一度は枡席に座ろう!初めての相撲観戦を楽しむ方法(その3)
「一度は枡席に座ろう!初めての相撲観戦を楽しむ方法その1、その2」と相撲観戦を楽しむためのあれこれについてご紹介してきましたが、いよいよ最終回。今回は普段テレビで目にすることが多い、十両以上の取組の楽しみ方についてご紹介します。
華麗な十両土俵入りと横綱土俵入り
既にご紹介したように、午後2時を過ぎた頃から次第ににぎやかになり始め、午後3時を過ぎると会場内はほぼ満席となります。
そのお目当てが、十両土俵入りとそれに続く横綱の土俵入りです。十両が東西に分かれて、華やかな化粧廻しで土俵上に登場します。エジプト出身の大砂嵐の化粧廻しにピラミッドとスフィンクスが描かれているなど、化粧廻しにはそれぞれにユニークな意匠を凝らしてあります。
その化粧廻しをしめた力士が土俵上にずらりと並ぶ姿は圧巻です。会場のあちらこちらからフラッシュがたかれます。
十両の土俵入りが終われば、東西それぞれの横綱の土俵入りが行われます。土俵入りには雲竜型、不知火型と2種類の型があり、白鵬関と日馬富士関は共に不知火型の土俵入りを行います。ちなみに不知火型の土俵入りをする横綱が二人揃うのは大相撲史上初です。
清めの塩、立ち合い前のパフォーマンスに注目しよう
幕内の取組はやはり幕下とは異なる迫力のある相撲が観られます。また、幕下以下では置かれていなかった清めの塩が東西の土俵隅に準備され、立ち合い前の塩撒きも始まります。
この塩の撒き方は力士によって様々で、少な目に取ってなるべく遠くに撒く力士もいれば、片手に山盛り取ってダイナミックに天に向かって撒く力士もいます。
後者の代表として有名なのが旭日松で、彼が立ち合い直前に塩を手に取ると、会場からどよめきがあがり、シャッターチャンスとカメラを構える観客も多く、会場全体が盛り上がります。
この旭日松のように、いざ立ち合うという際にはそれまでと違った行動をとる力士も多いようです。先日まげを落としたばかりの振分親方(元高見盛)は体を拳で叩くことで有名でした。
本来立ち合いには制限時間が設けられており、その時間以内であればいつ相撲を取り始めてもよいとされています。しかし現在では制限時間をめいいっぱい使ってからの立ち合いが一般的となっており、数回形ばかりの立ち合いを繰り返した後で立ち合うことがほとんどのようです。注意深く観察して、いよいよというタイミングを推し量るのも面白いですよ。
立ち合いのおもしろさ
制限時間いっぱいとなり、いよいよ両力士が仕切り線前に立った時点で、既に勝負の駆け引きは始まっています。すぐに腰を落として相手を待ちかまえる力士もいれば、なかなか腰を落とさず、相手を威嚇するようにぐっと睨みをきかせたまま立っている力士もいます。
これは野球でバッターボックスに入った打者がそれぞれの構え方をするのと同様、力士ごとに好みのスタイルがあるようです。
立ち合いの良し悪しは取組の出足に直結するようで、力士は自分にとって最良のタイミングで取組を開始できるように色々と見計らっているようです。両力士の両手が土俵についた瞬間に取組開始となるので、双方片手だけ土俵についた状態でタイミングを読みあい、残した片手をつく瞬間を見極めようとします。
一方が両手をついていない状態でぶつかってしまえば、フライングとなり、仕切り直しとなります。一日の取組の中でも何回かこの仕切り直しがあるところからも、立ち合いの重要さが伝わってきます。
座布団を投げるのはマナー違反?
相撲中継を観ていると、横綱が敗れるなどの場合に座布団が宙を舞うことがあります。そのため、金星となった際には座布団を投げるものだと思っている方も多いと思います。
しかし、枡席やたまり席に置かれた座布団は薄手ではあってもぶつかればかなりの衝撃がありそうな物。国技館では再三にわたり、座布団を投げないようにという注意がアナウンスされていました。
観客には子供から高齢者までがいますから、座布団を投げてみたい気持ちはぐっとこらえておくのがベストです。
結びの一番のあと
結びの一番が終わると、込みあう前に帰ろうと次々に観客が席を立ちます。しかし実は結びの一番の後には弓取り式という儀式があります。
大きな弓を持った力士が土俵に上がり、弓を次第に早く振っていく姿は見応えがあります。今少し席に腰を落ち着けたまま鑑賞しましょう。
弓取り式を観た後に会場を出れば、送り太鼓が暮れた空に高らかに鳴り響いています。入り太鼓に間に合わなかった方はぜひ耳を傾けてみて下さい。
さて、以上3回に渡って相撲観戦を楽しむ方法についてご紹介してきました。ちゃんこ屋へ立ち寄るなど、ご紹介しきれなかった楽しみ方もまだまだあります。記事を参考にしつつ、新たな楽しみ方を発掘してぜひ相撲観戦を満喫して下さい!