閲覧注意!!世界の神話の不思議!
世界には様々な神話があります。それぞれの神話をひも解いてみると発祥が違うはずの神話にも共通点が見られてくるのです。この不思議を少し考察してみましょう。
まず神話は大きく分けて二種類あります。一つは一神教の神話。キリスト教が一番有名でしょう。もう一つは多神教の神話です。仏教や神道がそうでしょう。この二つの大きな違いは、その名の通り神と呼ばれる存在が一つなのか複数なのかということです。
一神教の神はまさしく万能であり、その神がなされることは全て善であるというような描写が多いです。ユダヤ教やキリスト教がいい例でしょう。しかし、多神教の神話を見てみるとそれが少し変わっています。
日本神話の神から伺える人間らしさ
一番なじみ深い日本神話からみてみましょう。日本神話にイザナギとイザナミという神様が出てきます。イザナギとイザナミは日本国土を生みその他日本神話に出てくる様々な神を生んだとされます。とある時イザナミはカグツチという火の神を生みます。その時に陰部に火傷を負い亡くなってしまうのです。
イザナミが死にイザナギは悲しみで途方にくれ、ついには気持ちを抑えきれず黄泉国に逢いにいってしまいます。そこで、腐敗して蛆が沸いた何ともおぞましい姿のイザナミを見て逃げてしまうのです。そして出口を岩でふさぎます。塞がれた岩越しにイザナミが「お前の国の人間を一日1000人殺してやる」と言い、イザナギは「ならば私は一日1500の産屋を建てよう」と言ったそうです。
黄泉国から帰ってきたイザナギは穢れを落とすため禊として全身を洗います。その時、左目を洗うと日本の最高神とされる天照大神(アマテラスオオミカミ)、右目を洗うと月読命(ツクヨミノミコト)、鼻を洗うと建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)の三つの神が生まれたのです。
簡単に日本神話の一部を紹介いたしました。ここで注目したいのがイザナギとイザナミの心情です。会いたい気持ちを抑えきれずに黄泉国に逢いに行き、イザナミのおぞましい姿を見て逃げたイザナギ。火傷をして死んでしまった後、自分のおぞましい姿を見られ逆上し一日1000人を殺すと言ったイザナミ。両者ともとても人間らしい心情または行動ではないでしょうか?
ギリシャ神話での権力争い
ギリシャ神話でもそうです。まずカオス(混沌)から大地ガイヤが生まれ、そこから天空ウラノスが生まれます。その二人から何人も子どもが生まれるのですが、天空ウラノスは権力を奪われることを恐れ、彼らを地獄に幽閉してしまうのです。大地ガイヤはそれに憤慨し末の息子であるクロノスに天空ウラノスを襲うよう仕向け、クロノスは天空ウラノスから権力を奪ったのです。
その後クロノスは自身の両親である大地ガイヤと天空ウラノスに「お前の息子がお前からの支配権を奪うだろう」と予言されたため、次々に生まれてくる自分の子供を呑みこんでしまいます。
こうして全知全能全善全美と言われる絶対伸ゼウスが誕生したのです。全善全美とは言ったもののゼウスは非常に浮気癖がありました。正妻であるヘラは非常に嫉妬深く浮気相手を殺してしまうことさえあったのです。
いかがでしょうか?ギリシャ神話の最高神であるゼウスが誕生する前から親子により権力争奪戦が繰り広げられ、ゼウスが権力を持ってからは夫婦間の嫉妬でドロドロの関係となっています。まるで人間の歴史を見ているようです。
このように多神教では神が非常に人間的に描かれていることが多く、神も死にますし男女の区別もあります。比べて一神教では神は唯一無二で完璧な存在ですので感情的な描写もなければ性別も語られることはありません。
不思議には思いませんでしょうか?自分たちが神と崇める存在が自分に近しい嫉妬や恐怖などの感情を持っているのです。神話の中ではとても褒められない行動も多々あるのです。これが大きな共通点の一つと言えるでしょう。
もう一つの共通点としては、現代において神または神に属するものは眠っているまたは死んでいるなどの理由で影響力が弱っているとされていることが多いことです。キリスト教も、イエス・キリストは処刑され三日後に復活しますがまた天に昇ってしまいいつか現れるとされています。仏教でも弥勒菩薩という菩薩がお釈迦様の入滅後5670000000年を経て世を救うために再臨するといわれております。現在は復活や再臨していないから辛いけどいつかは救ってくれるという思想が多いのです。
このように世界の宗教の共通点が様々あります。その理由は一体何なのでしょうか?私はこれこそが人の作った物語である証拠のように思えます。皆様も一つの物語として神話を見てみると様々な発見があるかもしれません。