人生「自分に厳しく、他人に甘い」人が最後は勝ちます~前編~
人生の分かれ道に立たされた時、どちらに行くかは心の声に従いましょう。それでも迷った時は、自分にとって困難な道を選ぶ方が良いですよ。
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」と昔から言われていますので、若い時の苦労は歳を重ねると思い出や笑い話になるからです。それに自分の苦労は後から必ず人生の肥やしとなって大きな実を実らせるものです。
一方、相手の対応に迷った時は、自分が犠牲になっても優しく対応しておきましょう。その優しさも後から「感謝」となって必ず自分に帰って来るものです。
但し、自分の本当に大切な人に対しては、その人の将来の責任を持つ覚悟があるなら、敢えて厳しい態度をとることをお勧めします。優しくすることだけが親切ではないからです。
もし人生の分かれ道にたたされたら!?
私の知人の話です。彼は独身の時、第2新卒として転職をしました。彼が大学を卒業した時に超氷河期で就職が難しく、彼は希望した就職先に全部落ちで卒業前に教授の推薦で派遣会社の正社員として就職したのです。
ところが、派遣会社の正社員は、様々な企業に派遣されて始めは面白かったそうです。また、派遣社員の人事管理も行い、やりがいもあったそうです。
でも数年経って来ると、若い内から経験も積まずに管理責任者となり、「これでいいのか?」と思い始めたそうです。「一般企業で培う常識に欠けるのではないか」とも感じ始めたそうです。
さらに、会社の都合でせっかく慣れて面白くなった仕事も他企業に異動させられ、転勤も多く落ち着きません。そして彼の覚悟を決めさせたのは、某大手化学メーカーでその実力を認められ正社員への誘いがあった時、会社が強引に異動命令を出したことです。
会社も彼を引き抜かれては大変だと思ったのでしょう。しかし、彼は一つの場所で落ち着いて仕事をしたくなったのです。これが彼の人生の分かれ道の1回目でした。
そんな時、彼は交通事故に遭い入院を余儀なくされ、会社を1ヶ月近く休む機会を得ました。その間「このままでいいのか?」と彼は考え、会社に復帰後辞職願を出し年度末に退職が決まりました。
退職金と失業手当で、彼はゆっくりと就職活動を始めました。しかし、時は氷河期です。正社員としての就職は困難な時代です。それでも彼は「何かのスペシャリスト」になるために正社員に拘り、さらに自分のやりたい職種で一生懸命就職活動をしていました。
そんな時、彼が大学時代に不採用になった第一志望の企業が、彼の希望する職種で派遣社員を募集していたのです。今度は派遣会社の正社員ではなく、その企業の関連企業の派遣会社の「派遣社員」なのです。
さらに彼の職種は派遣業法の「3年勤務したら正社員」という法令の例外に属する特異な分野の職種となる科学系研究職なのです。いつまで経っても派遣のままかもしれません。
彼は、その点を担当者に確認しました。「3年以上勤務後は、新規に社員を採用する必要性が出た場合は、優先的に社員に迎えられる可能性が高い」との回答でした。
あくまで可能性です。このご時世、3年後新入社員を採用する可能性も未定です。それに派遣会社の正社員は派遣先を転々とするので彼の経験は広く浅く、どの技術も未熟です。だからその企業で自分がどの程度役に立つか、派遣として3年以上更新してもらえるかどうかもわかりません。
やはり企業のブランドではなく、地道に正社員の道を模索した方が良いのではないかという常識も働きます。派遣は3ヶ月更新です。更新をしてもらえなかったらまた厳しい就職活動をしなければなりません。しかしたとえ派遣でも「夢にまで見た企業の本社研究センター」です。彼は迷いました。
それでも、彼は心の声に従って好きな仕事を始めました。彼は人生の賭けに出たのです。更新してもらって新入社員になるために一生懸命働きました。未だに彼は派遣です。
もうすぐ派遣期間3年になります。企業再編成があり、彼は派遣でありながらも研究の責任者にもなっています。人材が1人抜けて人手不足にはなりましたが、企業としてまだ新規社員を雇う体制にないそうです。でも景気も上向き傾向にあり、彼は来年に賭けているのだそうです。