生きていく知恵と学生時代の偏差値は別物です~後編~
SNSと個人情報保護法がコミュニケーションの阻害が生じる?
筑波大学教授の門脇厚司先生の造語の「社会力の基本」であるコミュニケーション能力が最近の若者には欠如しているそうです。
SNSの普及により、リアル(若者の言葉で「現実社会」)よりもSNSの世界の方が気楽で、その顔の見えない世界の中だけで交流を深めるのが常になっているようです。リアルのコミュニケーション能力の欠如が著しいというわけです。
家の中で、目の前にいるのにメールで会話をしたり、極端な場合かもしれませんが、アドレス交換を初めにやって、後はメールの会話だけという無言の合コン風景もあると聞きました。
また、今年発表された厚生白書では、18歳~39歳の独身の男女の62%以上が異性の友人・恋人がいないという悲しいデータもあるのです。
就活でも待ち時間に同じテーブルに座った者同士が話をするようなことも少ないそうです。一昔前は、待ち時間が長ければ誰かが話しかけ、席が近ければ待ち時間の間に結構仲良くなったりしたものです。今や、厳しい就活環境の中皆ライバルだからでしょうか!?
とにかく、他人に関心が無いようです。関心が無いから相手のことに興味も愛着もわかないので、もちろん信頼関係も生まれませんよね。個人情報保護法によって「隣の人は何する人ぞ」といった関係にもなりやすいのです。
会社で年賀状も出さなくなりました。ある程度の個人情報は相手に対する興味の現れであり、信頼関係の上で公開するものです。
「人と人とが互いに相手に関心と愛着と信頼を持ち、それを下地に協力して社会というものを作り、その運営に積極的にかかわり、もっといい社会を作るために汗を流そうとする意欲」なんて経験したことが無いのかもしれません。
SNSの世界では、協力して何かを作り、挑み、汗を流そうとする努力なんてできません。頭の中だけで全ての世界を構築しているのです。想像力は育っても体験が無いので痛みや温もりを知らないのです。
だから、一緒に汗を流すなんてウザイことかもしれません。そんな体力も無いかもしれません。友人達と一緒に一生懸命考えて秘密基地を作ったり、想像したことは実践していた昔に比べ、机上の空論だけが先走り完結するので、リアルなコミュニケーションする必要が無いようです。
でも、皆で一生懸命考え想像力を働かせそれを実践・体験し、それが成功した時の喜び、失敗した時の悔しさや、何処が悪かったかのさらなる探究心、それら全ては皆で一緒に協力してやるから楽しいのです。
「喜びは2倍に、悲しみは半分に!」とリアルなコミュニケーションは感動を呼ぶことを若者に教えてあげたいと思います。失敗して恥ずかしい思いをした経験も良い経験です。独りでは、恥ずかしさも悔しさも経験できませんからね!
でも、SNSや個人情報を悪用した危険な犯罪も起きていますから、SNSや個人情報保護法も必要なのです。安易に他人を信頼しすぎては犯罪被害者にもなりかねない世の中で、他人とどうコミュニケーションを取っていくかは、人を見る目と経験が必要です。
だからなおさら、若い頃から大人の目が光る範囲で子供にコミュニケーション能力を磨かなければならないのです。怪しい人と信頼できる人の見分けはコミュニケーションをとらなくてはわからないものです。
危険を遠ざけるだけが子供を守ることにはならないのです。大人の目の届く範囲で子供に自由にコミュニケーションを取らせ、危険に対面した時は大人が全身で守る覚悟が必要です。
子供の安全のためにまずは大人がコミュニケーションを率先して取る能力を身に付けるべきかもしれませんね。