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体温計のテルモ名誉会長に学ぶ、社員全員をその気にさせた「アソシエイト経営」の極意とは

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2014.12.24

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アソシエイトとは?
非役付で基幹業務に従事する社員に与えられる。日本企業で言う「課長」と「係長」の間のような存在。

※テルモでは「仲間」という意味でアソシエイト呼ぶという。
出典元:アソシエイトとは? はてなキーワード

学校の保健室やご家庭などで誰もが一度はテルモの体温計を利用したことがあると思います。

実は売上高はグループ全体で約3,000億円、営業利益約670億円の優良企業です。

使い捨て注射器では世界でも高いシェアを誇り、人工心臓の新技術を世界に先駆けて開発するなど、技術面でも非常に高い力を持っています。

そんなテルモもかつて1990年代初頭には3期連続赤字という危機に陥ったことがありました。しかしその後、ある事企業理念を元に業績を回復したテルモは14期連続増収増益を果たします。

そこには、元会長の和地 孝(わち たかし)氏の社員と真剣に向き合う姿勢が見られた成果だと言える事でしょう。今の世代にも語り継ぐべき話を紹介したいと思います。

セクショナリズム、指示待ちスタイルからの転換

90年代初頭、赤字に転落したテルモでは、次のようなことが起こっていました。

1、セクショナリズム

機能ごとに組織を堅めすぎ、完全に縦割りの組織になっていました。いわゆる大企業病というものです。

組織間の交流はほとんどなく、社内で他部署同士の社員が名刺交換をするほどコミュニケーションが絶たれていました。

そのような組織体制だったたため、仕事の押し付け合いや責任のなすりつけ合いが横行していたそうです。

2、トップダウン体制

独裁的な強い前社長の影響により、社内には権威的なトップダウン体制が敷かれていました。

そのため、指示待ちの社員が多く、上の指示に忠実な社員が優秀とされていました。

トップダウンのスタイルは会社の成長期に有効な手法の一つです。しかし、会社が成熟期に入るころには伸び悩みの原因となります。

なぜなら、指示に従うことができれば誰でもいい、つまり換えがきくことを意味しています。

すると、新しいアイディアを出すことができる社員がいなくなり、新しいサービスや製品を提供することができなくなります。

3、評論家体質

利益や売上重視のトップダウン体制の弊害として、実際の現場の状況をきちんと分析せずに無理な目標を掲げることが問題としてあげられます。

高い目標を掲げてはあたかも仕事をやっているように見せかけるようになります。

たとえ目標がクリアできなくても、様々な外部要因(市場環境や資金力など)をクリアできなかった理由として列挙し、社員自身のスキルや内部要因についての分析をしなくなります。

その結果、うまく言い逃れできた社員が優秀とされるようになります。

当時のテルモでは、まさにこのような会社の成長の阻害要因となる風土が根付いていました。

そこで、1995年にテルモの新しい社長となった和地孝氏はこれらの悪しき文化を変え、テルモを再び成長企業とするために改革を実施しました。

従業員の主体性が企業を成長させる

赤字からの脱却を目指すべく、まずテルモでは「アソシエイト経営」を導入しました。アソシエイトとは共同作業者、共同経営者という意味です。

社員同士が部署を超えて共同で新しい価値を創造して欲しいという意味が込められています。縦割りでトップダウンであった組織体制をやめ、かわりに社員の主体性を発揮させるために、テルモではこのアソシエイト制度を改革の要としました。

その内容は、開発部門、営業部などの通常の組織体制とは別に、開発から生産、マーケティング、営業までを製品ごとにひとまとめにした、部署横断的なプロジェクトユニットを創りました。

これはテルモビジネスユニット(TBU)と呼ばれました。

現代では、上流の開発部門から下流の顧客接点部門までをひとくくりにするバリューチェーンの考え方は一般的になりつつありますが、テルモでは90年代にこの仕組みを実践していたということは非常に驚きです。

また、社員一人一人の個性を尊重するダイバーシティの考え方をいち早く取り入れたことも特筆すべき点です。

この社員のアイディアと主体性を活かしたアソシエイト経営がテルモの開発力と新製品のリリース力を高め、人工肺や人工心臓といった世界有数の製品を生み出しました。

理念の浸透が未来を拓く

さらに、テルモでは社員の意識を改革するために、トップや管理職が現場に赴くようにしました。徹底的な対話を繰り返すことで、和地孝氏は社員の中に「志」が眠っていることを発見しました。

それは、会社の企業理念である「医療を通じて社会に貢献する」という想いでした。その強い想いを再発見し、対話をするうちに次第に社員の意識も変わっていきました。

こうした社員の意識改革を実行するうちに社員の主体性が芽生えはじめ、テルモはその後14期増収増益という偉業を成し遂げます。

改革を実行した当時の社長であったの和地孝氏は、トップだけではなく、社員一人一人が使命感を持つことが企業の成長に不可欠だと説いています。

仕事というと、売上や利益を伸ばすことに目が行ってしまいますが、全員がビジョンを共有し、同じ方向に向かって進むこと、危機感や意識を共有することが何よりも大切なのです。

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