個人情報保護法の施行によって人間関係が希薄になった?~後編~
コミュニケーションは情報の宝庫です!
実は、仕事には無駄に見える非合理的な飲み会やお土産のやり取り等は、無駄なようで情報や人脈の宝庫なのです。先述したように、日本人の昔からの慣習として「感謝の気持ちの贈り物」や「お礼の気持ちの贈り物」に対し、「お返し」の気持ちを大切にしている人は多いのです。
嬉しい気持ちは、他人の心を柔らかくします。それがきっかけで仲良くなり、人脈が広がります。そして人脈はコミュニケーションの場を広げ、情報交換の場となるのです。この人脈や情報交換がとても仕事の上で重要なのです。
「『良く知ってる人』でないと信用できない」という理由から、仕事を任せるのも人脈によるものが大きいのです。能力だけでなく人柄も仕事の上では重要なのです。
そういう意味で、無駄なコミュニケーションは無いのです。コミュニケーションで性格や責任感や癖等を知ることは、能力の「+α」部分として評価されるものなのです。責任者は能力だけでなく、人望や責任感も重要な要素だからです。
個人情報保護法で、仲良くなるのが難しくなった現在、年賀状や贈り物をきっかけに仲良くなるのではなく、人柄や内面のみで仲良くなる本当のコミュニケーション力を持った人だけが会社で上に登っていける人であることを知ることが大切です。
昔は、当たり前に行われていた慣習からできていた「人脈の重要性の認識」が無くなったのですから、現在は「人脈の重要性」を知っている人が得をする時代なのです。ある意味、能力先行型の社会で、本当に求められるのは「人望のある人間」だけなのかもしれません。
果たして、これで相手のことをどれだけ親身に考えられるのでしょうか?親身に考えてもらえるには、心の中に踏み込んだ付き合いをしなくてはいけないのではないかと思います。こういうので愛社精神や一致団結ができるのか、「人は一人では生きていけない」というのを忘れているのではないかと心配です。
個人情報保護法施行以来、コミュニケーションが希薄になったように思います。仲良くなるには、ある程度相手のことを知らなくてはなりません。相手の住んでいる場所も趣味もプライベイトも全て謎で親密な関係になれるのは、SNSの関係に慣れた若者だけではないでしょうか?SNSの人間関係を社会にそのまま持ってこようとする若者が増えたと思います。
でも、現実社会では、人の心の中にスーと入っていけるような親密な人間関係ができない人は出世しません。