の作品を読んで、小説家を志した現代の人気作家も多分にいるはずです。

そう考えると、日本を代表する作家という言葉に、もっともしっくりくるのは江戸川乱歩に他ならない、と私は考えるのです。

もし、あなたが少しでも興味を持ってくれるのであれば、是非、短編の一つでも読んでみてください。

日本独自の雰囲気に包まれたミステリーを、日本語でそのまま楽しめるのは、我々日本人の特権なのですから…。

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