誰かの一声で奇跡が起こる!大事故を防いだ集団の力の素晴らしさ~前編~
埼玉県のとある駅のホームで、大勢の男性達の電車を押す姿を映した不思議な写真がメディアで公開されました。男性は電車の中の乗客で、必死に電車をホームと反対側へ傾かせようとしています。この不思議な写真は何があったのでしょう?
不思議な写真の種明かし
2013年7月22日午前9時15分頃、埼玉県の南浦和駅のホームで女性が電車から降りようとして、ホームと車両の間(隙間10cm)に落ちて両足が挟まれてしまいました。そのまま女性に気付かず電車が出発していたら思わぬ大事故となっていたでしょう。考えただけでもゾッとします。
しかし現実は、駅で「ホームに人が挟まれた」というアナウンスが入り、それを聞いた乗客たちが自主的に電車から降りて、車両を押していた駅員を見て手伝ったのだそうです。
車にちょっと詳しい人なら車輪には車体が斜めになれるクッションがある事を知っているのだとか。だからとっさに駅員のやっている事の意味がわかったのかもしれません。
30代女性を助けるために、電車の中の全ての人が降りて乗客と駅員が一緒になって、力いっぱい電車を押して、ホームと車両の隙間を作ってかろうじて女性は救出されました。女性は一応病院に運ばれましたが目立った怪我も無かったとのこと。
とにかく集団の力はすごいものです。車両が傾き救出されるまで電車の遅れが約8分ありましたが、その後何事も無かったように人々は電車に乗ってホームから電車が発車したそうです。
誰かがこの光景をスマホで撮影したのでしょう。映像がニュースで流されました。押している乗客のほとんどの体が45度以上傾いて力いっぱい電車を押している姿が映っています。またラフな格好の男性が多いようでしたので時間帯から学生が多いのかもしれません。同じ電車に乗っていた見ず知らずの人が全員協力するなんて、なんて美談でしょう。
人間関係が薄いと言われている東京
この南浦和駅での出来事は、人間関係が薄くなったと言われている東京で奇跡のような美談が起こりました。学生が多い時間帯だったからかもしれません。背広や鞄を持ったまま体を45度傾けてまで電車を押す事はできないでしょう。
「他人の善意の力ってすごい!」と思います。助けられた女性も間一髪の命拾いですし、助けた人々もすがすがしい気持ちだったに違いありません。女性が救出されて電車が発車した時、誰もがすがすがしい気持ちになったのではないでしょうか。
たった8分の集団の力で人命救助ができたのです。彼らは大学や会社に行って友人や同僚にこの出来事を自慢する事でしょう。最近の男性はカッコイイ人が増えているのかもしれません。
さて、電車の人身事故で電車を遅らせたら、被害者の遺族が莫大な損害賠償を請求されると聞きます。みんなが感動している中、とっても無粋な話ですが、この女性救出のために遅れた8分の賠償金はJR東日本から請求されるのでしょうか。
8分の遅れがあっても乗客たちは、女性を救出した後普通に電車に乗り込み歓声をあげたい気分でいた人が多いでしょう。この中で8分の遅れを迷惑だと感じた人はいなかったのではないでしょうか。8分で一生心に残る良い思いをしたという感じもします。
このすがすがしい気持ちを若者達は忘れないでしょう。カッコイイと思います。彼らはこの先日本を良い方向に変えてくれるような気がします。