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“ダイヤモンド”を結婚指輪の定番に作り上げたデ・ビアス社の戦略

女性職員達との雑談で、『結婚指輪の定番』が話題になった。カルティエの三連リング、ティファニーのエンゲージリング、アイプリモのマリッジリングと色々挙がった。

いずれも十数万のリングだ。高価な値段はデザインと金、銀、宝石を使用しているからだろう。人工ダイヤが開発されているが、今でも自然の原石から作られたダイヤモンドは高価だ。

ダイヤモンドと言えばデ・ビアス社だろう、と話題を振っても誰も知らない。『ダイヤモンドは永遠の輝き』のコピーでダイヤ市場に君臨していた会社だ。三十年前になるが、資産運用調査の一環として海外で市場を独占している会社の調査をした時に挙がった社名だ。当然、若い女性なら知っているだろう、と思ったが、誰も知らなかった。

彼女たちが知らないのも当然で、デ・ビアス社はダイヤ市場を単独でコントロールするという方針を2000年7月に放棄した。1990年、ロシア、オーストラリアの鉱山会社の台頭によりコントロールするコストが膨大になったからだ。

ライバル会社の台頭で価格が下がってもよさそうだが、下げ止まりになっている。ダイヤを高価品としたデ・ビアス社には驚くばかりだ。市場に君臨したデ・ビアス社会の戦略はどういうものだろうか?

デ・ビアス社の戦略

戦略①『原石の大部分を押さえ流通までを支配』

元々は南アフリカ共和国の鉱山資源採掘会社だったデ・ビアス社は、安定した利益確保のために販売まで手を広げた。手法は企業買収だ。あらゆる方法で他の採掘会社や販売会社を買収し傘下に置いた。

時には国家を相手に販売権争いをし、全世界の九割の原石を手中に収めた事もある。現在、原石市場の占有率は四割程度だが、それでも市場への影響力は大きい。

戦略②『生産調整で流通量を抑える』

原石の大部分と流通販売経路を抑え、生産者連合を設立した。デ・ビアス社を通さなければ販売すらできない状態だ。価格統制で市場の下落を防いだ。資本主義の考えに反するが、希少価値を維持し続けてきたのも、これらの戦略の結果だ。

戦略③『独特のキャッチコピー』

『ダイヤモンドは永遠の輝き』
『婚約指輪は給料三か月分』
『スイートテン・ダイヤ』

といったコピーは、デ・ビアス社がCMで打ち出したモノだ。バブル崩壊前の日本でTVのCMで多量に流された。デ・ビアス社にとってバブル期の日本は大きな市場だった。現在は人口の多い中国とインドをターゲット市場にしている。市場分析と徹底し洗練されたキャッチコピーによる広告はデ・ビアス社の真骨頂だ。

戦略④『露出度アップの宣伝』

オスカープロモーションは自社タレントを破格の出演料を武器にCM起用から露出度を上げて成功しているとあった。広告宣伝で露出度を上げ人々の目に留まるようにする事はよくある。

デ・ビアス社はロマンス映画やドラマでの使用、英国王室などの各国要人への贈り物、知名度の高い俳優によるダイヤモンドを使ったラブストーリーなどで露出度を上げている。

デ・ビアス社が日本国内でのみ生産し販売していれば独占禁止法になるが、国際的に市場を支配していたため、アメリカでは問題になったが日本では独占禁止法違反にはならなかった。人工ダイヤの市場流入を防ぎ、4Cという評価と共にダイヤモンドの価値を揺るぎないものとした功績は大きい。

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