目先の利益で人を見かけで判断したら大変なことになる?~後編~
人の信用は見かけと実績とバックの力なのだと知りました
私が主人の扶養に入っていたのはたったの3年、過去の実績と、昔のクライアントの紹介でいただいたお仕事の契約書で、信用は十分だろうと思っていました。 地方銀行ですが、頭取の紹介のお仕事もその中にはあったのですから。
契約書を見せても、「実績がないし、できるかわからない」とまで言うのです。実績は今まで積んでいないと口コミの仕事があるわけがないのに。様々な主張と説明をしましたが、その銀行マンは時計ばかり見て、「規則ですから、信頼を裏付ける証拠がないとどうにもなりません」としか言いません。
私はどうにもならないので、最期の手段としてご迷惑を承知で、その出版社を紹介してくれた既に引退されている地元で一番大きな地方銀行の頭取のご自宅に電話をかけました。そして理由を説明し、その銀行マンにかわってもらって、元頭取直々に証言してもらいました。これ以上確かな証拠はありません。
私の相手をしていた銀行マンは、立ち上がり直立不動でひたすら頭を下げていました。まるでドラマ『浅見光彦シリーズ』で浅見光彦を散々バカにした刑事が、反対にお兄さんの刑事局長が直々に電話に出て話をしている光景とダブって、おかしくなりました。
バックに力があると態度の変わる人が本当にいるのです
電話の後、銀行マンは急に態度が丁寧になりました。でも、結局「次のお客様のご予約があるので、またお時間のある時にお越しください」と言うのです。確かに次のお客さんが待っているようでした。
でも、人の話を聞かずにずっと無駄な議論を強いていたのは銀行マンで、サッサと私の確定申告を見てくださっていたらすぐに終わっていたのに、おかしな話です。でも、次の人に迷惑をかけるわけにはいきません。
仕方がないから帰ることにしましたが、後からふつふつと怒りがこみ上げ、どうにもならなくなり、その銀行との取引を全て停止したいと主人に訴えましたが、「会社の取引銀行だから、そうもいかないよ」と言うのです。私達はその銀行のローン専門のビルを後にしました。追い出されたようなものです。
結局、私と主人は私の父の代から取引のある都銀に出向き、我が家の貯金と定期預金と私の報酬全てを預けている、いわば我が家の全財産を預けている銀行で、夫婦の収入合算の年収で住宅ローンが組めると査定してもらいました。しかも15年の短期返済型で5000万円です。
ちょっとスッキリしましたが、私の怒りはやっぱり収まらず、先ほど融資を断られた銀行の支店に電話をかけて、今日起こった出来事を報告し、そこのGMには関係ありませんが、いかに失礼な態度を取られたかを告げました。
もちろん「モンスター○○」と間違えられては困るので、他銀行の短期返済型住宅ローンで5000万円の融資の査定のOKをもらったことを告げた上で、「ものすごい侮辱を受けたので文句を言いたいのですが偉い方とお話しできますか?」とお願いしました。
そして副支店長の次に偉いという融資担当のGMという肩書の方に文句を言わせていただくことになりました。腹が立っていたので、別の銀行でも融資の査定をしてもらったことを告げ、
「主人の会社の取引銀行だから、こちらの銀行にお願いしようと思ったのですが、あまりに無礼な態度を取られて、怒りの矛先がありませんので、文句だけ申し上げても良いですか?」と再度お断りして、始終静かに報告の形で告げました。
大切な論点は、「見かけでバカにされ、査定してもらえなかったこと」ではなく、「サービス業としてお客様に対するこんなな礼な態度があっていいのか」という点に絞りました。具体例として、私の書類に目を通さなかった無礼、私のバックの有無で態度を変える点に絞りました。
私が全ての取引をそちらの銀行から引き揚げようと主張した事、それに対し、主人が会社のメインバンクだから我慢しよう、と制止した事、それよりもバカにされないよう資金力があることを示そう、と提案したことを告げました。一回り下の主人の方が大人の対応だったのです。
報告は20分に及び、「銀行マンというよりは、人間としてあり得ない。ありがとうございました。このお電話のおかげであり得ないサービスの汚点が発覚しました。この事は私の胸だけに止めず上に報告します。ご主人様のように我慢してくれるお客様は少ないと思います。これに懲りず今後ともお付き合いをよろしくお願い申し上げます」という回答でした。
人を人とも思わず、機械的に業務をこなすと恐ろしい結果が待っているということです。何だか、一人の銀行マンの出世の道を閉ざした気がしましたが、自業自得でしょう。主人の対応のおかげで文句が正当化されたと今は思います。