人に強い印象を残す、「常識と非常識の狭間」にある行動とは?
「ビジネスとは常識に従い行うもので、絶対に相手に不快感を持たせるような事をしてはならない」…
あなたもこのような「常識」を意識しながら、日々の仕事に勤しんでいることと思います。あなたが営業職であれば、あなたの仕事は「人に会うこと」。より強くこのような意識を持って、毎日の仕事をこなしていることでしょう。
常識に従うということは、言い換えれば「普通の人」でいるということ。個性を押し殺して平凡たれとは言われないまでも、「なるべく目立たないように、当たり障りがないように、それでいても、つつがなく仕事を遂行してくれ」というのが、会社の、そしてあなたの上司の「無言の圧力」となっているかもしれませんね。
「常識人」なだけで良いのか?
ある会社の営業マンにこんな人がいました。「常識人」と周囲の評価を集める彼は、とにかく、そつなく仕事をこなすという事にかけては「合格点」の仕事ぶり。真面目で勤勉で、取引先に訪問しても「教科書通りの営業マンぶり」を披露して、同行した上司がヒヤヒヤしてしまうようなシーンなど皆無な優等生。
ところがこの営業マン。なぜか営業成績が振るわずに、2年もしないうちにこの会社を去ることになってしまいました。常識人であるのは良かったのですが、どうも顧客の印象には残りにくかったようで、2年間でクレームは0件だったものの、営業成績は「中の下」。プライドも人一倍高かった彼は、会社側が好意として出してくれた配置転換の提案も受け入れられませんでした。
この事例に挙がっている営業マンには大変気の毒な事でしたが、この事例、一つの事柄をとても強く示唆してくれている事に、あなたは気が付いたでしょうか?
営業マンは印象に残ってナンボ
そうです。ビジネスマン、特に営業マンにとっては、常識に従う事も当然重要なのですが、あまりにもそのことにとらわれ過ぎると、営業マンにとってのもう一つの重要なミッション、「いかに顧客の印象に残るか」という事柄が抜け落ちてしまう危険性があるのです。
あなたが営業で外回りをしていて、こんな心理状態に陥った事はないでしょうか?「今日の訪問も、何事もなく、恥をかくこともなく無事に終わって欲しい」。
顧客に怒られたり、恥ずかしい思いをさせられたりすれば、それは強烈なストレスになりますから、あなたが本能的に「それは避けたい」と思ってしまう心理状態になるのは理解できます。
ですが、そういった事を恐れるあまり、常識に頼りきりになってしまって「当たり障りのない行動ばかりを取る」営業マンになってしまっているのであれば、早めに軌道修正をした方が良いかもしれません。
「常識と非常識の狭間」で振る舞う
「無茶に羽目を外せ」と言っているわけではありませんが、常識に従い行動を取るという大前提は守りつつも、時には常識の底のラインのちょっと下あたりにある「常識と非常識の狭間」を出入りする行動を取ることも営業マンには必要なのではないかというのが筆者の意見です。
「普通の人」であることはとても重要ですが、営業マンにとっては「印象に残る人」であることがもっと重要なことです。「変な人」では困ってしまいますが、「少しだけ変った人」というのは営業マンにとっては「ありがたい属性」です。
スーツでパリッと正装し、いつでも清潔な身だしなみで顧客を訪問する事は「常識」ですが、時には今時ないようなカフスボタンの付いたシャツを着ることも良いですし、少々奇抜な指輪をして商談に臨むのも「アリ」でしょう。
アポイントの時間には、通常は10分前位に到着するのが「常識」ですが、思い切り1時間前に到着してみて「すいません、ハリキリ過ぎたらこんなに早く着いてしまって」と苦笑いをしながらアポ先で待たせてもらうのも良いですね。
商談をしていて、「そろそろ終わり」という空気が流れた時に「すいません、もう一つだけ、補足でお伝えしたいのですが」と少しだけ空気が読めない感じをPRしてしまうのもOKです。
周囲が少しだけヒヤヒヤしてしまうような行動
同行したあなたの上司や先輩社員、同僚が「少しだけヒヤヒヤしてしまうような行動」というのが、先ほど述べた「常識と非常識の狭間」にある行動と呼ぶことができそうです。
中にはそんなあなたを煙たがる顧客や注意を与える上司がいるかもしれませんが、あなたが取った行動は、営業マンにとっては「正当な行動」。誠意溢れる行動の狭間にちょっとだけ見え隠れする「わずかながらの非常識」を、多くの人は好意的に受け止めてくれるはずです。
常識通りの行動をとっていれば営業マンが「何とか生き残れた」時代は終わりつつあります。価値が多様化し、国の境界線がなくなりつつある時代だからこそ、あなたの「少しだけずれた」個性を存分に発揮する必要があるのではないでしょうか?