食欲や性欲ってどこから来ているかご存知ですか?欲望と脳の関係
食欲や性欲はどこから来ているかご存知でしょうか?実は「大脳辺緑系」というところの働きによるものなんです。欲望だけでない大脳辺緑系について知りましょう。
人間の脳は「脳幹」という呼吸や体温調節など、つまり生命を司る部分と、人間らしく生きるために、思考や判断をコントロールする「大脳新皮質」、そして感情や欲求を司る「大脳辺緑系」に分かれています。
他の動物に比べて、人間の大脳新皮質は随分と発達をしておりますが、この大脳辺緑系は他の動物と大差ありません。
大脳辺緑系の構造
大脳辺緑系は様々な器官で構成されています。
具体的には、透明中隔(とうめいちゅうかく)、側坐核(そくざかく)、海馬(かいば)、帯状回(たいじょうかい)脳弓(のうきゅう)、扁桃体(へんとうたい)。
意欲ややる気に関わりが深い透明中隔や側坐核。透明中隔は行動の意欲を高める器官で、側坐核も前頭連合野という他の部分を支援する形で意欲を高めます。
また、短い期間の記憶を長期間での記憶として貯めこんでいく海馬や、心地良さや不快ということを元に、行動に対して意欲をもたらす帯状回、好き嫌いや怒り、仮説的にはポジティブシンキングに影響を与える扁桃体。ちなみに、扁桃体は別名、扁桃核とも呼ばれます。
これらの器官は、それぞれ個別に独立しているかの様に思えますが、実はハッキリとした境界線はないというのも特長です。
大脳辺緑系は情動を司る
大脳辺緑系は情動を司っています。つまり感情を司っているとも言えます。食欲や性欲などの人間の根本となる様な欲求や、好きか、嫌いかという様な感情もここが司っています。大脳辺緑系の中にあるアーモンド状の形をした扁桃体が、この情動に関して最も重要な役割を果たし、心地良いか、不快かというどちらかを認識して感情を生み出します。
行動に対する意欲はこの扁桃体が心地よいか、不快かという気持ちを作り出し、視床下部(ししょうかぶ)という所で欲求が生み出され、それらが帯状回へ移されます。そして行動意欲につなげたあとで、人間がより良く生きるための脳で有る大脳新皮質に伝えられて行動に移されます。
この様に、大脳辺緑系は、人間の欲求や好き嫌い、そして感情を司る部分で、大脳新皮質とは違って、本能的な領域で有ると言えます。もしも、自分自身の感情の動きや好き嫌いに変化があった時には、「大脳辺緑系の影響なんだ」と一歩引いて考えると、冷静になれるかも知れません。