ルー・リード死亡!ロック界の重鎮である彼が私達に残してくれた音楽Lou Reed
2013年10月28日、ロック界の重鎮、ルー・リードが亡くなりました。日本での知名度があまり高くないため、ニュースなどには取りあげられませんでしたが、音楽ファンの多くは、悲しみにくれたことでしょう。
ルー・リードの音楽、「もしかしたら全く聴いたことがない!」なんて方もいるかもしれません。アーティストが死亡することによって、作品に注目するというのもなにか違う気がしますが、「こんな機会でもなければ聴くことがなかった」という方がいるのも真実。ここでルー・リードが私達に残してくれた音楽を振り返ってみたいと思います。
ルー・リードといえばバナナ
ルー・リードはソロアーティストになる前に、ベルベットアンダーグランドというバンドで活躍していました。1967年にデビューしたこのバンドのデビューアルバム、「ベルベットアンダーグランド&ニコ」は有名です。
何が有名かというと、アルバムの中身ではなくジャケットによるものが大きいでしょう。バナナの絵が大きく書かれ、当時売り出し中のアンディ・ウォホールのサインが右下に書かれています。ロックやルー・リードに興味がなくても、このバナナのデザインだけは知っている!なんて方も多いのかもしれません。アンディ・ウォホールといえば、バナナかマリリン・モンローなんていうライトファンも多いでしょう。
さて、この一番有名とされるバナナアルバム。現在ではロックの入り口として、入門者ご用達のマストアイテムになっていますが、発売当初は全く売れなかったらしいです。その後バンドが4枚目のアルバムでヒットをした時にバンド自体が見直され、多くの人に認知されます。
また、ルー・リードがソロでヒットした時にも見直されたことでしょう。少しずつ、「知る人ぞ知る名盤」扱いになっていきます。その後、多くのロック名盤を紹介するメディアに取りあげられ、今の音楽好きなら誰でも知っているレベルでのアイテムになっていった、ということです。
バナナの中身は…?
ジャケットだけがやたら有名なアルバムですが、音楽の中身も十分に魅力的だと個人的には思います。アルバムタイトルが「&ニコ」となっているだけあって、ニコという女性ボーカルが参加、また2枚目でバンドを脱退してしまうジョン・ケールが参加していることが特徴です。
もちろん大物アーティストが集まっても凡作になってしまうことも少なくありませんが、このアルバムでしか聴けない競演は、聴く価値のあるものだと思いますね。もちろん40年以上前の音楽、現在の耳で聴くと驚くようなものは何もありません。ただ良いメロディー、良い曲が詰まっているアルバムです。古くは感じないと思います。元々、時代にのったような新しいことをやっていたわけではありませんから…。現役のバンドで一番近いイメージがあるのはベル&セバスチャンですかね。
ソロ以降の作品で聴いておきたいアルバムは?
アルバム4枚を残して、ルー・リードはバンドを脱退します。多くの人が誤解していますが、解散ではありません。脱退です。バンド自体は、ルー抜きでその後も数年続きますからね。
さて、ソロに転向したルー・リードですが、2枚目のアルバムで大きなヒットを飛ばします。「トランスフォーマー」というデビッド・ボウイがプロデュースしたことでも有名なアルバムです。そして続いてリリースされた3枚目の「ベルリン」。この2作がソロでは最も有名な作品でしょう。
ただし、ソロの初期の作品は、今聴くと時代を感じることが多いかもしれません。また、時代の波にのろうとしている感じもあり、彼本来の魅力が詰まっているとは言い難い作品も多いですね。
今から聴くのであれば1984年の「ライブ・イン・イタリー」をお勧めしておきます。その時点での集大成的なライブであり、演奏は極めてシンプル。その中で気に入った曲が収録されているオリジナルアルバムを聴けば、満足できる方が多いと想像します。
真骨頂は90年代以降でしょう
1989年作の「ニューヨーク」は傑作です。また、それ以降の作品はどれも素晴らしいものばかりなので、個人的には知名度の高い初期の作品より、比較的新しい作品から手を出した方が良いと思います。流行の音楽を取り入れることをやめてからが良いのです。はじめからこのスタイルで貫いていたら、日本でももっと知名度があったかもしれません。
ミスター・ニューヨークと言われたルー・リード。歌詞ではニューヨークの裏通りを描いた世界観でも有名ですが、そのため、日本人にはなかなか理解できない部分も多いです。歌詞がわかりませんからね(笑)。
しかし、雰囲気を感じるだけでも十分に価値がある音楽も少なくありません。今回の本人の死去で、あらためて注目されるされる方、是非、彼が表現しようとした「ニューヨークの裏」を堪能してみてください。