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地球の双子星・金星。しかしその実態は奇妙すぎる惑星だった!

最も明るくて美しい星・金星

太陽や月を除いて、最も明るい星はなにか?それは金星である。金星とは言うまでもなく太陽系内の惑星であるが、夜空に輝く星で最も明るい恒星は?と問われれば、それはおおいぬ座のシリウスだ。シリウスの光度は-1.5等級。金星の最大光度は-5等級近くにまでなるから、シリウスよりも約10倍の明るさである。

金星は地球より内側を回る内惑星のため、常に太陽の近くにいるから、見えるのは夕方の西の空か、明け方の東の空である。夜中に見えることはない。夕方に見える金星を「宵の明星」と呼び、明け方のそれは「明けの明星」という。その美しさ故、ヨーロッパではローマ神話の「美の女神」にたとえて「ヴィーナス」と呼ばれている。

「美の女神」とは無縁の、地獄の惑星

金星は地球に最も近い惑星で、しかも大きさがほぼ同じであることから「双子星」と呼ばれる。しかしその実態は、地球とは似ても似つかぬ地獄の星だ。「美の女神」どころか、金星に行くと確実に死が待っている。

地球と金星は大きさばかりではなく、地質も非常によく似ている。全く違うのは、大気の状態だ。太陽に近いせいもあって、地表の温度は400℃以上。地球と同じように大気はあるが、97%が二酸化炭素である。しかも二酸化炭素による温室効果もあって、気温はますます上昇するばかりだ。

さらに金星は90気圧、地球表面では1気圧だから、その90倍もの圧力がかかるわけだ。これでは人間はおろか、ほとんどの建物でも押し潰されてしまう。昨今では火星への移住計画が現実味を帯びてきているが、火星より近い金星への移住が検討されない理由がここにある。

未だに解明されない、奇妙すぎる金星の行動

金星はその動きについても、太陽系の中では異色の存在だ。太陽系の8個の惑星は、地球の北極面から見ると全て反時計回りに回っている。この点に関して例外はない。逆回転の時計回りに回っている惑星はないし、他の惑星に反して垂直方向に公転している惑星もない。

ところが、自転に関しては独特の動きをする惑星が二つだけある。そのうちの一つは天王星だ。天王星は公転角度に対し、ほぼ垂直の約98°倒れている。なぜそうなったのかはわからないが、他の星が天王星にぶつかって、地軸が傾いたという説がある。

もう一つの例外は、金星だ。金星はなんと、公転とは逆回転に自転しているのである。もちろん、こんな奇妙キテレツな自転をしている惑星は、太陽系では金星を置いて他にはない。

天王星が他の星とぶつかって地軸が垂直に傾いたというのならわかるが、公転と逆回転する理由がわからない。自然の流れに反しているではないか。要するに金星では、太陽は西から昇って東に沈むのである。「天才バカボン」のオープニングかっての。

さらに驚きの、金星の事実

金星の特殊性はそれだけではない。金星の1日は、なんと1年よりも長いのである。金星の公転周期は、地球時間で約224日。1年を365日で公転する地球とは極めて近い数字だ。

ところが金星の自転周期は、地球時間で約243日。要するに、金星は自分で1回転する前に、太陽を1回転してしまうわけだ。従って、金星での1日は、1年よりも長くなってしまうのである。1年よりも1日の方が長い、なんて惑星も太陽系では金星だけだ。

地球に例えれば、元日の朝にお屠蘇を呑んでお雑煮を食べ、おせち料理に舌鼓を打ったあとに初詣に出かけたものの、その日の夜に除夜の鐘を聞きながら年越しそばを食べるようなものだ。そして、その夜が明け切らぬうちにまたお屠蘇を呑み、お雑煮を食べる……、こんな毎日がずっと続くのである。

しかも金星の1日は地球時間にして約243日だから、地球時間における1年の3分の2を、初日の出だのお屠蘇だのお雑煮だのおせち料理だの初詣だの凧揚げだの羽子板だの染之助染太郎だの、に明け暮れてしまう。そして1日が経たないうちに、もう大晦日で紅白歌合戦を見なければならない。なるほど、地球人類が金星移住計画を断念するわけだ。

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