昆虫食がブーム!?いざとなったらトライしたい「美味しいケムシ」
虫食いがブームに!?
のっけから何を言い出すのかとお怒りになる御仁もいるかもしれないが、実は今「昆虫食」がブームの兆しを見せている。嘘だと思うなら、ぜひ東京・丸の内の丸善ブックセンターに行ってみてほしい。昆虫食の特設コーナーが設けられているし、通常棚にも数多く並べられている。
ウェブ上にも関連のページがあふれている。昆虫食を楽しむイベントも数多く開催されているし、そして驚くことに、それらの本やサイトの多くは、若い女性向けに作られているものがとても多い。一種のファッションと言ってしまっては大げさすぎるかもしれないが、好奇心たくましく、なんにでも挑戦するバイタリティのある女性が増えているのだろう。
実は身近な食虫文化
さて、振り返ってみると、昆虫を食べるというのは現代世界でも極めてノーマルなことである。アジア、アフリカでは主食の位置にある昆虫類も数多く上げられるし、その食べ方も生食から煮物、炒め物、焼き物などバラエティに富んでいる。
さらに、先進国でもトップクラスの昆虫食文化をもっているのが、何を隠そう我らが日本である。山がちで森林が多い日本では、内陸部の貴重なタンパク源として昔から昆虫が食べられており、イナゴやハチの子、ざざむしなど、いまでも全国にその文化が残っている。
だから、我々日本人がふたたび昆虫食に目を向けるのはごく自然なことだ。今後世界中においても、迫りくる食糧危機に対応する最高の手段は昆虫を食べることだといわれており、そのモデルケースとして日本が注目されるようになることも考えられるだろう。
手軽に挑戦、美味しい虫
これを読んで、ぜひ自分も昆虫食に挑戦してみたい、値上げを続ける輸入食品に頼らず自活するために、虫に活路を見出したいと思った人がいれば、素晴らしいことだと思う。
しかし、そういった人が最初に考えるのはきっとイナゴであり、ハチの子であろう。これらはその気になれば都心でも購入できるし、味の良さもある程度保障されている。(ダメな人には全くだめらしいが…)
しかし、やはり自分で採ってこそ、迫りくる食糧危機に対抗することが可能になるのではないか。とはいえ、イナゴは田んぼが減った現在、なかなかとるのが難しいし、ハチの子も相当な知識と技術が必要となる。ざざむしに至っては許可が必要だ。そして実は、これらの虫よりずっと手軽に手に入り、なおかつ負けないくらい美味しい虫が存在する。
それは「サクラケムシ」こと、モンクロシャチホコの幼虫である。夏から秋にかけて、街路樹の桜の葉をぼろぼろにした後、行列を作って幹を降りてくる紺色の大きいケムシを見たことが無い人はおそらく少ないのではないだろうか。
紺色の胴体に金色の毛を生やしはい回る姿は、苦手な人にとっては極めて不快なものに見えるに違いない。しかし、このケムシには毒がなく、人畜無害である。さらに、昆虫食愛好家たちには極めて味が良い虫として知られており、この毛虫がはい回る季節を毎年今か今かと待ちわびている人もいるほどだ。
食べ方とその味
調理法は茹でる、ないしは焼く。焼くと表面の毛がなくなり、食べやすくなるというが、茹ででもそれほど気にならない。口に入れると桜餅のようなさわやかな香りがし、昆虫食をする際に苦労する生臭さがない。味は旨味が強く、軽く塩を振るだけでもとてもおいしく食べられる。
ゲテモノ食い、と一笑に付してしまうのは簡単だが、美味しい虫を食べたときはその魅力と可能性を痛感せずにはいられない。怖がらず、ぜひ気軽な気持ちで挑戦してみてほしい。