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文系漢字・理系漢字に潜む、「恥かかせ漢字」のトリックを読み解け!

日本語の漢字は外国人にとっては誠に難解な「図形」として認識がなされるわけですが、日々のビジネスに勤しむ若き企業戦士である皆さんにとっても、漢字は時に他人様から自分の教養を測られるモノサシにもなり得るものですから、正確な理解をして「この人、教養低し!」というレッテルを貼られないようにしておきたいものです。

今回は理系の人がやってしまいがちな漢字のミス、そして文系の人がやってしまいがちな漢字のミスを、「シリョウ」という漢字を”サンプル”にして見ていきたいと思います。

難易度初級:「シリョウ」という漢字に潜むワナ

仕事をしていて上司から、「ちょっと、シリョウを5部コピーして送付案内を付けてお客さんに送ってくれ」と言われたら、あなたの脳内ATOKにはどんな漢字が変換候補として浮かんでくるでしょうか?

この場合は初級ですから、文系理系を問わずに答えは簡単に出てくるかと思います。そうです、「資料」という漢字ですね。

改めて問われてみると「合ってるよな?」と心配になってしまう人もいるかもしれませんが、このビジネスシチュエーションでの「シリョウ」に関しては、間違いなく「資料」でOKです。

送付案内には自信を持って「資料-5部」と書いて総務に提出すれば、あなたは恥をかく事はありません。

難易度中級:理系の「シリョウ」という漢字に潜むワナ

次のシチュエーションは補助金事業で産官学で共同研究をとり行う事になった大学教授とのやり取りのシチュエーションです。

新しい高分子材料の開発事業に大学と共に取り組むことになったあなたは、「産」の中から選出されたプロジェクトの中心メンバーです。大学でもマネジメント学で優を取ったあなたは、組織のマネジメントには自信満々の文系人間です。

ある日、大学との合同会議の席で、この大学教授から新しく開発した高分子材料の「シリョウ」を受け取り、それを特別な分析技術を有する提携先の企業に持っていくというミッションを教授から言い渡されます。

教授は「シリョウサンプルのナンバリングがABCなのか123なのかわからなかったから、とりあえずABCとシリョウには書いておいたから」」と言われ、ちょっと戸惑ってしまいます。

いつもはバリバリに理系の部下が同行するのですが、今日に限ってその部下はお休み。渡されたシリョウを分析に出すには、分析要請書にシリョウの名前を書かなくてはならないのですが…。

こんなシチュエーションでは、「シリョウ」という漢字には「試料」という漢字が使われます。良く実験サンプルという言葉が使われますが、英語でいうサンプルは、この場合には漢字では試料という漢字が使われるのです。

文系ビジネスではシリョウといえば先ほどの「資料」、すなわち英語でいう所のドキュメントがあてがわれる事が多いのが普通ですが、理系のシチュエーションに行くとサンプルという意味の「試料」という漢字が多用される事になりますから、少なくとも実験材料に「資料A、資料B」などというみっともないミスだけは犯さないようにしておくようにしましょう。

難易度上級:文系の「シリョウ」という漢字に潜むワナ

最後のシチュエーションに行きましょう。理工系の大学を卒業したあなたは、ある日、歴史好きの友人に誘われて京都への歴史散策の旅に出かける事になります。

普段から観光客の多い京都ですが、その日はあるお寺で昔の有名な天皇にまつわる歴史的な「シリョウ」がたくさん公開されるとの事で、このお寺は、いつにもなく沢山の人で賑わっていました。

歴史好きの友人はもうハイテンションで、様々な由緒ある品々を目にしては、「これは超一線級のシリョウだねえ」と嬉しそうにあなたにそのシリョウの言われを解説してくれます。

あまりの友人の上機嫌にほだされたあなたも、何だか嬉しくなってしまって、ツイッターでバンバンと次のようなつぶやきを連発して行きます。

「理系の俺でも名前を知ってる○○天皇の一線級の資料を解読なう!」。

しかし、帰りの新幹線の中で、そのつぶやきを見た友人がクスクスと笑っているからあなたの表情は段々と曇ってきてしまいます。

「お前、こういう場合には、ドキュメントの資料じゃなくて史料だよ、史料。historical materialだよ。」と大笑いをされてしまいます。

相手が友人だから良かったですが、ビジネスの世界ではこういうミスは避けたいものですね。

資料も試料も史料も、だいたい同じ意味だから間違えても良いだろうと思うかもしれませんが、欧米人で日本語を勉強した人の中には、この辺をキチンと使い分ける人もたくさんいるのが現実です。

全く漢字圏ではない彼らをしてそうなのですから、日本語が母国語の日本人ならば、この辺のミスは犯したくはないものですよね。

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