進化論やミトコンドリア・イブが何故先進国アメリカで否定されるのか?その一
人類の進歩や科学の進歩を享受した経済大国アメリカの中に、科学的な学説、進化論やミトコンドリア・イブを否定する人達が存在する。
宗教上の神の御業と対立するのが理由であるが、その現状と何故否定するのか?を、一つの仮説を立てて考えて見ると、以外に根深い社会問題とつながりがある事に気がつく。またそれはある意味人の特性ともいえる側面があるではないかと思われる。
否定される人類の母、ミトコンドリア・イブと進化論
少し前に大きな話題になっていた、人類最初の女性(母)ミトコンドリア・イブだが、彼女を否定する人々が世界には沢山いる。
彼女の存在は、科学的な証明によってされたが、その科学を否定しているのと同義語としての否定である。それらの人々は、ダーウィンの進化論にも当然否定的である。偶然にも、ダーウィンも人類のアフリカ起源説の提唱者の一人である。
ミトコンドリア・イブとは
人の持っているミトコンドリアには、通常のDNAと同じようにDNAがある。このミトコンドリアDNAの特徴は母系の遺伝子しか残さないことである。
そのミトコンドリアの突然変異の確率をたどっていくと、アフリカのある女性にたどり着く為に、最も古い原型のミトコンドリアDNAを持った女性が住んでいる土地・アフリカを起源とする説である。
もちろん これは有力な学説の一つであり、遡り方に異論も出ており、科学者の中でも懐疑的な見方をする方もいるが、今のところ有力な説であることは確かである。
何故否定されるのか?
今回は、ミトコンドリア・イブ説の証明をしたいわけではなく、それを否定し、進化論まで否定する人たちがいるという話である。日本では特に拘りなく興味若しくは有力な学説として受け取られているこれらの論であるが、どう言う人たちが否定しているか分るだろうか?
宗教が深く信じられているところは、進化論やミトコンドリア・イブの類の話は信じない素地があるといえる。この場合の宗教は、主に唯一神を中心とした宗教だが、この宗教で有名なものは、ユダヤ教、イスラム教、そしてキリスト教が大きな勢力である。これらの宗教は教義の中で全て世界は神によって創られた事になっている。
つまり進化論やミトコンドリア・イブの存在は、神の存在を否定する事につながり、神への冒涜と受け取る人々が現在も大勢いるということだ。
誰が科学的研究を否定するのか?
これは単なるイメージで申しわけないのだが、例えばアッラーの神を唯一の神とするイスラム圏の多くは、いまだに古い風習が残っており、イスラム教を基盤とした学校教育のところも多い。当然 神を民族全体で信じているとなれば、進化論やミトコンドリア・イブの存在など肯定できるものではない。
つまり 古い教えや風習、宗教の禁固が残っているのが普通であるのでそれはある程度理解できる。一方 キリスト教は、世界に広まって、こういった研究をしている学者もキリスト教信者であることも多い。
しかし これはキリスト教の一部でも否定されている。キリスト教は、信者も流派も多く、世界に散らばっている。西洋文明はほとんどがキリスト教であり、植民地であった世界各国の多くの国もキリスト教徒が多い。
たとえば、学校教育の充実していない第3国なら、科学の変わりにえがメインになっていることも十分に考えられる。もちろんそういう地区では科学的知識は一部の人たちのものであるので、逆にいうとあえて話すほどのことはない。
アメリカで否定される進化論
ところが、この進化論の否定の話は、世界一の経済大国であるアメリカの話である。2004年のCBSの調査では、なんとアメリカ人の55%が、世界は神が創ったと考えているという結果がでている。
その後、2009年のアメリカの世論調査企業ギャラップの調査結果でも、米国で「進化論」を信じる人は39%にとどまり、全く信じない人が25%だった。36%は進化論に対して意見を持っていなかった。
過去10年間に行われた調査では、おおよそ45%の人が、神が過去1万年ほどの間に、人間を現在のような形で創造したと信じているとの結果であった。
また、調査では若者で信仰心の薄い層ほど進化論を信じる割合が高くなっている結果もある。これは将来に於いて、進化論がより多くの人に受け入れられていくことを想像させる結果となっている。