お釈迦様に跡継ぎがいるのを御存知ですか?観光に楽しい仏像の話
最近流行りの仏像見学。仏教の世界ではお釈迦様が亡くなられてから56億7000万年後に誕生する弥勒菩薩(みろくぼさつ)がお釈迦様の跡継ぎとされています。その間に世の中を守ってくれているのが地蔵菩薩(じぞうぼさつ)、つまりお地蔵様です。
意味を知ると楽しい仏像の世界!仏像とは何かという基本から、簡単なストーリーを学ぶと、この記事だけで仏像通。分かりやすく解説します。
そもそも仏像ってなんだろう?
仏像っていうのは仏教を開いたお釈迦様をモデルにした像です。お釈迦様はシャカ族の王子様で実在の人物。今から2500年ほど前にいらっしゃいました。
最初は恐れ多いと、作る事はタブーだった仏像。お釈迦様の教えを上手に広めるためにはやっぱり必要なんだという事で、お釈迦様が亡くなられて何百年も経ってから作られました。
日本には聖徳太子が活躍していた時代の数十年前に百済からやってきました。その印象は威厳や信仰云々では無く「ピカピカ」と感じられたんだそうです。
如来の種類と浄土の世界
仏像には種類があるんです。大きく分けると4種類。如来(にょらい)、菩薩(ぼさつ)、明王(みょうおう)、天(てん)という種類です。実はこの4つの種類はランク付けでもあるんです。最もエライ仏像は如来(にょらい)。その下に他の仏像が付き従うという風になっています。
では、一番エライ如来に焦点を当ててお話しますと、大きく分けて如来は3種類いらっしゃいます。お釈迦様がモデルの、最もベーシックな如来である釈迦如来。病気平癒のお参りの対象である薬師如来。あの世から臨終の人を迎えに来る阿弥陀如来の3種類です。
それぞれの世界のドンでもあるこのお三方。釈迦如来は現世のドン。薬師如来は前世にある浄瑠璃浄土のドン。阿弥陀如来は来世にある極楽浄土のドンなのです。
※お寺さんや文献によって解釈は異なります。あくまでも一つの考え方の例です。
我々は前世で、東の彼方にある浄瑠璃浄土から、薬師如来によってこの世に送り出され、そして現世は釈迦如来が守ってくれていて、臨終を迎えると阿弥陀如来が25人の菩薩を従えて迎えに来てくれて極楽浄土に連れていかれる。そういうシステムになっているのです。
弥勒の魅力
ここまでお読みになって疑問を持たれましたでしょうか?
「薬師如来が過去から送ってくれて、臨終の時は阿弥陀如来が連れて行ってくれる。でも現世を守ってくれている釈迦如来って?実在のお釈迦様はとっくに亡くなられているじゃないか?」と。
お察しの通り、お釈迦様は既に現世にはいらっしゃいません。跡継ぎが必要となって来るのですが、その跡継ぎこそが弥勒菩薩なんです。菩薩でありながら如来になる事が確定している仏様です。
「そっか、これで一安心。ちゃんと跡継ぎがいらっしゃるんだね」
と安心するのはまだ早い。実はこの弥勒菩薩はまだこの世に誕生していないのです。弥勒菩薩はお釈迦様が亡くなられてから56億7000万年後に誕生するという事になっています。まだまだ果てしなく先という事なんです。そこでその空白の時間は一体どうなるのでしょうか?
ピンチヒッターお地蔵様
お釈迦様が亡くなられてから弥勒菩薩が誕生するまでの間、実はこの世を守って下さっている方がいらっしゃいます。それは地蔵菩薩。通称でいうとお地蔵様です。つまりお地蔵様は空白の時間、お釈迦様の後の役目を弥勒菩薩の代わりにピンチヒッターとして担っているという事なんです。
ですので、街中のあちらこちらにお地蔵様がいらっしゃるという事はこういった所から来ているんです。そんな事を知ってからお地蔵様を見ると、今までよりも親しみがわいてくるのでは無いでしょうか?
3種類の如来以外にも如来を知っているけど?
上記にて如来は3種類だと言いましたが、本当は如来は他にもいらっしゃいます。分かりやすさ追求のために、あえて書かなかったのですが、密教の世界では大日如来が最高の如来とされています。
密教には両界曼荼羅と言いまして、仏様の配置図が描かれたものがあります。その両方の世界が一体化した時に、毘盧遮那仏(びるしゃなぶる)が現れるとされています。毘盧遮那仏とは大仏様の事で、華厳宗の如来です。奈良にはその威光を表すかのような立派な大仏様がいらっしゃいますよね。
実はそんな風に、今回紹介した以外にも如来はいらっしゃいます。そして、それぞれの役割がありまして、その役割で人々を救ってくれるというのです。
という訳で、仏像のトップレベルである如来ワールドを紹介させて頂きました。豆知識を活かして拝観してみて下さいね。