変身する観音様。最近流行りの仏像、観音様にはワケがある!
観音様は様々な姿に形を変えて我々を救って下さるというのが仏教の中でのお話です。六道という6つの世界に観音様は現れ、それぞれの世界特有の姿で我々を救って下さるのですが、信仰云々は置いといて、寺社の観光に必要な知識を学びましょう。
観音様はどのランク?仏像のランクについて
人気の仏様である観音様。観音様という言い方は省略であって、本来のお名前は観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)と言います。
仏像には実は仏格という事で4つのランクがあるのをご存知ですか?位の高い順に如来(にょらい)、菩薩(ぼさつ)、明王(みょうおう)、天(てん)という順番になっています。如来は既に悟りを開いている最高の状態で、2番目の菩薩は悟りを開くための修行中でありながら、我々を救って下さるという仏様です。
では、観音様はどのランクの仏様なのでしょうか?先ほど観世音菩薩と申した通り、菩薩ですから、2番目のランクです。しかし、その状況に応じて姿形を変えて救いの手を差し伸べて下さるので、とても人気の高い仏像なのです。
観音様は姿を変えられるの?
観音様の特徴として、姿かたちを変えるという事があります。実は観音様は33種類ものお姿に変身する事が出来るのです。一番ベーシックな観音様は聖観音(しょうかんのん)と言いまして、この聖観音を基本として、例えば千手観音とか、十一面観音、如意輪観音(にょいりんかんのん)などに変身します。
他に観音様の特徴としては、最高ランクの仏様である如来の一人、阿弥陀如来(あみだにょらい)の横に、勢至菩薩(せいしぼさつ)とともに3体セットで安置されている事がとても多いです。
中でも、京都の大原という地にある三千院。三千院の中には往生極楽院という、阿弥陀如来、勢至菩薩、観音菩薩が祀られている場所では、勢至菩薩と観音菩薩が中腰になっているという変わった祀られ方をしています。
大和坐りという独特な状態で、とても珍しい状況。死者を極楽浄土へ連れて行こうと迎えに来た阿弥陀如来や勢至菩薩、観音菩薩が、今まさに極楽浄土に行こうとしている瞬間をあらわしております。
六道に現れる観音様、その意味は?
仏教の世界で六道(ろくどう)という考え方があります。迷いのある者が輪廻する、6種類の世界の事を六道と言うのですが、この六道のそれぞれの世界で、観音様の導きで救われるという考え方があるのです。では、その6つの世界の特色を説明します。
天道・・・人間の世界のような苦しみはほとんど無く、住んでいる天人は寿命が長いとされる。
人間道・・・苦しみも楽しみもある我々の世界。
修羅道・・・阿修羅が住んでいて、常に戦いばかりが起こっている世界。苦しみが多いが地獄ほどでは無く、苦しみの原因は自分にある。
畜生道・・・牛馬などの畜生の世界。ほとんど本能で生きている。
餓鬼道・・・やせ細ってお腹だけがポッコリと出ている飢えの世界。
地獄道・・・生きている事すべてが苦しみの世界。
というのが6つの世界の特色です。そして、観音様はそれぞれの世界に現れます。
天道・・・如意輪観音(にょいりんかんのん)
人間道・・・准胝観音(じゅんていかんのん)、不空羂索観音(ふくうけんじゃくかんのん)
※真言宗では准胝観音、天台宗では不空羂索観音と2つのパターンがあります。
修羅道・・・十一面観音(ばとうかんのん)
畜生道・・・馬頭観音(ばとうかんのん)
餓鬼道・・・千手観音
地獄道・・・聖観音
という具合に6つの世界それぞれに、それぞれの姿となって現れます。
観音様で有名なお勧めのお寺
こんな観音様のお姿を、実際に見に行ってみたいですよね?観音様で有名なお勧めスポットをいくつか紹介します。
先ず筆頭に取り上げたいのは京都の三十三間堂。ここには何と1001体の千手観音が安置されていまして、そのビジュアルは圧巻です。余りの壮観さから、仏像の森と呼ばれています。
次にお勧めなのが、奈良にある長谷寺。こちらに安置されている長谷観音はその大きさと威厳がヒシヒシと伝わってきます。
更にもう一か所上げるとすれば、京都の千本釈迦堂という穴場。こちらには六道を守っているそれぞれの観音様が六観音として安置されていますので、丁度上記の内容とピッタリです。上記の内容を頭に入れてから見に行くと、その良さが更に伝わる事でしょう。
仏像というのは信仰の対象ですが、観光の対象でもあります。信仰云々は尊重しながらもちょっと横に置いといて、気軽に仏像鑑賞をされては如何でしょうか?