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火災保険に比べて自動車保険が高額になった理由と選び方のポイント

損害保険営業で、保険料を提示すると「高い」と言われることが多い。「リスク」という『将来』に対する対価だ。金銭的な余裕があれば別だが、長引く不況下で、人は『今』を生きている。またリスクの説明は、見方を変えれば『脅し』とも取れる。

「巨額なリスクに対する安心料だから当然」の弁は保険を売る側の理屈で、買う側の理屈ではない。「信号機を壊せば200万円以上必要です」「今まで無事故でも明日事故を起こすかしれません」等々。リスク提起の言葉は無数にある。

しかし大部分の契約者は無事故で一年を終える。そもそも保険契約者の大半が事故を起こせば保険会社は倒産してしまう。そして火災保険と自動車保険を比べると自動車保険は高い。事故頻度が高いからだが、場合によっては三十倍もの保険料だ。何故自動車保険は高いのだろうか?

財産を守るために始まった保険

自動車保険も火災保険も自分の財産を守るために始まった保険だ。火災保険は損保ジャパン(旧安田火災海上保険)が、自動車保険は東京海上日動火災保険(旧東京海上保険)が開発した。

住宅建物は木造だ。火災になると延焼で一面が巻き込まれる。戦前の安田火災は消防隊を持ち火災時に出動していた。契約者宅の玄関に鳶口印を付し、駆けつけた消防隊が一目で判るようにしていた。また自動車保険は、開発当初は富裕層が所有する自動車を対象に開発された。発売当時、日本に自動車は約1000台ほどしかなく、賠償より盗難から守るための保険だった。

自動車の普及から自動車保険は賠償保険としての性格が強まった。1000万円補償の火災保険で保険料は二万円程度だ。自動車保険が、ただ財産を守るための保険であれば安価だろうが、毎日のように動き、賠償の補償が追加され高額になった。逆に火災保険は日本独自の失火法により刑事責任はあるが賠償責任を問われないため、財産の保険のままになった。

『賠償』『身を守る意識』の定着が低い国民性

「損害保険」はイギリスで生まれアメリカで広まった。アメリカは賠償国家だ。日本でもPL法が施行されたが、法廷で白黒をつけるような大きな賠償争いは少ない。また日本は島国で異民族に侵攻される危険が少ないため、他人に優しい国民性の国だ。だから簡単に自分の物を他人に貸してしまう。「所有者」としての意識が薄く、貸さなければ『意地の悪い人』と見られがちだ。賠償意識の低い国民性の中で賠償問題が発生すれば、どうなるか?生まれたのが『喧嘩両成敗』『お互い様』という考え方、つまり過失相殺だ。その結果、リスクは加害者だけでなく被害者も負うことになった。さらに社会の複雑化とともに賠償金額も多大になった

保険料の自由化で、保険料は低下

「損害保険」の加入には二通りある。代理店での加入と保険会社に直接申し込む方法だ。また「保険料」は、「事故による支払額保険会社のコスト(代理店手数料)」で算出される。各社コストダウンを図り、様々な割引がある。

多くのユーザーは、老舗の事故処理体制やノウハウを採るか、シンプルな体制でコストを抑えた割安の保険を採るか、で悩むだろう。不況の長期化により、9割以上の保険加入だった自動車保険は、現在7割程度になった。どこの会社もリスクに応じた保険として運転頻度に応じた保険料体系を取っている。

保険の選び方

最後に、気になる保険の選び方を個人的に述べる。保険会社は認可制なので無数にある訳ではない。二十数社しかない。これだけネットが普及すれば保険料はネットで試算できる。実際にやってみると、5社分の入力が約四十分で終わった。20数社から数社に絞り込んで試算しても一時間かからない。入力が複雑な印象を持つが、迷えば割引を全て付けて試算する。あくまで検討材料だ。

次に事故処理体制だ。事故の初動で相手から責められる不安が残る。まさに保険は、「そのために入っている」と多くのユーザーが思っているだろう。言動ひとつで、本来負うべき負担以上の負担を負わされるのではないか、と不安だ。

事故処理をするのは代理店でも保険会社でもない。「損調」という別会社だ。大手損保会社が子会社として設立している。損調の支部体制や人員体制で判断できる。基本的に大手ほど体制はしっかりしている。損調が行う業務は査定という損害額の算出だ。算出された額をもとに支払うのが保険会社だ。この支払には示談をしなければならない。大部分の示談は保険会社がする。示談をスムーズにできるかが最後のポイントだ。初動で責められ、示談が難航すれば「何のための保険だ」とユーザーは不満に思ってしまう。

そこで確認したいのが、扱い事故件数、平均支払額、平均支払日数の3つの数字だ。公表していないかもしれないが、聞いてみると調べて教えてくれる保険会社も多い。扱い件数でその会社の事故扱処理量を把握し、支払額と日数で能力を知ることができる。万一の時の保険だから、その「万一」がスムーズに解決されたい。

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