人の為と書いて『偽り』と読む。愛とニーズの違いとは?
人の為と書いて偽りと読む。人の為にすることで偽りになることはあるのでしょうか?偽りとは、嘘というような意味で使われますが、人の為にしていることが嘘になるのでしょうか?人の為になることなら、どんなことでも良いことになるというわけではないようです。
もちろん、人の為にしないこと、自分のことしか考えていないことに比べると全然良い行いかもしれませんが、人の為にすることには偽りの形と本当の愛の形があるようです。
偽りのニーズ
人が行動する理由には、ニーズというものがあります。人間は常にニーズを満たしながら生活していて、ニーズが満たされなくなると、そのニーズを満たすために色々な行動をし始めます。ニーズは大切なもので、それを満たすことで充実感や楽しさ、好奇心など色々な気持ちを得ることが出来ます。
たとえば、なぜ人は安定した仕事や生活を求めるかといえば、安定したいというニーズを持っているからです。やはり、このニーズがなければ安定しなくても平気な人ばかりになり、仕事や家など存在しない世界になるかもしれません。
安定するというのは人が安心感や安らぎを得るためにとても大切なニーズで、これが満たされないと常に殺伐とした心穏やかではない毎日になるでしょう。
ですが、毎日が安定しすぎると、今度は退屈という気持ちがやってきます。退屈という気持ちが出るときは、自分がすでに安定にしがみつき過ぎているサインかもしれません。
人間は、安定というニーズと真逆の不安定のニーズも持っています。なので、安定しすぎているとどこかで不安定を得るために旅行や遊びなどで不安定のニーズを満たします。
では、相手に何かをしてあげることはなぜ偽りになるのでしょうか?それは、他の人とつながりたいというニーズも人間は持っているからです。他の人とつながりたいために誰かに何かをしてあげるというのは、誰かのためではなく自分のニーズを満たすために行っている行為のため、偽りになります。
これは、もし相手に受け入れてもらえなかったら落ち込んだり悲しんだり、相手のせいにしたりします。そうなると、結局最初から自分のことしか考えていないということになるのではないでしょうか。
本当の愛
では、本当の意味で相手のためにしてあげることは可能なのでしょうか。これは、ニーズと本当にちょっとした違いしかありません。それは、相手が自分の望んだ反応をしなくても落ち込んだり悲しんだりせずに、相手とのつながりを常に意識し続けるというものです。
ニーズの場合は、相手の反応によって一喜一憂することになりますが、自分が得ることを考えず相手のことを考えることは、本来の愛の姿に近いといえるかもしれません。これは、親と子供の関係を見れば分かります。
親は子供に何の見返りも求めず常に与え続けています。子供が望んだ反応をしなくても、時にはケンカをすることがあるかもしれませんが、衣食住を与えること、相手の反応が怖くて自分の行動を曲げたりしません。
ニーズを自分から与えて満たそうという考えは、それ以外で愛とつながりを満たす方法が思い浮かばなかったり、相手と対等な関係で付き合うことが出来ないときにしがちになります。
与える側が優位に立っていると感じれば、恐怖なども出ることはないので優位な立場でいられるからです。ですが、優位な立場にいる人が断られたらどんな気持ちが出てくるでしょう。
「何様!?」とか「もうあげない」といった意地悪な気持ちが出てくることになります。これは、期待しているからで期待は裏切られるようにできています。初めは期待どおり上手くいったとしてもずっと上手く生き続けるということはないでしょう。
こう考えると、与えたいと思っている時点では良いかもしれませんが、どこかの時点で期待通りにならないことによる苦しみが出てくることになります。本当の愛は、相手がどんな状態でもそれを受け入れる状態といえます。
自然界の役割とは?
ちょっとスピリチュアルよりな話になるかもしれませんが、自然界を見ると愛というサイクルが良く分かります。人間は安定を求めて出来るだけネガティブなことは起こらないようにしたいと思っていますが、地震や津波などの災害、人間通しの争いなど収まることはありません。
ですが、地球というのはなくならずずっと前から存在し、人間が求める環境を常に提供し続けてくれています。人間がどんなに環境を破壊したとしても、どんなものを望んだとしてもそれを色々な形で提供してくれています。
それとバランスを取るかのように人間からすればネガティブに思えるような出来事も起こります。物事には偶然はないといわれますが、それをもっと深いレベルで読み解いていくと、バランスに行きつくのではないでしょうか。
ポジティブなこととネガティブなことの間に本当の愛の姿が見える。それが分かると心の平安を得ることができるかもしれません。