相手への印象をうまくコントロールする方法とは?自己呈示を学ぶ
相手に与えたい印象というのは自分の思う様に操作する事が出来ます。これを心理学で自己呈示と言います。自己呈示の具体的な方法を紹介します。
相手に与える印象というのは操作出来るものなのでしょうか?実はこの操作する事を心理学では自己呈示と言います。
自己呈示
人と会話している時、会話の内容が相手に与える印象はどれ位の割合なのでしょうか?実は、印象を受けやすいのは会話の内容よりもはるかに見た目の方が大きいのです。順番としては、先ず外見、その次に表情、その後に声、そして相手のしぐさ、最後に話す内容という順番に印象を受けるのです。
ですので、会話の内容は重要ですが、それ以上に外見に気を配る事が重要なのです。では、実際に具体的な自己呈示についての説明をします。自己呈示には戦略的な自己呈示と戦術的な自己呈示があります。
戦略的な自己呈示
戦略とか戦術とか言われても、そもそも戦略と戦術ってどう違うのでしょうか?簡単に言うと、戦略は組織の作戦で大きな視点のもの、戦術は個別の作戦です。
戦国時代の織田信長を例に例えて説明すると、尾張の国を統一した後は美濃を攻めて、その後は天皇を担いで京に入ろうという様な政策的な事が戦略です。それに対し戦術とは、今川義元との桶狭間の合戦で、大軍を迎えるには桶狭間という狭い場所だと両サイドが手薄になるから、そこに奇襲をかけようという様な、個別の具体的な作戦が戦術です。
心理学の話に戻しまして、戦略的な自己呈示というのは長期的に作られるもので、例えば尊敬されたいとか、信頼を勝ち取りたいという様な時に使う自己呈示です。
例えば、尊敬されたいと思った場合、尊敬される様に振る舞わなくてはなりません。尊敬されるのはどういう人なのかを、先ずは知る事が大切です。そして、尊敬される人がどういう行動を取っていて、どういう発言をし、どういう風に人と接しているのかを実際に観察するなり、思い出してみて、その人になりきりましょう。
もしも信頼を勝ち取りたいと思うのであれば、同じく言動も変わってきます。信頼を失う言葉や行動がどんな事なのか、周りから信頼を得ている人は一体どんな人なのかをしっかり知る事が重要です。そして、その人の良い所を真似し、信頼を失う様な言動を控えて時間をかけて信頼を勝ち取りましょう。
この様に、戦略的な自己呈示は、長期ビジョンであるべき自分の姿を相手に示すというものです。
戦術的な自己呈示
では、戦術的な自己呈示とはどういった事なのでしょうか?戦術的な自己呈示は短期間で相手に印象つけてしまう方法です。自分をPRしたり、威嚇をしたり、取り入ったりと、様々なテクニックがあります。
例えば、就職活動の時は白いシャツに紺色のスーツというのが定番ですよね。髪型もキッチリと整え、姿勢もシャキッとして、自然な笑顔で爽やかな雰囲気を醸し出そうとします。
また、格闘技などで相手を威嚇して、いかにも自分が強そうであるという印象を持たせて試合を優位に運ぼうとするのも自己呈示の一つです。他にも、弱々しい印象を与えて守ってもらったり、甘えたりするために、わざと泣いてみたりするのも自己呈示です。そんな風に、印象付けたい自分を短期間のうちにしてしまおうとするのが、戦術的な自己呈示なのです。
自己呈示は偽り?
この自己呈示というのは、自分で印象を操作するという特性上、偽りの姿を露呈しているだけの事なのでしょうか?
いえ、実は、この自己呈示は単なる誤魔化しという方法では無くて、自分の本来あるべき姿を相手に見せるというものです。本来あるべき姿ですから、単純に騙すとか、誤魔化しているというものではありません。
また、心理学には役割性格とか、モデリングという技法があるので、実際に自分のなりたい姿に見せるという行為によって、本当に自分自身がその様に近づいて行きます。なりたい自分へとベクトルを向けてそうなってしまうのです。ですから、相手への印象の操作という意味を通じて、実は自分への改革という事が出来るかも知れません。
周りの印象の変化に気付く時
自己呈示を自分でコントロール出来る様になると、面白い事に気が付きます。それは周囲のあなたに対する対応の変化です。
今まで、頼り無いという風に言われて来た印象を変えたくて、堂々としている人の雰囲気や服装、表情や話し方をしているうちに、自分でもだんだんとそれがシックリ来る様になりました。自分がそれに慣れた頃には、周りもあなたをしっかりとした人という目で見る様になり、あなたへの接し方が変わってきます。
特に分かりやすいのが、学生時代の友達の輪の中ではしっかりとしていない様に見られていたのに、職場の中では頼りがいのある人に見られるなど、自己呈示をコントロールする前と後に別なコミュニティーを持った時なんかにその差が露骨に表れます。環境が変わる時などは特に変化のチャンスです。自己呈示を意識してみて下さい。