禁煙で失うものは何もない!タバコをやめると人生がらっと変わる!
喫煙事情今昔物語
筆者が子供の頃の夏休み、父親に連れられて箱根に行ったことがあった。昭和50年代前半のことである。新大阪駅から新幹線「こだま」に乗り込んだのだが、父親は迷わずに自由席の1号車に僕の手を引っ張っていった。
なぜ1号車なのか?理由は当時、新幹線の禁煙車は1号車のみだったからである。父親はタバコを吸わなかった。だから禁煙車を選ぶのは当然だが、理由はそれだけではない。
1号車は盆の時期にもかかわらず、ガラガラに空いていた。なるほど、これならわざわざ指定料金を払わなくても、自由席でゆったり座れる。16両中、禁煙車はたった1両しかないのに、ほとんどの人が利用しなかった。当時はそれだけ喫煙率が高かったのだろう。
それが今ではどうだ。東海道新幹線700系の禁煙車は16両中13両、N700系およびN700Aではなんと、全席禁煙なのだ。時代も随分変わったものである。
かく言う筆者も、成人した頃にはスモーカーになっていた。周りの人もほとんどが喫煙者だった。でも現在では禁煙に成功し、ノンスモーカーとなっている。ではどうやって、禁煙に成功したか?簡単に言えば、タバコを我慢するのが煩わしくなったのである。
周囲に非喫煙者が増え、逆に喫煙場所は減ったので、タバコを我慢する機会が増えた。タバコを我慢することほど辛いことはない。それならタバコなんてやめてしまえ!と思ったのだ。
禁煙を成功させるコツ
もしあなたが禁煙しようと思うのなら、その動機を明確にする方がいい。喫煙が体に悪いなんて誰でも知っているが、それでもやめることができないのがタバコである。
例えば「妻が禁煙しろと言うから、なんとなく」では、なかなか禁煙は成功しない。かと言って「絶対に禁煙するんだ!」と力んでしまうのも逆効果だ。強い意志を持った人ならいいのだが、普通は挫折して「やっぱり俺はダメなんだ……」と落ち込んでしまうのがオチである。
ネガティブに考えるのではなく、「妻(あるいは恋人)が喜ぶ顔を見たいな」程度でもいいし、配偶者や恋人がいない人なら「タバコをやめたら異性にモテるかな」でもいい。タバコを吸う姿がカッコいいなんて思われていたのは遠い昔、今ではタバコの臭いを嫌がる人の方が圧倒的に多い。異性に嫌われて嬉しいなんて言う人はいないだろう。
いずれにしても、ヨコシマな動機でもいいから、自分の意思で禁煙を実行すべきだ。
減煙は逆効果。やめるならスパッと禁煙せよ
でも禁煙は難しいから、減煙から始めようとする人がいる。要するにタバコを徐々に減らすという方法である。筆者は以前、禁煙したいというスモーカーから相談を受けた。
「1日20本タバコを吸ってたんだけど、10本まで減らすことに成功した。でもそれ以上は減らせなくて、逆にまた増えつつあるんだ」
当たり前である。タバコを減らしていったらタバコへの欲求が深まるだけだ。タバコというのは一種の麻薬である。減煙するとタバコがますます恋しくなり、禁煙は一層難しくなる。だから禁煙すると決めたら、スパッとタバコをやめるしかない。
喫煙者というものは、禁煙を怖がるものだ。もう二度と、あの至福の一服を味わえなくなるのでは?と思う。でも怖がる必要はない。喫煙者なら食事の後にタバコを吸いたくなるだろう。だが、最近のレストランではほとんどが禁煙、食後の一服すら楽しめない。むしろイライラするだろう。しかし禁煙すれば、そんなイライラからも解放されるのだ。
タバコは麻薬だと言ったが、禁煙すると禁断症状はあるにせよ、違法麻薬よりはずっと軽い。筆者の場合、禁煙後の数日間は頭がボーっとすることはあったが、それも3日で消えた。個人差はあるが、普通の人なら1週間程度で消えるだろう。
いずれにしても、違法麻薬のような地獄の禁断症状はない。あとは心理的依存との戦いで、「禁煙して良かった!」と思えば、二度とタバコを吸うことはあるまい。ここで注意したいのは、またタバコを吸ってニコチンを体内に注入すると、再びタバコ中毒者になることだ。せっかく禁煙に成功したのに、それではあまりにももったいない。もう一度言うと、タバコは麻薬である。
禁煙は楽しい!タバコをやめても、失うものは何もない
禁煙を怖がるよりも、禁煙を楽しもう。ほとんどが禁煙となっている列車や飛行機、レストラン、劇場、スタジアムなどでもタバコを我慢することなく、旅や食事、観劇、スポーツ観戦を楽しめる。何よりも、タバコで他人に気を遣う必要もない。
さらに1日1箱のタバコを吸っているとしたら、1年でおよそ16万円もの出費だ。10年で160万円、30年だと480万円である。タバコをやめただけで高級車が買えてしまうのだ。
もはや喫煙がほとんど望めなくなった新幹線や飛行機で、長時間タバコを我慢することもなく長旅を楽しむと、つくづく思う。「タバコをやめて本当に良かったなあ」と。