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驚きのトイレ事情から考察する、ドイツの文化事情!

皆さんは外国に行って楽しみなことといえば何だろうか?もちろん観光地や、歴史的に有名な場所を見て回ったり、ショッピングをしたりすることも楽しいのだが、私にとって海外に行ってまず気になるのは、その土地の文化や、それに根付いた地元の人々の生活である。

例えば、外国でスーパーマーケットや、ホームセンターに入るだけでも、普段その土地の人々がどのようなものを食べ、どのような日用品を使用しているかということに対する深い洞察がえられ、非常に興味深いものだ。しかし、そのような古くからの文化を色濃く主張しているものはもっと身近なところにある。そう、それはトイレだ!

トイレほど地味に、しかし強烈にその土地の文化を反映しているものは無い。考えて欲しい、イスに座る西洋の文化において、いわゆる洋式トイレが発達し、床で生活する日本の文化においては和式トイレが最近まで主流だったのだ。

それでは、ドイツのトイレ事情はどうなっているのだろうか。謎が解き明かされる予感に胸を膨らませ、筆者はドイツのトイレへと向かった。まず訪れたのは、マインツという町の公衆トイレ。

時々日本や海外の他の国でも、都心や観光地などで見かける、自動ドアの付いた、内部自動洗浄式のコイントイレだ。コインを入れると扉が開き、中に入って使用することができる。使用後は内部が自動的にクリーニングされ、次の人も気持ちよく使うことができるのだ。

…と、ここまでなら他の場所にも結構ありそうなのだが、注目すべきはその説明書だ。移民や、近隣諸国からの外国人が多いドイツらしく4ヶ国語で書かれている。しかも、いかにもドイツらしいことだが、これがまた非常に詳細にわたる説明書だ。

使用者は、この説明をよく読んで右にコインを入れると中に入ることができるのだが、注意事項3には恐ろしいことが書かれている。

③使用時間は20分間に限られており、警告音の後、ドアは自動的に開きます。

なにー!それでは、一日の仕事を終えて疲れて家に帰るところのお父さんが、トイレを使いたくなって入ったところ、ついうとうとしてしまったとしたら…。もし、おなかの調子が悪くて20分で終わらなかったとしたら…。

最悪、ドアが開いて公に醜態をさらしてしまうことは間一髪避けられたとしても、時間の足りない人は時間が切れる前に一旦中断して、外へ出てお金を払ってまた入らなければならないのだろうか。考えれば考えるほど恐ろしいものだ。

一般の人にはハラハラどきどきだが、福祉を大事にしているようで、ハンディを抱える人にはなかなか寛容だ。障害者にはユーロキーというものが提供され、料金を払う代わりにそれを用いて、このトイレを使用することができる。さらにその際には、ドアが開くまでの恐怖の時間が20分から倍の40分に延長されるそうだ。

それにしてもこのトイレを設置した職員たちが、どのような話をしながらこのトイレの設置を準備したのかと考えるとなかなかおもしろい。(まったくの想像だが)

「部長、こんなにたくさん説明を書いて、みんなきちんと読むんですかね」
「当然だ。わがドイツ国民は規則を守ることにかけては一流だ」
「ドアが開くまでの時間が短すぎやしませんか」
「いや、長すぎるくらいだ。次に来る人を待たせることが無いようにどんなに長くても20分が限界だろう…」
「トルコ語の案内もつくったほうが良いですよね…」

さて、家の中でも脅威のトイレは存在する。これらのトイレを見ていただきたい。なんという美しさだろう。一度こんなトイレでしてみたい!このようなトイレを見ていると、日本人の失いつつあるものに気づかされるような気がするのではないだろうか。

しかもこれらは高級なものではなく、その辺のお店で購入できる交換用の便座に付け替えただけのものなのだ。

日本のシャワートイレの技術は驚異的なものだ。すんだ後にはちょうど良い温度と強さで水が噴出し、おしりを洗浄してくれる。その後はお望みであれば、温風で乾かしてくれさえするのだ。なんという至福のひと時!まるで、日本のすべて自動化され、効率を最優先して作られた社会の象徴のようだ。

しかし、ヨーロッパのこれらの芸術的トイレを見ていると、高度にオートメーション化された社会で暮らし、ハイテクとはいえ地味なデザインのウォシュレットと共に暮らす自分たちは、果たして幸せなのだろうかと考えさせられる。

ハイテクでなくても、高価なものを所有していなくても、人は幸せになれるのだ。そういう気持ちにさせられたドイツの家庭トイレであった。

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