血液型占いなんてデタラメ!血液型のメカニズムとは?
なぜ血液型占いを信じるのか?
血液型占いを信じている人は多いが、血液型と性格との相関関係は、科学的に全く根拠がない。ハッキリ言うとデタラメである。そもそも血液型占いなんて信じているのは日本人ぐらいで、多くの外国人は血液型占いを信じる日本人のことを気味悪がっている。
ではなぜ、血液型占いを信じるのか?それは心理面が大きく作用するからである。例えば「A型の人は几帳面」という情報をインプットされれば、それ以外の情報を遮断してしまうのだ。
例えば、何もかもいい加減で時間はルーズ、約束を守らない、部屋は散らかしっ放しの人はどう見ても几帳面ではないが、そんな人がA型だったりする。ところが、この人はたった一つだけ、愛車に関しては常にピカピカにしている。こんな時、血液型占い信者はこう言うだろう。
「やっぱりあの人は、根本の部分ではA型ね。上辺のいい加減な部分を信用してはいけない」
どう考えても、この人は単に車好きなだけとしか思えないのだが。しかし、一旦血液型占いを信じ込んでしまうと、大部分のズボラな面に目をつぶってしまうのだ。
まあ、飲み屋などで血液型占いをネタにするぐらいなら罪はないのだが、企業が血液型を判断材料として採用・不採用を決めている例もあるというのだから恐ろしい。これは完全に就職差別である。
筆者の友達にも血液型占いを信じている女性がいて、普通なら女性の話に合わせて否定はしないのだが、彼女は迷信という迷信を全て信じていたのだから手に負えない。
「O型とAB型の両親からは、O型やAB型の子供が産まれないわけを説明できる?」と彼女に訊くと、「血液型って両親のどちらかの血液型を受け継ぐんじゃないの?」と驚いていた。O型とAB型の両親からは絶対にO型やAB型の子供は産まれないし、逆にA型とO型の両親からはA型かO型の子供しか産まれない。
こんなことは優性および劣性遺伝子の仕組みを知っていれば簡単にわかることだ。ところが彼女は、「血液型のことも知らないくせに否定しないで」と言っておきながら、こんな根本的なことすら知らなかったのである。
血液型が決まる仕組み
それでは、どういう仕組みで血液型が決まるのか説明しよう。一口にA型やB型と言っても、実は二つの遺伝子が結び付いて血液型が決まるのだ。その遺伝子とはA、B、Oの三種類で、AとBは優性遺伝子、Oは劣性遺伝子である。つまり、
A=B>0
という数式が成り立つ。A遺伝子同士が結び付けば当然A型になるが、A遺伝子とO遺伝子が結び付いても、優性遺伝子のAが出るため、血液型はA型になるというわけだ。もちろん、B型も同じ理屈である。優性遺伝子同士のAとBが結び付けばAB型となり、O型となるには劣性遺伝子のO遺伝子同士が結び付かなくてはならない。つまり、
A型にはAAとAOの二種類
B型はBBとBOの二種類
AB型はABの一種類
O型はOOの一種類
となるのだ。子供は父親と母親の遺伝子を一つずつ受け継ぐことになる。従って、両親がO型とAB型の場合は、OO×ABから一つずつ受け継ぎ、パターンとしてはAOとBOという二種類の子供が産まれる可能性がある。
AOはAが優性遺伝子だからA型、BOはBが優性遺伝子だからB型ということになる。これでAB型とO型の両親からAB型やO型の子供ができないわけがわかるだろう。
両親がA型とO型の場合は、AA×OOならばAOの子供しか産まれない、即ちA型しか産まれないのだが、AO×OOの場合はAOの他にOOが産まれる可能性があるので、産まれてくるのはA型かO型の子供ということになる。
A型同士の両親の場合は、AO×AOというケースで見てみると、AA、AO(どちらもA型)の他にOOという可能性もあるので、産まれてくる子供はA型かO型というわけだ。
全ての両親の組み合わせで産まれてくる子供の血液型は、以下の通り。
A型×A型=A型、O型
A型×B型=A型、B型、AB型、O型
A型×AB型=A型、B型、AB型
A型×O型=A型、O型
B型×B型=B型、O型
B型×AB型=A型、B型、AB型
B型×O型=B型、O型
AB型×AB型=A型、B型、AB型
AB型×O型=A型、B型
O型×O型=O型
恥の文化、血液型占い
また、血液型による性格や能力診断が、人種差別に利用されていたことも忘れてはならない。20世紀初頭、ABO式血液型が発見されたヨーロッパでは「A型が多い白色人種は優秀で、B型が多い黄色人種は劣等だ」と白人主義者によって唱えられていたのだ。
現在はその反省からか、欧米では血液型占いは完全に否定されている。ところが、技術大国たる日本では21世紀になった今でも血液型占いが信じられているのだから、大いなる恥である。血液型占い信者は、こんな歴史があることぐらい知っておいた方がいい。