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夢は「諦めない才能」がある人だけが掴むものです~後編~

「夢を諦めない才能」とは?

私の子供の頃、もう30年も前になりますが、私の中学では1年生の時に知能テストを行って、その結果を5段階評価で表すのです。そして、知能テストの結果の5段階評価と通知表の5段階評価を比較し、その生徒の知能が成績に反映しているかを調査するのです。

成績が「オール5」なのに、知能指数の5段階評価が「3」であったAさんと、知能指数の5段階評価が「5」なのに、成績が「2または3」ばかりのBさんがいました。私のクラスではこの2人以外は知能指数と成績がだいたいマッチしていたということでした。

個人情報保護法のある現在でこのような事はあり得ないでしょうが、その頃はそんな法律は無かったので、クラス担任がこんなことを言ったのです。

AさんとBさんを指名して「Aさんは皆さんが知っての通り学校でも成績優秀者でオール5ですが、知能指数は3なんですよ。学校で一番頑張っている人です。知能が普通でも頑張ればAさんのようになれるんです。Aさんを見習いましょう!拍手!」

「Bさんは知能が5なのに成績は学校で下から数えた方が早い問題児です。君は頑張ればAさんのようになれるはずなんだから、もっと頑張りましょう!怠けている証拠です。」とこんなことを言いました。

先生は知能が普通でも頑張れば成績優秀者になれるし、怠けたら知能が高くても成績は最低なのですから、「努力」で自分を作ることができることを生徒に教えたかったのではないかと思いますが、知能が普通であることを公表されたAさんはとても恥ずかしそうにしていました。

今なら、教育委員会に訴えられるようなことです。でも、子供だった私達は、純粋に「Aさんは頑張ってるんだな」と拍手し、Bさんに対しては劣等生で問題児の彼を笑ったように思います。Bさんはいつものように苦笑いをして頭をかいていました。誰も酷いこととは思いませんでした。

その後Bさんは努力を続け、県下一の進学校に進みました。大学も国立大へ進学したと聞きますが、就職しないでお見合いで結婚し、今では日々退屈に暮らす普通の専業主婦です。

一方、Bさんは、高校入学時に一浪したのですが、進学校に進み、大学は早稲田、就職先は某有名新聞社の社会部記者となりました。新聞記者になったのは彼の父親がそうだったから何となくだそうです。

でも彼は子供の頃から音楽が大好きで、中学の頃からその頃は珍しく男子なのにダンスを習い、気取った感じの軽薄少年でした。でも空手の有段者でもありました。そして、何と彼は新聞記者をしながら劇団に所属し、劇団にどんどん熱中していってついには新聞社を退職して劇団に専念しました。

そして売れない舞台役者から、土曜サスペンスの脇役俳優や声優やナレーションで活躍し、今は中堅の芸能プロダクションの社長をしています。有名俳優との人脈が広く、幼馴染のご縁で私も誰もが知ってる俳優さんのホームパーティに友人数人と一緒に連れて行ってもらったことがあります。

親の反対や「芸能人なんて」と恋人との結婚を女性の親に反対されて諦めたこともあります。芸能界で成功するために諦めた普通の幸せもたくさんあったと思います。その反対に故郷に錦を飾り、得た栄光も大きいのです。

彼の趣味は「人間観察」で、バブルの時代にマイカーよりも自転車を愛し、人に媚びず、世間のイベント(クリスマスやバレンタイン等)にも踊らされず、あくまで自分のポリシーと好きな事を貫き、人生楽しく過ごしてきたと思います。

未だに彼には家庭はありませんが、芸能プロダクションの生徒達が子供だと言っています。親や友人といった周りを大切にし、昔から他人に好かれる才能があったと思います。自分の好きな事に対しては集中力が違うのです。

彼は、好きな事を子供のような純粋な心のまま、オジサンになっても貫いた人なのだと思います。彼は自分の人生を楽しんで夢を貫いた人です。彼に才能があったとすれば、他人に好かれる魅力と、好きな事に純粋に人生をかけることができる自分の心に従う勇気を持っていたことでしょう。

「夢を諦めない才能」の条件とは、大人の常識と子供のような純粋な心の両方を持ち続けられる、他人の常識に振り回されず、自分に正直に生きられる人です。

この条件に加え、その夢に見合った適正を持ち合せていることは大前提です。Bさんの場合、芸能界で生きるのですから惹きつける魅力でしょう。彼は「諦めない才能」と夢の適性の両方を持ち合せていた生まれ持った才能だったと私は思います。

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