老後の趣味でなくなった盆栽は、『モダン盆栽』が受けている
盆栽なんて年寄りの趣味、と考える人が多いが、『モダン盆栽』という言葉を聞いた事はないだろうか?盆栽屋が、若年層を顧客に取り込もうと考えたアイデアだが、ネットや週刊誌で時々見かける。価格も千円前後で購入できる。
私的見解だが、盆栽の価値は ①鉢の価格 ②枝振り ③コンパクトさ で決まる。価格の半分を占める鉢が安くなれば販価も安くなる。写真で見ると、鉢がモダンな物からロック風の物である。ほとんどが小品盆栽といわれる十センチ四方の鉢だ。盆栽は枝や根を切りコンパクトにまとめたモノだ。小品が多いのは頷ける。植物の生育力を補う共生菌のために枯れないでいる。
季節感の演出に最適
一番大きな違いは植物の種類だ。観葉植物は主に亜熱帯の植物が多いが、『モダン盆栽』は日本の植物を主としている。日本は四季があり夏は暑く冬は寒い。特に亜熱帯植物は越冬が大切になる。もともと日本の植物であれば越冬もしやすい。
『モダン盆栽』では戸外で越冬できる物もある。四季を楽しむ点から季節感演出には一役買う。観葉植物は緑を楽しみ癒し効果を演出するが、盆栽では季節感が加わる。例えば桜は早春の花、夏の葉桜、冬の裸桜と変化する。南天や紅葉も季節感演出には最適だろう。和の演出とまでいかなくても季節感は十分出せる。
場所を選ばないコンパクトさ
緑を楽しむ観葉植物は夏になると生い茂ってくる。パキラは大きな葉を多く付ける。生育力旺盛で癒し効果は抜群だ。テーブルサイドの30cmのパキラが二年目で1mを超えてしまう。根元も随分太くなる。緑豊かになっていく様は楽しみの一つだが、置き場所に困る時がある。
それに対して『モダン盆栽』は置き場所には困らない。小さく作る事を良としている盆栽だから生育力旺盛という訳ではない。鉢も深鉢でなく浅鉢を良としているので鉢も選ばない。鉢を選ばなくて済むので色々なモダン風の鉢が利用されている。水槽を利用し日本風景を演出した大型の『モダン盆栽』もあるが小品が多い。
手間は必要
『モダン盆栽』も長所ばかりではない。枝を切ったり針金で固定したりとコンパクトさを維持するために、週に一度は数分の手間をかける必要がある。数日間隔の水遣りと越冬で十分に育つ観葉植物と異なる点だ。
手間も楽しみの一つとしていかなければ続かない。樹木が中心なので枯れる心配は少なく数分の手間で済む。和を自分の環境に持ち込み、季節を味わう楽しさを実感できる事を思えば些細な手間だ。