台風シーズン到来!平成時代になって台風災害に強くなったって本当?
暑かった夏が過ぎると台風シーズンの到来だ。台風が日本に上陸すると、保険会社は忙しくなる。日本全土に上陸し、甚だしい災害をもたらせば、保険会社は各地に対策本部が設置され事後処理に忙殺される。全国一万人ほどの社員が日常の仕事をしながら、交代で対策本部に派遣される。対策本部では工事会社の見積もりと被災状況の写真を見比べ査定する。
数十年前は面積当たりの単価がほぼ決まっていたが、最近は建築資材や工法、工事会社のサービスの多様化などによって、面積当たりの単価も様々なようだ。つまり昔なら面積当たりの単価にも大きな差はなく、住宅街を歩き新築の家を見て「この家は2000万円位、あの家は3000万円位だ」などと値踏みできたが、今はそれも難しくなった。台風による被害の査定はだんだん難しくなっているのだろう。
今年、台風18号で観光地京都が被災した。名所嵐山界隈は軒並み床上浸水になっている。浸水被害は土砂が流れ込み異臭が消えない。畳などは全て交換しなければならない。全て交換しても異臭は残る。
老舗旅館の若く美しい女将が襷掛けで清掃している写真が新聞に掲載されたが、全国から何万通もの応援メッセージが届いているらしい。10月初旬の営業再開をめざし復旧作業に追われているようだ。
風害には強くなったが、水害にはほとんどど変わらない強さの日本家屋
昭和の三大台風では数千人の死者、数十万戸の家屋被害を生み出した。平成時代になり死者は100人に満たない。家屋損害も二桁少なくなった。この結果から平成時代になり家屋は台風に強くなった、という説も出ている。
木造で漆喰の壁とトタン屋根が中心だった家屋も瓦屋根ばかりでなく新素材屋根も登場し壁もモルタルになった。確かに風害に対しては強くなった。情報が事前にアナウンスされ、罹災が予想できる地域に住む人は防災に努め、避難するようになった。不用意な外出も控えられるようになった。
では、水害についてはどうだろうか?床上浸水、床下浸水となると土砂を含んだ水が家屋に流入する。これらの水をシャットアウトできる家屋は少ない。全損とはならないが、水害に対しての強度はほとんど変わっていない。日本家屋には和室が一部屋か二部屋ある。浸水すれば畳は総取り替えになるが、単価アップのため事故額はむしろ大きくなっている。
台風が日本にもたらす損害額に、台風の進路が問題なのは誰もがわかっていることだが、それだけでなく、規模も重要だ。
天気予報で「大型台風」と呼ばれる「大型」の判定基準は、風速15km/sの範囲によって定められている。台風は中心の気圧が低いほど強風を生みやすい。平成時代になって日本に上陸した台風の中心気圧は軒並み945hPa(ヘクトパスカル)前後だ。
昭和の三大台風の上陸時の中心気圧は、伊勢湾台風が929hPa、室戸台風911hPa、枕崎台風916hPa。平成時代に上陸した台風よりもはるかに強い台風だった。風が強ければ上昇気流も強く広範囲になる。雲も厚く広範囲になり雨量も多くなる。進路だけでなく中心気圧も確認すべき点だ。
まとめれば風害には強くなったが、水害には強くなったとは言えないのではないだろうか?920hPA前後の台風が日本にまた上陸しないとは言えない。上陸はして欲しくないものだ。