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江戸前の最高級出汁「ハゼの焼干し」自家製造のススメ

鰹節もコンブも目じゃない!自家製出汁のススメ

和風だしの代表と言えば、まずかつおだし、そして昆布だしの2つが挙げられるだろう。これらはいつでも材料が購入できるほか、だしパックや濃縮還元顆粒などでも販売されており、気軽に利用することができる。

しかし、日本各地には様々な種類のだしの原料が存在し、その地域で長い間愛され続けている。特に正月の雑煮に関しては、薄味のさっぱりした汁にもちを絡めるので、だしの味が何よりも重要になってくる。

日常の味噌汁はだしパックでも構わないが、雑煮だけはふるさとの味でないと我慢できない、という人はきっと多いはずだ。

今回は筆者の出身地である福岡県で古くから愛されており、また自家製で楽しまれている美味しいだし原料についてご紹介したい。このだしは、福岡でも店で売られているのはあまり見ないが、原料が簡単に手に入るため、秋になると人々はこぞって用意するのだ。その材料とはズバリ「ハゼ」である。

さわやかなのに濃厚、上等なハゼだしの作り方

ハゼのだしというのを聞いたことがある人は、きっと東日本にはあまり多くないのではないだろうか。しかし西日本では、北部九州を中心に親しまれており、長崎県のアゴ(トビウオ)だしと並んで有名なものである。

ハゼだしを作るためには、まずハゼを手に入れなければならない。スーパーなどでは開きが売られることはあっても、丸のままで売られることはあまりないので、海や河口に行って釣るところから始める人が多い。

ハゼそのものは誰にでも簡単に釣れるが、ハゼだしに使うものはケタハゼと呼ばれる20cm以上に成長した大型のもので、これはポイントを探し当てる努力が必要となる。ある程度水深があり、過去の実績が高いポイントに行ってみるのがいいだろう。

ケタハゼが手に入ったら、これを焼き干しにする。内臓とエラ、鱗を丁寧に取り去った後、できれば焼き網において、コンロや七輪の上で焦げないように気を付けながらじっくりと、軽く焦げ目がつくまで焼く。

焼きあがったハゼを干し網に並べ、風通しの良い場所で陰干しにし、カラカラになるまで干しあげる。悪天候などでカラカラにならない場合は、ある程度干した後電子レンジで加熱すればカラッカラに乾かすことができる。

これでだしの材料は完成だ。あとは細かく裂いたり、粉末にしてだしを取るのに使うといい。透明感があり上品なだしが取れ、雑煮、吸い物、うどんのつゆにもぴったりだ。他には緑茶で茹でて甘露煮を作ったり、熱燗を注いでハゼ酒にしても素晴らしい。

今年の冬は、市販のだしのもとでは絶対に味わえない透き通った味わいを、ぜひ味わってみてほしい。

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