エビが足りないなら自分で採ればいいじゃない
江戸前からエビが消える!?
先日、某大手天ぷらチェーン店が、看板商品ともいえる「エビ天丼」の販売を中止したことが大きな話題となった。ニュースによると、輸入元である東南アジアにおいて、養殖エビの需要の高まりと不漁が重なり、価格が高騰して採算が取れなくなったのだという。
そもそもかねてから東南アジアにおけるエビの養殖が、貴重なマングローブ林を破壊し環境汚染をもたらしながら行われていること、さらに養殖されたエビの多くがわれわれ日本人の口に入っていたことなどが問題視されてきていた。
養殖業者はより多くの利益を出そうとするために過密養殖をおこない、病気が蔓延しやすい環境になっていることも原因だと言われている。
いずれにせよ、今日のエビ養殖はは多大な問題を抱えながらつづけられてきており、エビ不足も必然的におこるものであったといえるだろう。さらには今後も根本的解決がもたらされない限り、定期的にこのようなことが起こるのは容易に考えられる。
よその国の貴重な環境を破壊してまで作られたエビを食べるくらいなら、食べたい時に自分で捕まえて食べればいいじゃないかと、かねてから筆者は考えている。それに最適なエビが日本にも存在しているからだ。
しかし、日本の多くのエビはその漁業権が設定されており、許可を得た者以外が採取すると罰せられてしまう。だから、そのような漁業権がないか、または少額の鑑札を購入することで採取することができるエビをここでは紹介したい。
自家調達できる美味しいエビ
1.テナガエビ
日本中のどんな川でも生息しているといっても過言ではないのがこのテナガエビ。特徴は何と言ってもそのはさみ足の長さで、15㎝ほどに及ぶことがある。
手の長さゆえに胴体が小さく見えることがあるが、大きな個体ではシバエビなどを優に上回る大きさがあり、いわゆる川エビを想像しているとその大きさに驚かされる。
シーズンになるとこのエビを狙う人で川辺はいっぱいになる。多摩川などの有名ポイントでは竿を出す隙間すらなくなるほどだ。
この人気はもっぱらその食味によるもので、走りの時期だとキロ2万円を超えることもあり、高級料亭用の食材として広く認知されている。
捕まえ方は何でもよくて、専用の釣り具をそろえてもよいし、夜に網を持って追いかけてもいい。許可されている川なら、ペットボトルで作った小魚用の罠を仕掛けておいてもたくさん入る。
料理は何をおいてもから揚げ、そして天ぷらがおいしい。大きいものでは炭火で焼いて塩で食べるのも乙なものだ。
2.ウチダザリガニ
北日本の河川や湖で、近年急激に生息数を増やしている外来種のザリガニである。在来種のザリガニの生息域を圧迫するという理由で、近年特定外来生物に指定されてしまったが、その食味の良さは無視することができない。
もともと食べるために輸入された種類のため、一部では養殖もおこなわれており、また外国ではレイクロブスターと呼ばれて珍重されているという。
アメリカザリガニをそのまま大きくしたような外見をしており、個体によっては小さなロブスターにも見えそうなものがある。
味もロブスターそのもので、殻からの身離れがよく予想以上に肉を取ることができるのもうれしい。茹でても蒸しても、焼いても美味しく食べられるが、いずれの場合もエビ味噌を食べるのを忘れないようにしてほしい。
これらのエビはかなりの数が生息しているため、個人で食べる分くらいなら何度採取しても早々自然破壊にはつながらない。
ウチダザリガニなどは逆に食べることが環境保全につながるともいえるので、北日本にお住まいの方はぜひ積極的に利用してみてほしい。