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元祖キモカワイイはこいつでしょ!不思議生物プラナリアの生態を紹介

みなさんはプラナリアという生物はご存知ですか?高校の生物で出てきた、体を半分に切るとその両方から再生して2匹になってしまうあいつです。

その性質があまりに衝撃的なので「あれ?結局プラナリアってどんな生き物なの?」というように基本的な情報は知られてはなく、ちょっと不遇な一面もあります。今回、そんなプラナリアの可愛くもさらに不思議な一面をご紹介しましょう。

プラナリアって何だっけ?

生物が苦手だったとかそもそも授業を受けていないなんて方だと「プラナリア」の名前にはピンとこないかもしれません。先に多くの人が認識していることから確認しておきましょう。

プラナリアは水の中に住むナメクジみたいな無脊椎動物です。ナメクジと違うのはそのユーモラスな風貌です。体は2cm程度の細長く平べったい形をしていますが、頭はちょこんと三角になっており、「寄り目」風の目が付いています。

そして生物の授業で出てくるのは、体の再生能力がものすごいからです。体を半分に切ると、頭側の半分からは尻尾が出てきて、尻尾側の半分からは頭が出てくるのです。トカゲのように尻尾が再生するのは分かるのですが、頭部が再生される、そして結果的に1匹が2匹になるというから驚きです。

思い切って3分割、4分割しても条件が良ければ3匹、4匹に再生してしまいます。プラナリアはそんな存在自体がSF的なのです。

プラナリアって自然ではどこにいるの?

名前の語感からアマゾンの熱帯雨林あたりにいそうな生物だと思われているプラナリアですが、実は世界中に普通に生息しています。日本でもほぼ全国的に生息していて「ウズムシ」という日本名があります。

プラナリアは生物学としてはウズムシ目に属する生物全般の事ですが、日本でプラナリアと呼ばれ実験で切り刻まれているのは、ほとんどがナミウズムシと呼ばれる種類です。ナミウズムシは比較的水質のいい河川の上流や湧き水付近に生息しています。

プラナリアは何を食べるの?

プラナリアは可愛い顔に似合わず肉食です。ナミウズムシは水生昆虫を食べます。ニューギニアヤリガタリクウズムシというオセアニアに生息する陸生プラナリアはナメクジやカタツムリをもりもり食べるのですが、これが外来種として小笠原諸島や沖縄で見つかり問題となっています。

食べるための口は頭ではなくお腹にあります。その口から入った食物は体の前後に分かれた計3本の消化管で消化され、栄養が吸収されます。栄養を吸収した後の残り、つまりふんはそのまま口から排出されます。口と肛門が同じなのです。

ちなみに体を切って再生させる実験は、1週間程度絶食させた後に行います。そうしないと消化液が体を溶かしてしまい実験が失敗するからです。

プラナリアはどうやって繁殖するの?

プラナリアは分割してしまえばそれだけ数が増えます。ただ、自然界でわざわざ率先して(安全に)体を切り刻んでくれる誰かを待っているわけにはいきません。ということで、時がきたら自ら体を腹部から半分にちょん切ってしまいます。

プラナリアの再生実験に関して「生き物の体を切り刻むだなんて残酷な!」という声も聞かれますが、彼らは自然の状態でも自分で積極的に体を刻んでしまうわけで、あまり気にしすぎる必要は無さそうです。

ゾウリムシなどの単細胞生物と同じように分裂をするわけですが、それじゃあプラナリアにはオス・メスが無いのかと言われればそれは違います。ちゃんとオスとメスがあり、条件が揃えば有性生殖を行います。

しかしちょっと普通じゃないのは、普段は一つの体にオスとメスの両方の器官を持っている雌雄同体だということです。春先の交尾の時にオス・メスどちらかを決めるようです。

プラナリアは分割して再生すると意識はどうなるの?

プラナリアには大脳や脊髄はありませんが、頭部には脳に相当する神経節がありそこから体全体に広がるかご状の神経系を持っています。光を感じる目もあるわけで、それなりの情報処理をこの神経系で行っています。

単細胞生物の分裂ではあまり気になりませんが、神経系を持つ動物の分裂ではいったいどういった気分になるのか気になります。自分が2人に感じるのでしょうか。

さすがにプラナリアの意識までは分かりませんが、記憶に関する興味深い実験が行われています。基本的にプラナリアは明るい場所よりも暗い場所を好みます。しかし水槽でわざと明るい場所でエサを与えるように飼育すると、「明るい場所にはエサがある」とちゃんと記憶することができます。

その記憶したプラナリアを切断します。すると頭部が再生したプラナリアは、明るい場所にエサがあることを覚えているのです。この実験は記憶が脳以外の場所でも行われており、それが再生後でも残されているということを示しています。

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