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自動車保険の考え方!年齢条件と運転者限定を甘く見ないで!

新規の自動車保険のお客様と面談し、見積もりを作ることがある。今まで他社で契約していた人は、やはり前よりも安くなることを望んでおり、期待ほど安値にならないと落胆する。そこで代理店が提案しがちなのが「年齢条件」と「家族限定」の設定である。

そもそも自動車保険は、特に限定特約を付けない状態では、家族だろうが他人だろうが、年がいくつだろうが、運転手が誰であろうが 事故であれば補償の対象とする。ただ、それではお値段が結構お高いというので、限定条件を特約として付けていき補償の対象を狭めていくと、当然保険料は下がっていくのである。

「年齢条件」

文字通り、運転手の年齢に線引きをする特約であり、「26歳以上」とすれば、25歳以下の人が運転中の事故については保険の対象ではありません、ということになる。

「家族限定」

これもイメージは湧くだろう。「同居の親族 別居の未婚の子」というフレーズを聞いたことがある人も多いだろう。最近ではより限定する「本人・夫婦限定」もある。限定した人以外が運転中の事故は 保険対象外である。

年齢条件と家族限定を両方付けるケースもよくあるが、両方とも有効なので、家族のうち対象となる年齢の人が運転した場合のみ対象となるわけだ。

このようにどんどん限定し、保険料を下げていくのは外資系やインターネット系が得意としていた。いわゆる「リスク細分型」というものであるが、「外資連中の一人勝ちは許されない」ということで国内損保も追随し、今では各社色々な限定ものをラインナップしている。

ここで注意して欲しいのだが、限定した以上 その範囲外でどれほど深刻な事故が起きたとしても、一切補償されない(1円も出ない)し、示談交渉などの付帯サービスも一切動かないのであり、恐らく保険会社はあなたが事故報告の電話をしても「今回の事故はこの保険の対象外なので、当社としてやるべきことがありません」と言って受け付けない。

万一保険対象外という事態になり、仮に相手が死んだり、重体、障害を持ってしまった、というようなヘビーな状況が発生でもすれば 精神的にも経済的にも、運転手の人生に大きな影響を与えてしまう。運転手が友人で車の持ち主があなた、といった場合は二人の人間関係は九分九厘崩壊する。

特に地方に住んでいる人間にとって、自動車は生活の一部である。年齢や親族かどうかで運転手を制限することは完全に出来るのだろうか?

普段の生活では「制限出来る」と答える人が多い。しかし、自分が飲酒してしまった、怪我をした、気分が悪くなった、旅先のロングドライブ中で疲れたといったとき、同乗の友人に少しだけ運転を代わってもらう、ということは絶対に無いと言い切れるだろうか?

そして、これら限定特約の結果おいくら保険料が下がるのか?というと、特に家族限定は大したことは無い。車種や諸条件によるのでズバリと言いきれないが、私のイメージでは年額数千円である。家族限定と本人夫婦限定の差も数千円であろう。

年齢条件が保険料に与える影響は結構大きい。これは車の持ち主の年齢に合わせていくのが基本であるが、他にもその車を運転する可能性がある人間がいて、その年齢が車の持ち主より若いのであれば、その年齢に合わせるべきである。

「その限定を付けることで保険料はいくら節約出来るのか?」VS「補償対象はどれ程狭くなったのか?」をよくよく吟味して欲しい。

そもそも、限定を付けた結果保険料が下がるということは ちっとも“保険会社が安くしてくれた”訳ではない。補償を下げた=クオリティを下げたに過ぎないのである。

売り子である代理店は、他社扱いの契約を取りに行くとき、1円でも安くまとめたがるものだし、保険料を下げるアイディアを披露するとお客様は喜ぶので、ついつい限定だらけにしてしまう。

「無駄な保険料を支払っていたことがわかった!」「無駄な補償内容をリストラ出来た!」街でこんなセリフを聞く度に私は「ホントに大丈夫か??」と心配になってしまう。

自動車事故の深刻さを考えると、数千円、1~2万の保険料の差をケチらなければ気がすまない人は、まず、自分がハンドルを握るべきか、そのあたりから考えてみて欲しい。

ちなみに私個人の自動車保険では、年齢制限は自分の年に合わせて限定しているが、家族限定は付けないことにしている。友人に運転を頼むことがあるからである。友人の車に乗っているときに運転を代わるように頼まれたときは、「保険はどうなってる?」と取り合えず聞く。

「自分の自動車保険に他車運転危険担保特約が付いていれば大丈夫だよ!」という声も聞かれるが、この特約もなかなかややこしい条件があり、オールマイティではないので(これについて説明しだすと長いので別の機会に譲る)、原則、他人の車は出来るだけ運転しないように近親者には勧めている。

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