離婚の危機が起きた時、離婚する夫婦と離婚しない夫婦の違い~後編~
我が家の「夫婦の危機」を乗り越えられた下らない理由!
3連休の初日にお彼岸お中日だというのに決定的な大げんかをして、ついに私は3連休が明けたら離婚届けを市役所に出しに行って国民保険と国民年金の手続きをしようとはっきりと決意したのです。そして家を出て行く準備も万全に本当にテキパキトランクに荷物を入れ始めていたんですよ。
喧嘩の原因の夫の両親は3連休に箱根の温泉にご旅行です。全くお気楽なものです。夫の両親が旅行中に我が家は修羅場です。
「アーッ!シツコイ!!(怒)」という夫の逆切れ態度に、「この人が快適に暮らせるようにニコニコしていない私は要らないんだ」「私はペットじゃないし、妻の気持ちは関係ないなら、私の人生にもこの人は要らない。私はあなたの親の家政婦じゃない!」と真剣に思いました。
当然全ての家事を放棄していました。同じ屋根の下にはいますが、もはや夫婦ではなく同居人です。逆切れしておいて、「そういう意味じゃない!」「どうすればいいんだ!」「離婚離婚と脅すな」とか言いたい放題です。
私の父を本気で怒らせた夫の親の態度には「言っても通じないから、無視すればいいのに」しか言わないのです。同居をしている私のことを全く考えてくれません。このままでは、私が自分の実家や親戚と絶縁されてしまうような大問題なのに(怒)(怒)(怒)!
こんな感じですから、私は家事を全面放棄です。火曜日には出て行くのですからお掃除なんてしません。にっくき同居人のための料理なんてするわけがありません。
家を出る準備を整え、お風呂から上がって楽しみにしていたBS「王様の家SP」を見ようと思っていて、夕飯は特上お寿司を出前してもらうつもりでした。それがお風呂から上がると、何と、夫が食卓に料理をセッセと準備しているのです。
夫は私が家での準備をしている時に買い物に行って来たようで、お風呂に入っている間に準備して、私がお風呂から上がった時には食べるだけといった感じで準備してくれていたのです。仕方ないので、最後の晩餐をしてあげることに。
メニューは、ハタハタのカラアゲと、ほうれん草の胡麻和え、オニオンスープでした。でも、お客様用の食器を使い、盛り付けがまるでレストランのように美しいのです。
頭の無いハタハタをエビフライの盛り付けのように尻尾をてっぺんにして中央に山のように盛り付け、端っこにはサラダ菜の上にポテトサラダがチョンと乗り、ミニトマトで可愛く飾り付けされているのです。
悔しいけど、見た目も美しく、すごく美味しかったのです。ハタハタのカラアゲは絶妙な塩味で揚げてあり、レモンだけで何とも言えないお味です。お見事としか言いようがありません。「こんなにお料理上手だったの!?」ただただそう思いました。
「王様の家SP」を見ながら大笑いし、楽しい食事をしました。もちろん私は後片付けなんてしませんでしたが、「ご馳走さまです。美味しかったです」と言いました。夫も「良かった」と言ってそそくさと後片付けを始めました。
その間、私の心に不思議な葛藤が始まりました。「胃袋を掴むと男性は必ず戻って来る」と昔から言われていますが、本当だと心から思いました。夫への怒りはありますが、「離婚すると、このハタハタのカラアゲが二度と食べられない・・・どうしよう。また食べたい・・・」と思っている自分がいるのです。
でも、こんなことで離婚を止めるなんてプライドが許さないと思ったのですが、私は「離婚」と「ハタハタのカラアゲ」を天秤にかけ、ついに「離婚」は「ハタハタのカラアゲ」に負けてしまったのです。私は情けないことに胃袋を夫に掴まれてしまいました。私は何より食べるのが大好きなのです。
結局、「ハタハタのカラアゲ食べたいから離婚は止めてあげるよ」と言うと夫は大喜びで、毎週休日の家事と料理は夫がすることになりました。但し、キッチンの後片付けまで完璧にすることを条件に。
結局何一つ解決していないのですが、法事は私一人で行くことにし、夫の両親とは適当に割り切ってお付き合いすることにしました。悲しいですが、通じない人には通じないですし、家柄の違いは否めないのです。それを仲良く一緒にしようとしていたのが無理なのでしょう。
無理にお付き合いしようとしていたので、お互い爆発したのでしょう。そう割り切ると気が楽になり、私達夫婦はもと通りになりました。両親も昨日夜遅くお土産をいっぱい持って帰って来て、何事も無かったように普通に家族団欒をしました。
夫の両親も反省はしてくれたのだと思うことにしました。コッソリ家出の大トランクを片付け、今日も朝から夫が出勤した後に両親と一緒にいつものように朝食を摂りました。いつもの風景です。