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男性が女性の作ったお弁当で、その女性の内面まで想像してしまう理由~後編~

影武者がばれた時、彼女は本領を発揮します

私は女子会館で彼は男子寮だったので、彼の家で手料理をふるまうような機会にも運よく恵まれず、私達のお弁当デートは続きました。私が急に料理ができるようになることもなく、友人が私のお弁当影武者になり続け、卒業前にプロポーズされ、私達は私が卒業したら結婚することになったのです。

彼は私の料理を一生食べていたい、と言いました。さすがに私は白状しましたよ。あのお弁当は友人の手作りであることを。私がいかに料理下手であるかも。すると彼は私の下手な料理を食べてみたいと言ったので、最初で最後のつもりで4~5時間かけてお弁当を作りました。

友人に作り方を教わりながらも彼女の手を一切借りずに6回ほど作り直したでしょうか。その出来損ないは、他の友人達が味見をしてくれていました。焦げたり形が崩れたり、油が飛んで鍋がひっくり返ったり、キッチンはあり得ないような凄まじい戦場と化していました。

それでも、どうにか形になり味だけは美味しいと友人達の保証付きお総菜ができあがる頃には友人達はお腹いっぱいになっていました。お惣菜を冷ましてお弁当に詰め、おかずは冷蔵庫に入れました。

いなり寿司・巻き寿司は私の大好物ですが私には難しいので、炊き込みご飯に金糸卵をばらまくことにしました。金糸卵だけ作っておき、炊飯器をセットして、ご飯は朝詰めることにしました。これで準備万端です。私のお弁当の作りカスを肴にその日は女性3人で打ち上げをしました。彼女達はその後四半世紀経った今も親友です。

さて、次の日はお弁当に冷ました炊き込みご飯に金糸卵を散らして友人宅から親友達の声援を受けていざ出発したものです。そして彼と待ち合わせをした横浜埠頭まで行き、そこから西湖までドライブしたと思います。西湖の湖畔でいざお弁当公開となりました。

私のお弁当は、何とも「くた~」とよれよれな感じのお世辞にも見栄えの良いものではなかったのですが、カラフルな仕切りに、プチトマトやタコさんウィンナーで彩りだけはきれいだったと思います。彼の第一声は、「わぉ!思ったよりきれいじゃん!」だったように思います。そして黙々と食べ始めました。

「見栄えの割に美味しいよ♪なかなか旨いよ。ホント♪なんで友達に頼んでたのさ!?」といったようなことを彼が聞いたので、私は正直に「一人で全部作ったけど、味がわからなくなるので味見部隊の友人の協力を得て5時間以上かかった」という恥ずかしい話をしました。

「迷惑な奴!」と彼は大笑いでした。そして「心のこもったお弁当をありがとう!」と言われたのを覚えています。そして、改めてプロポーズをしてくれました。「味覚がバッチリなんだから料理も慣れればバッチリだよ。それまでオレが手伝ってやるよ。一緒に楽しくやっていこうな!」というようなことを言ってくれたように思います。

彼が結婚を決めた理由は?

後から聞いたのですが、私の旦那の場合、私が持ってくるお弁当と私のイメージが違うことをなんとなく不思議に思っていたのだそうです。

はっきり言うと、お弁当は美しく完璧に完成されていたのですが、私の性格はアバウトで最後が抜けているのにこんな完璧なお弁当作るんだなぁ、といった感じで不思議に思っていたとか。それが事実を知って私のお弁当を食べて納得したのだそうです。彼の中でお弁当と性格が一致したのです。

それに、ここまで友人が協力する私の人望にも驚いたそうです。しかも、味見部隊がいて5時間以上も友達が付き合い、できあがったら打ち上げをしたなんて、笑ったけど却って真面目に思ったのだそうです。お弁当に性格が出るという男性の意見は正しいようですね。

また、彼女の味覚がわかるから結婚してからどんな食事を食べさせられるかも予想がつくのだそうです。但し、私の料理に「目で楽しむ」という日本独特の食の要素は期待しなかったようです。

あと、あんなにすごいお弁当を作るのに、お弁当を作ることを私があまり快諾しないのも不思議に思っていたようでした。当たり前です。初めてお弁当を持って行った時、不本意ながら友達が全部作ってくれたなんて言えなくなってしまった私は、嘘を重ねるのが嫌だったからです。

彼が結婚を決めた一番の理由は、未だ定かではありません。嫌みも通じない鈍い嫁に、のれんに腕押し状態では嫁いびりする気にもならないのだとか。嫁いびりするようなお義母さんではありませんが、初めはビックリすることがいっぱいあったそうです。よく我慢してくれたことだと思います。

こんな私も四半世紀の年月を経ていっぱしの嫁になっていますよ。料理もバッチリです!一応私は義母にとって自慢の嫁に成長したそうです。こうなることを夫は予想していたのでしょうか。いまだ謎です。

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