人生「自分に厳しく、他人に甘い」人が最後は勝ちます~後編~
「自分に厳しく他人に甘く」の精神は幸せを呼ぶ?
彼は派遣社員ではありましたが、着実に時給を更新し、年収も始めよりは70万円ほど上がっていました。そんな彼には結婚したい彼女がいました。しかし派遣社員ではプロポーズできないと思っていました。
そんな時に彼女にお見合いの話が持ち上がりました。彼女が30歳になる前に彼女の両親は結婚させたいのでした。それに先の見込みが無い上に挨拶にも来ない彼に対し、見切りを付けさせようとの考えもありました。
彼に対し、彼の恋人の彼女は、はっきりと彼女の親に挨拶してくれるように頼みました。彼自身は正社員になるために今戦い中です。彼女にプロポーズするために頑張っていたのですが、この先保証も無いのに彼女をずるずる待たせるわけにもいかないとも思ったようです。
彼は悩みました。でも、彼女の幸せを第一に考えたら、彼女は来年30歳になるのですから、この先どうなるかわからない派遣社員よりも、収入の安定したお見合い相手の方が良いと思うのは常識です。彼女のご両親の気持ちもわかります。
前職を辞める時も、今の派遣を選択した時も、彼女の応援があったから勇気が出たのです。今は恩返しに彼女の幸せを第一に考えるべきだと思いました。彼は彼女と距離を置くことにしました。
彼が彼女と連絡を絶って5日、彼女の怒りが爆発しました。彼女は彼の家に乗りこんできました。来るなりビンタです。「私を信じられないの?」と言うのです。
彼女は彼の実力を信じ、実際彼女の言うように仕事はうまくいっていました。確かに彼女がいなければ、いくら憧れの会社でも派遣社員なんて絶対ならなかったでしょう。そして現在の身分は派遣ですが、責任あるポストを任されています。彼は毎日が充実しているのです。
彼女は言いました。「新しい社員が入って来て裏切られたら辞めたらいいわ。それに5年以上今の職場で働いた職歴が次の転職の時に必ず有利に働くわよ。ボーナス分くらい私が稼ぐわよ。私の青春どうしてくれるのよ!青春をかけて応援してたんだから責任取りなさいよ」と力説していました。
彼女がこんなに息もつかずに話すのを初めて彼は見たそうです。彼は彼女を頼りなくて守ってあげたい存在として大切にしてきました。その彼女が今はジャンヌダルクに見えます。彼は、「守られていたのは自分だったのかもしれない」と思ったそうです。
彼は「自分に厳しく他人に甘く」の精神で生きてきました。だから彼女に心配かけないよう彼女とは楽しく付き合ってきました。彼女のわがままも聞いてあげていたように思っていました。ところが、本当は逆、彼女に甘やかされて自由にされていたのは自分だったことに気が付きました。
彼女は、彼の将来を考えて、好きな仕事ができるよう、また彼の能力や才能を信じて好きなようにやらせていたのです。いざとなったら自分が働く覚悟で。若いのに凄いと思いました。結婚のことなんて口にしたこともありませんでした。
彼は、彼女のご両親に挨拶に行きました。「今は派遣社員ですが、必ず正社員になってお嬢さんを幸せにします」と誓いました。さらに「あと2年待って下さい。それで正社員になれなかったら転職を考え、必ず正社員になります」と彼女のお父さんに誓いました。
彼女は独り娘です。娘に拝み倒された結果、彼女の両親も結婚を許してくれたそうです。彼は来年の春結婚します。
来年の8月で派遣社員3年です。来年1月から会社の再編成が行われます。彼の部署に人員も不足しています。チャンスは来年4月です。新卒を取るなら、彼の入社が最優先です。彼は4月に勝負をかけています。「自分に厳しく他人に甘く」の精神のお互いを思いあった夫婦が誕生します。彼の奥さんの運命は果たして!?
自分に厳しく優しい人間には、幸せが訪れるものかもしれません。人生はギャンブルです。結婚もギャンブルです。人生の分かれ道で勝ち続けた人間が成功者なのです。思いやりの積み重ねが幸せを呼びます。「自分に厳しく他人に甘い」人間の思いやりは、まず相手の幸せを考えます。
そして彼は彼女がいるから自分に厳しく律していられるのかもしれません。それに、自分に厳しくできる人でないと、本当の優しさがわからないかもしれませんね。
もしかしたらそれが人間の基礎かもしれません。肩書きよりも相手を思う気持ちが夫婦生活の幸せなのですから。来年の彼の結婚の時期が彼の好運期で幸運が一気に押し寄せるのかもしれませんね☆