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HUGって知ってる?被災者としてお世話係になったとき何が起きる?

「HUG」ってご存知ですか?

ハグ(抱きしめる)ことをかけた、Hinanjyo Unei Game(避難所運営ゲーム)のこと。各種の災害で、学校を含む様々な公共施設や体育館などで被災者を受け入れる際に、どうすれば可能な限り全員が安全・安心に生活ができるかをシミュレーションするゲームです。

いつ襲ってくるかわからない災害…それに私たち若い世代がどのように対応するかで、先輩方である高齢者や、これから育つ子ども世代をどれだけ守れるかを左右するのかも知れません。HUGは、平成19年に静岡県が開発しました。

会議机の上の「戦場」

会議用のテーブルでゲームは展開されます。議事進行役とその他のプレイヤー3人~7人ほどで1グループとします。

想定する避難場所(小学校や体育館、会社単位で考える場合は近隣に使用許可を出せる施設)の設備詳細など、まずは環境面の把握からスタート。その施設のサイズを適当なサイズの大型の紙に縮尺しておきます。

避難所として使用する際の、人的レイアウトのためです。使用できるパーテーションや机・イスなどの機材数量も仕分けしておきましょう。

議事進行役は、避難者それぞれの情報が書き込まれたカードを渡します。カードには、要援護者の家族構成や抱える様々な条件が書かれてあります。

例えば、3人家族で夫婦と3歳の子どもひとり、小型犬をペットとして飼育中、奥さんは妊娠6ヶ月…など。それぞれの年齢や性別、国籍などもその情報に含まれます。中には、障がいをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

そのカードを、施設に見立てた模造紙の上に配置していきます。一人あたりに必要とされる面積は、3平方メートルです。模造紙の縮尺にあわせて、カード1枚を3平米分のサイズで作っておいてください。

誰がどこに入れば効率よく後の支援活動に役立つのか、また、男性女性が可能な限り混在しないようにするなどの配慮をしながら配置してください。

■単に人をうまく配置すればよいわけではない

避難者を示すカードの中には、イベントカードが混ぜられています。炊き出し用の作業場はどこでしょう?仮設トイレはどこに置きますか?―のような感じです。

時には、視察受け入れもあるでしょうし、取材対応も起こりうるでしょう。施設を含む敷地内に、上手に収めてください。

時間をかけて考えることはNGです。とにかくスピーディに。被災された人たちは、疲弊しながらも安心できる場所を求めてやってきます。

時間を追うごとに人数は増えるでしょうし、それにつれて考えなくてはならないことも生まれてきます。考えている時間はありません。即座に対応する力が求められるのです。

上記のゲームに必要なものは、実は販売されています。一から作るのが一番よいのですが、先ずは体験することで実際の避難所運営に対応できるよう基礎力を付けるために購入したい場合は、「避難所運営ゲーム・HUG(ハグ)」で検索すると、Facebookページが出てきますので、そちらで詳細をご覧下さい。4チーム分入りで6700円だそうです。

■その効果は―3・11でもその経験が活かされた!

仙台市では、3・11の際、このHUGで既に得ていた経験から、避難所指定外であった施設の職員さんであったにもかかわらずきちんと対応できた方が多くおられたと聞きました。3・11後、このHUGは、様々な自治体や、学校、自治会にも導入されていっています。

もしもあなたが、社内で研修などに対し提案をできる立場におられるのなら、是非とも一度このHUGを検討してみてはいかがでしょう。法人も「人」、いざと言うときには社会の一員として行動することが求められます。

いざという時に近隣の方々に利用してもらえるスペースを持っている会社であれば、周辺自治会の方と一緒にシミュレーションしておいても良いかもしれません。地域貢献もできるチャンスです。

個々で必要な備蓄物を用意することも大事ですが、ご近所さんにも目を向けなくてはならないのが、その「いざというとき」です。東海・東南海地震も懸念されているこの時期だからこそ、そのときのために若い世代が考えておかなければならないことはまだまだありそうです。

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