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夫による妻の妊娠の手助けは父性愛教育だけでなく赤ちゃんにも重要?

妻が妊娠中に、妊婦さん用のママさん教室に最近では夫婦同伴での出席を産婦人科が推奨しています。妊娠がどれだけ大変かを夫に認識させることで、妻の辛さを少しでもわかってもらうこともさることながら、赤ちゃんにとっても、お腹の中にいる間に男性の野太い声に慣れさせることで、産まれてから父親認識を早める事ができるのです。

赤ちゃんは男性が抱くと泣き出します

多くの場合、お父さんが抱くと泣き出すそうです。どんなに赤ちゃんを可愛がりたくても、抱っこしたくても、赤ちゃんに泣かれては触ることさえもできません。そうなってからではお父さんとして赤ちゃんを懐かせるのは、抱っこするだけでも至難の業です。

お父さんは抱っこできないまま、赤ちゃんが自分をパパだと認識するまで待たなくてはなりません。その間の寂しさは果てしないものですよ。

では、いったいどうして赤ちゃんはお父さんが抱っこすると泣くのでしょうか。「胎教」という言葉があるように、赤ちゃんもお母さんのお腹の中でしっかり音を聞いているのです。5ヶ月目に入ると胎児には鼓膜ができ、お母さんの血液を流れる音や心音を聞くことができるようになり、6~7ヶ月目に入ると聴力が発達して羊水の中でも胎児は外の音がわかるようになります。

赤ちゃんが男性の声に反応しないのは、お母さんの声に一番多く接していますので、女性の声には慣れているのに対し、男性の野太い声には慣れていないので、「知らない人」という反応として泣き出してしまうのです。

お父さんが赤ちゃんに笑ってもらうためには?

お父さんだって、赤ちゃんを抱っこして笑ってもらいたいのです。そのためには、胎児の鼓膜ができる5ヶ月の頃から、妻のお腹に向かって胎児に優しく話しかけていけば、お父さんの野太い声も胎児の頃から聞き慣れた声となるわけです。

でも、今までお母さんの声に慣れ親しんだ胎児が、いくらお父さんだと言っても、いきなり野太い男性の声を聞いては、赤ちゃんもビックリします。そこで、お母さんがまず、お父さんを胎児に紹介するように話しかけます。

「あなたのパパがご挨拶したいそうですからビックリしないで聞いてあげてね。」

といった感じでまずお母さんが子供に話しかけ、そしてお父さんが優しくお腹を撫でながら

「パパですよ~。はじめまして。よろしくね!」

といった感じで、毎日話しかけていきましょう。そうすれば、胎児も「パパの声!」と反応するようになります。お腹を蹴るようになれば、お父さんが話しかけても十分に反応してくれますよ。

産まれたばかりの赤ちゃんは、まだ目は見えませんが、耳は聞こえます。そこでお父さんが抱っこしても、話しかけさえすれば、「パパの声!」と泣かずにご機嫌な反応をしてくれるのです。赤ちゃんに微笑まれたら、涙が出るほど嬉しいものだそうですよ。

妻の妊娠がわかったら、妊婦になった妻を労わり、妻のお腹の中の胎児と関わっていかなければ産まれてから懐いてもらえず、悲しい思いをしなければならないようですね。妊婦になった妻を放ったらかしにしておけば、赤ちゃんとして産まれた我が子からしっかり仕返しを受けるということです。

父性愛教育の効果

お腹を触るだけでも、羊水の温もりを感じ、胎児の温もりとして存在を実感することができます。お腹に耳を当てると胎児の鼓動が聞こえるような気がするものです。また、エコーの写真を見て大きくなっていく胎児を目で見て、妻のお腹を触ることで、妻のお腹が大きくなっていくのも実感します。

いつも話しかけていれば、声にも反応して時にはお腹を蹴ってくることもあります。言葉を理解しているかどうかは不明ですが、何かしら反応してくれます。夫は、妻のお腹の中で自分の子供が胎児として育っていることを手や耳を通じて実感し、エコー写真で胎児の成長を目で確認し、産まれてからの我が子の想像を膨らませるのです。

このように、妻のお腹の中の胎児の成長を体感することで、父性愛も生まれてきます。産まれてくるのが楽しみでしかたなくなるのも父性愛です。赤ちゃんが産まれて成長する過程を想像するのも父性愛です。

仕事でどんなに疲れていても、妻のお腹を触って胎児の存在をその温もりから体感し、耳を当てると鼓動が聞こえたり、声掛けに反応したりするだけで、癒され疲れもとれたりするのです。想像力も相まって「赤ちゃんが答えてくれた!」と嬉しいものなのですよ。これはやって体感してみないとわかりません。癒されますよ。おかげで、この小さな命を守らなければ、という闘志もわきます。

胎児のために妻の身体的負担を軽減するように家事の手伝いをするのも、「もし、転倒して流産でもしたら・・・」という不安を解消するためのものです。妻の精神状態や健康がそのまま胎児に影響しますので、それが妻を大切にする直接行動となります。妻にとって、妊娠・出産は幸せですが、つわりや体重増加、その他妊娠中毒症等、男性にはわからない辛さ・苦しさも伴います。

そんな時夫は、つわりのひどい妻を見ても何もできない、出産時の産みの苦しみも、見守ることしかできない、そんな自分がもどかしくて、自分にできることを模索します。夫が、産婦人科のママさん教室に積極的に参加して、妊婦体感ジャケットを着てみたり、出産時の呼吸法を出産に立ち会うために覚えるのも、出産時に妻の手を握って応援しようとするのもその気持ちの表れです。

つわりがひどかったり、妊娠の影響で体調が悪い時、夫の優しさや協力は嬉しいものです。その結果、夫婦の絆も深まります。父性愛はそのまま夫婦愛にもなるのです。

父性愛の胎児への影響

実は、人は胎児の時の記憶もあると言われています。表層意識の中では眠っていて覚えていない記憶です。しかし、心理学的には、人間の記憶は、古い記憶は引き出しの奥の奥にしまわれて取り出せなくなってしまったことを「忘れた」と言われているだけで、記憶が消えたわけではないのです。ですから、睡眠療法では、胎児まで遡れるとも言われています。

もしそうなら、お腹にいる時から、お母さんのお腹にお父さんもしょっちゅう手や耳を当て、胎児の鼓動を聞いて、たくさん話しかけられていたら、その記憶も残っているということですね。

出産に立ち会い、一生懸命お母さんを応援し、出産呼吸法をお母さんと一緒にやっているうちにやり過ぎで失神してしまったパパの姿も、感動の出産シーンを見逃し、気がついてすぐに産まれたての我が子を抱っこさせてもらい、頬ずりして涙を流したパパの姿も覚えているのかもしれませんね。

このような記憶は、たとえ覚えていなくても、心理学的には、記憶の引き出しの奥の奥にしまわれてしまって、自力では引き出す事ができなくなっているだけなのです。そして本能的に「愛されている」という実感があるのではないでしょうか。

その後どのような事があっても親子なら最終的にはわかり合えると言われています。この「血の繋がり」というものは、そういう記憶の引き出しの奥の奥に埋もれてしまった、自分では取り出せなくなった記憶から生じる本能から沸き起こる感情なのではないかと思います。