平衡感覚はどこで養われている?小脳の働きと仕組みについて
平衡感覚というのはどこで養われているのでしょうか?実は大脳の後方、下の方にある小脳で養われているのです。そんな仕組みを紹介します。
平衡感覚の仕組み
人は体の傾きを補正しながらバランスを保つ事が出来ます。これを「平衡感覚」といいます。
例えば、ある程度の揺れの中であれば人は立っている事が出来ます。電車や船などの乗り物で、多少の揺れであれば立っていられますよね。また、平均台を歩くことが出来たり、補助輪無しで自転車やバイクの様な二輪の乗り物を運転出来たり。
こんな風に、人はバランスを取ることが出来るのですが、実はこのバランスは脳の中の小脳の働きによるものなのです。
小脳とは、脳の後方やや下にあります。この小脳が運動やバランス感覚に深く影響しています。
小脳だけではない平衡感覚に関連する器官
しかし、実は小脳だけではバランスを保つことが出来ません。小脳と一緒に、耳の奥のほうにある三半規管(さんはんきかん)と、そのすぐ近くにある前庭(ぜんてい)という器官の働きも重要なのです。
三半規管は身体が傾くとある液体が流れ、「有毛細胞」という細胞がセンサーのように働いて感知します。ある液体とはリンパ液の事で、三半規管の中はリンパ液が満たされています。
前庭の中にも身体の傾きをセンシングする器官があって、これらの情報が小脳に送られます。それらの情報を集めた小脳が身体に様々な指令を出し、平衡感覚を保つようにしているのです。
小脳が調整している
小脳は身体の平衡感覚に関する情報を集め、筋肉のバランスを保ちながら動きをコントロールしたり、姿勢をコントロールしたりします。
例えば歩き方なども、小脳が身体のバランスを考えながら歩き方を構成します。筋肉のバランスを考慮したり、筋肉を使う順番、動作自体の順番なども設計します。
そして指示を出した後は、ちゃんと指示通りに動いているのかどうかをチェックしつつ、動いていないと分かればさらに調整し、改めて指示を出します。指示を出す先は、大脳にある「運動野」という部分です。大脳で運動を司っている運動野と小脳は、上手く連携をしながらバランスを取っています。
万が一小脳に何らかの障害を負ってしまったらどうなるのでしょうか?もしも小脳に障害を負うと、運動機能やバランス感覚に障害の影響が出てしまい、転びやすくなったり、物を上手に掴むことが出来なくなったりという障害が現れます。それだけ小脳が身体感覚に影響を及ぼすのです。