自分だけのマニュアルを作ろう!作業効率化への道
1 業務は流動的なもの
普通一般に業務というのは複数かけもちであり、当初アナウンスされた役割だけでなく状況に応じていろいろなことをこなしてゆく必要が出てくるものです。
突き詰めて言うと、そういうイレギュラーな業務をこなす比率が多い者ほど裁量権が多い、重要な人材とさえ言えるでしょう。
組織は常に流動しています。ずっと同じ事の繰り返しであることのほうが珍しいといえるのかもしれません。
それを乗り越え、そして成果を形にしてゆくには、いつまでも人の敷いた仕組みに囚われていたのではダメだろうと思うのです。自分で見つけた答えや方法論、手順やノウハウ、更には人脈等も含めて、蓄積された情報を自分なりに整理してゆく必要があると思います。
2 財産としての自分の軌跡
様々な経験をしてゆく上で、あなたは多くのことを知り、感じ、そして時に憤り、時に安心し、時に落胆するでしょう。
機械的に業務をこなし、またそのノウハウを蓄えることよりも、実はあなた自身が「感じた」ことそのものの方に、大きな価値があるということに気づくべきだろうと思うのです。
誰がやっても同じ事をそつなくこなせることが真に「デキる」ということではないでしょう。
そうではなくて、自分がどのように感じ、どのように考えたかについて、それをどのような形であれ記録して蓄積してゆくこと。これこそが将来にわたって重要な意味を持ってくると思うのです。
3 マニュアル=虎の巻をもつ
業務マニュアルというものがある組織は少なくないでしょう。たしかにそれは集団としての組織活動には有用です。しかし個人レベルではそういうマニュアルが必要な答えを提示してくれないことも多いはずです。
仕事を自分のものにできるかどうかは、その「得られなかった答え」をどのように見つけ出すかの手腕にかかっています。
その方法の一つの提案として、ここでは「自分マニュアル」を作ることをおすすめします。それは言うなれば自分のための「虎の巻」と言い換えてもいいでしょう。
上述のとおり、経験の蓄積はほかならぬ自分だけの財産です。これを元に自分マニュアルを作るわけです。その方法として以下にポイントを上げておきます。
- 日々の出来事を綴る(個人業務記録としてトピックを記録する)
- トラブルは詳述する、経過を記し、収束までの流れを把握しておく
- 細かな作業手順を自分流に時系列に書き連ねておく(いざというときのハウツーとして活用)
- キーパーソンを把握する(自分にとっての重要人物を理解し、ピックアップしておく)
- 連絡先一覧を作成しておく(すぐに参照できるように、頻繁に利用する相手先を把握する)
- 業務に関係ありそうな資料やデータを個人的に収集する
ざっと以上のようなことを上げましたが、みなさんもお気付きの通り、これらは仕事をしてゆく上で常識的なことだと思います。そんなことはだれでもやっているだろうとお思いかもしれません。
しかし、これらのポイントをどのようにひとつにまとめ、自分マニュアル化するのかについてはどうでしょうか。個別には当然のようにやっていることであっても、これを体系化している人は少ないと思います。
4 「引継書」をつくるというマニュアルの方法
上のようなポイントを体系化して自分のマニュアルにするための一つの考え方として、私が推奨するのは「引継書」を作るつもりでやると良い、というものです。
引継書というのは組織内で人事異動がなされる際(もしくは退職する際)に、前任者が後任者に対し行う申し送りとともに引き継ぐ資料のことです。
そういう事態が生じる可能性が微塵も生じていない時期に、作るべきものではないと思うかもしれませんが、実はなにもないときから準備しておくことが重要なのです。
通常引継書に含む情報というのは、現状の課題や問題点、中途になっている案件などがありますが、長く業務に携わっていると上述のポイントに含まれるような「細かいハウツー」部分は引き継がれないことが多いように思います。
当初は自分も初心者でやっていたのに、時間の経過とともに慢心して細かいことを蔑ろにしてしまう気分というのは、誰もに共通して生じる落とし穴です。
これを日々の記録をしっかりとってハウツーの蓄積をしておけば、あとから自分で見返して反省することもできますし、そこで得た学びを後任者にも引き継げます。
そのことが自分自身にも相手にも利益を生みますし、なによりも組織の業務に支障をきたさず、生産性を維持し高めることにも寄与できるでしょう。そこが重要なのです。
自己完結していたはずの情報の蓄積が、総合的には全体の利益になる。これが「引継書」視点で作るマニュアルの効能です。ぜひお試しください。