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これからは愛人の子が丸儲け?婚外子の相続事情

最高裁が出した違憲判決

2013年9月のことです。最高裁が、とある民法の条文が、憲法に違反しているとの判断を下しました。その条文とは、相続に関する条文です。

これは、婚外子(※「非嫡出子」とも呼ばれますが、少々差別的な響きがあるとして、「婚外子」という言葉の方が好んで用いられます。)は、法律的に婚姻した夫婦の間に生まれた子供(※嫡出子と呼ばれたりもします)の半分しか遺産を相続できない、とした規定です。

この規定は、とある夫婦の間に子供がいて、その夫が愛人との間にも子をもうけていた場合などに問題になります。この規定に従えば、夫が死んでしまった時、夫の遺産を、愛人の子は、夫婦の間に生まれた子の半分しか遺産を相続できないことになります。

なぜ違憲なのか

この規定がなぜ違憲なのかと言えば、人は皆平等であるとした憲法の規定に反するからです。憲法14条は、人の平等をうたっており、合理的な理由なしに差別されてはならないと言っています。

今回違憲とされた条文は、愛人の子を、夫婦の子よりも劣っているかのように扱っているために、これに反すると判断されたのです。

人によっては、「道徳に反する行いをしたことが原因で生まれた子なのだから、多少不利益な扱いを受けても仕方ないじゃないか」と思うかもしれません。

しかし、最高裁判所は、何の罪もない子が、親の罪のせいで不利益な扱いを受けることは不当だと考えました。確かに、もう少し昔ならば、愛人の子が不利益な扱われることは至極当然だったかもしれませんが、そのような価値観は現代には合わない、と考えたのです。

ひょっこり現れた隠し子が得をするの?

しかし、そうすると、親の面倒も見ずに、家の外で育ってきた隠し子が、親が死んだ途端にひょっこり現れて、何の苦労もしていないのに遺産を他の子と同じように持って行ってしまうのではないか、それは不当なんじゃないか、とも思えてきます。

その点は大丈夫です。法律には、特に親の面倒を見た人たちは、特別に遺産を多く相続できることになっていますから、そのような仕組みを使えば、楽をした人が丸儲け、などということにはなりません。

違憲になった条文はどうなるのか

では、最高裁で違憲と言われた法律の条文はどうなるのでしょう。すぐに抹消される、ということはありません。

ですから、一応その法律の条文は残るのですが、裁判をしても、裁判所は最高裁判所の判断に従うわけですから、実質は消されてしまったのと同じような状態になります。おそらくは、近いうちに国会によって抹消する決定がなされるのではないでしょうか。

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